第22話
今、私たち2人は港町ロイヒテンデスに向かっている。
ミラ町で馬を借りて出発した。
馬の2人乗りなんて恥ずかし過ぎて勘弁だと思っていたが実際に乗ってみると大きくて速くて、乗るのに必死で恥ずかしいとか考えている暇なんてなかった。
馬ってこんなに速く走るの?ってくらいスピードがある。
馬を借りに行ってびっくりしたが、本当にこちらの馬は大きい。
大きいし、ムキムキだし、なんとなく強そうな見た目をしている。
最初は怖いと思ったが近くで見てみると可愛い顔をしており頭も良さそうだった。
私たちが借りたのは白毛の雄馬だ。
銀髪青目美形のあおいさんにぴったりだ。
最初は王子様かよと笑いそうになったが、似合い過ぎて全然笑えなかった。
ひたすら馬を走らせ辺りが暗くなって来る。
「もう少ししたら村があるはずだ。
そこで宿に泊まろう。」
「そうですね。暗くなってきましたし。」
「何用だ。」
こんな小さな村でも門番がいるんだね。
「港町ロイヒテンデスまで向かう途中だ。
今夜はこの村で宿を取りたい。」
「身分証はあるか?」
「あぁ。」
「失礼しました!
どうぞお通りください!
うちの村はこの通り小さいので宿は一軒しかありません。
このまま通りをまっすぐ行ってパン屋の所を右に曲がるとたんぽぽの綿毛という宿があります!」
「わかった、行ってみよう。
ありがとう。」
「あ、さっき言ってたパン屋さんってこれですかね?いい香り!」
「そうだな。ここを右だ。
・・・パンは後でだ。明日出発前に買えば良いだろう。」
「わかってますよー!
私、まだ何も言ってないです!
あ、たんぽぽの綿毛!ここじゃないですか??」
「そのようだな。」
ドアを開けると、大きな鐘の音がカランコロンと鳴り響く。
「いらっしゃい!」
恰幅の良い女性だ。
この人が女将さんかなぁ??
「2人だ。」
「夫婦かい??
部屋は1部屋でいいかい?」
「2部屋だ。」
ちょ!!
この女将さん、どう見たらアオイさんと私が夫婦に見えると言うのだ。
こんな国宝級美形が私と夫婦な訳がないだろう。
「食事は?」
「夕食と朝食どちらも頼む。」
「1人につき大銀貨3枚。食事は別で1食銀貨5枚だよ。」
アオイさんは硬貨をだし女将さんに渡す。
「部屋はそこの階段を上がった右奥の2部屋だ。これが鍵だよ。ごゆっくり。」
鍵を受け取ると部屋に行く。
この日ははじめての異世界での遠出に疲れ、食堂での食事を済ませた後すぐ次の日に向けて休むことにした。
「もうすぐロイヒテンデスに着く。」
朝早くに出発したおかげで昼過ぎにはロイヒテンデスに着くらしい。
こんなに速い馬で1日半もかかるってことはミラから結構遠いんじゃないだろうか。
「ほら、海が見えてきたぞ。」
「うわぁぁぁ・・・綺麗!」
さすが異世界。水がとっても澄んでいる。
海が見えてからしばらくすると門にたどり着き、身分証を出し町に入る。
「うわぁぁぁ、すごいです!
映画の世界みたい!!」
「ははっ、はしゃぎ過ぎだ。」
「だって!こんなに綺麗なんですよ!
町もすごい!!映画でしか見たことない!」
綺麗な街並みに露天やらお店も異世界感満載だ。
「とりあえず宿を取るぞ。
ここはほかの町からの商人も多い。
早めに取らなければなくなってしまう。
観光はその後だ。」
「はい!」
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