真昼の月

とまと

第1話 4月1日

 春、別れと出逢いの季節。

 渡された一枚の辞令。

 後輩に引継ぎをし、慌ただしくもしっかりと残務整理を終えた。

 毎日の残業と引越しの準備に追われ、あの人に何も言わずに来てしまった。

 あの街に居なくなった事にいつ気付くだろうか。

 そんな事をぼんやり考えながら、電車の窓から流れる景色を眺めていた。

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