盗っ人(ぬすっと)~縛られた世界~

姫亜樹(きあき)

盗っ人(ぬすっと)~縛られた世界~

盗っぬすっとは目がきく

耳がきく鼻がきく

ボクの大切な物を盗もうと

何時いつでも隙を狙っている


ボクの大切な物は

みんなが大なり小なり持っていて

盗っぬすっとがボクの大切な物を

盗んで使っても

誰もそれがボクの物だと

気付かない


ボクは大切な物を盗られないように

肌身離さず持っていないといけない

家の中に居たって安心できない

盗っぬすっとは風のように大切な物を

盗っていってしまうから

寝てる時も何時だって

ずっとずっとずぅぅぅっと

ボクは大切な物を肌身離さず

持っていないといけない


なんだか

なんだかこの大切な物はめんどくさい

大切な物に縛られて

身動きできないことに

ボクは気づいた


「ちょっと待て

この大切な物は

本当に

本当に大切な物なのか?」


いな


この大切な物は

生活のルールを実行するための

ただの道具

必要だけど

ボクを縛るだけの大切なモノじゃない

ボクの大切なモノはこれじゃない


道具に縛られて身動きできないなんて

なんて滑稽こっけいなんだ

道具に縛られて罪を重ねるなんて

なんて哀れなんだ

道具に振り回されて不幸になるなんて

なんて悲しいんだろう


盗っぬすっとは滑稽で

哀れで悲しい


  • Xで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

盗っ人(ぬすっと)~縛られた世界~ 姫亜樹(きあき) @Bungo-2432Da

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る