第21話
「はぁぁ」
ウィスト―は、二度目となる四大貴族としての王太子との面会を終えて、自らが引き連れている、従者を除き周りに誰もいないことを確認してから、深いため息をついた。
本来貴族というのは否、人に従えるものはその主の言うことを、自らの都合でしかも説明なしに反対するということなど、言語道断だと少なくともウィスト―は考えているのだ。だが、今使えてのは若干十六の少年であるのだ。
だからこそ、油断していたのか。直ぐに丸め込めるから、と思いろくに国内の情勢も、王家の権威の悲惨な状況を説明せずに今までやってきたのだ。
どうせ税制改革、特に税徴収者の変更という貴族の汚職と実利の塊に目をつけ、況や実際に貴族の汚職の証拠までを突き付け実行しようとは、当然思っていなかったのである。
更に、そこでビビったのか他の四大貴族達が一斉に賛成に回ってしまったのである。
確かに四大貴族のお墨付きとあれば、今まで汚職を行ってきた貴族達は表向きに反対など出来ぬであろう。だが、不満は当然あるであろう。
汚職に目を瞑ってくれる、自らの傀儡が王になるなら、支援を惜しまぬ程度には。
これ以上国を分裂させてはいけない、そう焦るウィストーに出来る事は、己の名声を使う事だけだ。だが、そのポテンシャルは想像を絶するだけのポテンシャルであるのだ。
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