土曜日と星座早見表

夕食を済ませ、特にすることもない土曜日の夜。

こんな時こそ、授業の復習と予習を済ますべきなのだろうが、そんな気はさらさらない。積ん読状態のSF小説でも消化しようと、積み上げられた文庫に手を伸ばす。取り上げた拍子に積み上げられた文庫本が雪崩を起こし、それに乗って星座早見表が滑り出してくる。

 

懐かしい。幼稚園児の頃だろうか、よく父親と星座を見に行った気がする。

たとえまだ星座が見えたとしても、今の僕の眼には、脳天気なブログに見えてしまうのだろうが。

もはや慣れては来たが、納得はいっていない。これからどうなるのだろう。


徐に窓を眺める。

今日はどんな内容が夜の空に広がっているのか。


窓開けてみるだけなら、大した手間ではない。どうせ暇だし。

カーテンと窓を開け放し、残暑の夜風が部屋に流れ込む。


『もしユメ』


ん? 暗号? ではない。

うちの家は、一軒家であり、高さがない。そのため他の建物に阻まれ、見える星空は限られているのだ。よって我が家からは夜空のスイーツ(笑)ブログの全貌を把握することはできない。


いや、さすがにね。

しょーもないと分かってるものを見るためにね。

貴重な土曜日の夜を浪費してもね。

いや、まあすることなくてもうすでに浪費してるんだけどさ。


『もしユメ』?


なにそれ。もし? if?

ユメ? dream?


いやいや、気になってないし。本でも読むし。


運動不足の僕にはやや辛い坂道を地道に登る。今日はやや湿度が高く、歩けば歩くほど蒸してくる。謎の好奇心に負けた自分が憎い。

たまに吹く風の心地よさだけを頼りに坂道を進んでゆく。


小さな達成感を感じると同時に、山の上公園の展望が開ける。


『もしユメが叶うなら、愛しのあの人にチョコクロあーんってしてあげたぃょ

誰が叶えるんだっつーの はぁ……』


「相変わらずどーでもいいな……」

てか自分でツッコむなよ。そして俺の貴重な土曜日の夜を返せ。

予想通りすぎる内容で、余計辛い。


帰って寝よ……

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