第38話
「どうかしたんですか?」
「いや。」
「それにしても、あおいさんのお兄さんがあんな人だったなんて!
全然あおいさんには似てないですね!
それに、あんな人にくっついてる人があんなにいるなんて、信じられない!!」
「・・・おそらく、奴隷だろう。」
「えっ、奴隷?」
奴隷って、確かこのルーシェル王国では禁止されているはずだ。
「それってだめじゃないんですか?」
「あぁ。だが兄が連れていた女性達に、わずかに隷属魔法の気配を感じた。
この国では奴隷は禁止してされているが、隠れて奴隷を売り買いしているものや高額な金をもらって隷属魔法を使うような魔法使いもいる。」
そんな!
じゃああの女性達は無理矢理あの男に捕まっているってことなの!?
「・・・心配するな。
少し私の方でも調べてみよう。」
結局この日は王都にいられる最後の日だったがブランのせいで気分も良くないし宿に戻ることにした。
もうたくさん買い物もできたしね。
次の日は朝早くに宿を出て、ミラに帰る途中で泊まる《小鳥の宿り木》まで向かった。
そんなに急がずに進んだけど昼過ぎには着いてゆっくり過ごせた。
あおいさんは村の人に頼まれていたみたいでアイテムボックスからたくさん食料を出して渡してた。
私たちはムキムキの速そうな馬を借りて魔法で回復したり強化して半日で着くけど、村の人は魔法も使えないし、そもそもアイテムボックスが使えないから馬車で王都に行くしかないからもっと時間がかかって大変みたい。
あおいさんもいつもは無表情で冷たいイメージだけど、毎年来る村だからか今日はなんとなく優しい感じかする。
次の日は一日馬を走らせてミラを目指す。
朝宿を出るときに「これ、帰りに食べてね!」って女将が持たせてくれた美味しそうなお弁当を途中で食べて休憩をとった。
ミラについた時のはもう辺りも暗くなっていたので急いでアーシスへの扉がある惑わせの森に向かった。
「調べることがあるから明日は休みにする。」
おそらくお兄さんが連れていた奴隷のことだろう。
「わかりました。」
明日は休みにするって言っていたからそんなに時間はかからないと思ってたんだけど、あれからずっと休みが続いている。
お店の鍵は貰っているからエスティエーリルには行って冒険者活動はできているけど、あおいさんにはしばらく会えていない。
今日は仕事も休みだし、何か依頼を受けようかなと冒険者ギルドに来ている。
えーっと、この依頼かこの依頼受けようかなぁ。なんて思っていたらなんだか受付が騒がしい。
「娘がいなくなったんです!探したけど見つからなくて!
お願いします。娘を見つけてください!」
「行方不明者捜索の依頼ですね。
でしたら募集をかける冒険者のランクにより依頼料が変わりますがいかがいたしますか?」
「依頼料はおいくらなんでしょうか!?
今はお金がなくて・・・、でも、絶対に払いにきます!」
「冒険者ギルドでは依頼料を前払い頂かないと依頼をお受けすることができません。
お力になれなくて申し訳ありません。」
「そんな!」
女性の服は薄汚れていて、とても依頼料を出せるとは思えない。
「お願いします!
誰か、娘を探してください!
お金は絶対にお支払いしますから!!」
かわいそうだが、ここでお金がないのに依頼を受けたら自分も自分もという話しになってしまう。
他にもお金がなくて依頼が出せず困っている人はたくさんいるのだ。
女性は諦めたようで肩を落としながらギルドを出て行った。
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