第13話
「こんばんは!」
「来たか。」
「ごめんなさい、予定よりも遅くなって!
職場の同僚に仕事押し付けられそうになって必死で逃げてきたんです!もう花守さんて人がいっつも私に終わらない仕事もってくるんですよ!」
「ほぉ、いつもそいつのせいで遅いのか。」
「まあしばらくは資格取得のための勉強をすると言ってあるので大丈夫です。」
「ふむ、ならいい。」
そんなことを言いながら2人は化粧水作りの準備をする。
異世界で採取した薬草は萎れないように弓波さんのアイテムボックスに入れておいてもらっていた。
「瓶と、薬草と、湧き水と・・・
あ、あと化粧水を買ってきたんですけど、これで大丈夫ですか??」
「化粧水は保湿効果を高めるために使うだけだ、なんでも大丈夫だ。」
「材料はこれで全部ですか??」
「そうだ。
それじゃ作りはじめよう。
まず、湧き水に薬草を入れて煮込む。
この煮込む工程も魔法に慣れれば魔法でできる。」
「はい!」
「沸騰して水に色が付いてきたらもう止めて大丈夫だ。
そろそろじゃないか?」
「止めました。」
「そしたらそれを漉す。これもそのうち魔法でできるようになる。
そこのボウルにガーゼを敷いて使いなさい。」
「こんな感じで大丈夫ですか??」
「ふむ。そしたら後は買ってきた化粧水と混ぜて魔法【薬品生成】をかけるだけだ。」
え!もう完成!?
今はまだ薬草煮込んだ水なのに、魔法万能だなぁ。
「混ざったか??」
「はい!」
「全体に魔力が混ざるように魔法をかけてみなさい。使う魔力が多いほど効果は高くなる。」
そうなの!?
じゃあいっぱい魔力を込めないと!
「えいっ!【薬品生成】」
魔法をかけると暗い緑色の液体がキラキラと輝き乳白色になる。
「色が変わった!?」
「うん、成功だな。
鑑定をしてみるとわかるぞ。
みどりもこまめに鑑定をするくせをつけた方がいい。」
「はい!【鑑定】」
--------------------
化粧水
美白、美肌効果のある化粧水。
薬草効果でつけるたび蘇るような肌へ。
顔以外にも気なるところへ使えます。
--------------------
「おおおおお!
弓波さん!この化粧水すごそうですよ!」
「いい出来だな。
瓶に入れて持って帰りなさい。」
「はい!
さっそく今日から使います!」
そう言い瓶に入れる。
異世界で買った、表面にカットが入った薄ピンク色の瓶だ。
「可愛い!
ありがとうございます、弓波さん!」
「あぁ。」
素っ気なく返事をするが、ちょっとだけ嬉しそうだ。
弓波さんは本当に分かりにくい。
「あ、そうだ!
弓波さん、アイテムボックスを教えて欲しいんです。」
「アイテムボックスは難しいぞ。」
「けど、緊急事態なんです!!」
「どうした?」
眉を寄せ、心配そうな顔でこちらを見る。
「ご飯が美味しくないんです!!!」
「全然意味がわからない。」
あれ?伝わらないな??
これはもっときちんと説明しなくては。
「いつも仕事が忙しくてご飯をコンビニで済ませてたんですけど、異世界で美味しいものを食べてたらコンビニ弁当が美味しく食べられなくなっちゃったんです!!
でもアイテムボックスがあったら異世界に行った時にごはんをまとめ買いできるじゃないですか。」
「・・・はぁ。
そんなことのためにアイテムボックスを覚えるなどと言う奴ははじめてだ。」
「毎日ですよ!
緊急事態じゃないですか!!」
「とりあえず教えるが使えるようになるかわからないぞ。
前も言った通り、アイテムボックスは難しく使える人も少ない。
亜空間を作り出し物を出し入れする。
つまり想像がしづらいんだ。」
「それでもやってみます!
お願いします。」
「はぁ。
アイテムボックスは作りたい場所に魔力を集め、空間を作るイメージで魔法を使う。」
亜空間に物を出し入れね。・・・あ!!!
「【アイテムボックス】!」
「な、なに!!?」
「できたできた!やったー!!」
「この魔法は使い手がほとんどいないほど難しいんだぞ!?
それを1回でなんて・・。」
「ふ、ふ、ふ。
私は亜空間から物を出し入れする技を小さな頃から見て育ってきているんですよ!」
「そんなにすごい使い手がこちらにいるのか!?
どんな人物なのだ!?」
「ドラ○もん。」
「ド、ドラえ○ん!?
そんなに有名な人物なのか?」
「日本国民なら誰でも知っています。」
「そうか。
それで想像が出来上がっているからすぐにアイテムボックスが使えたのか。
驚いたではないか。」
ふふふ、はじめて弓波さんが動揺しているところを見た。
『な、なに!??』とか言ってたもんねー!
「ふふふ。」
「ん。なにを笑っているんだ。」
「いえいえ、何でもないですよー!」
「ふん。」
「あ、そうだ。
次っていつ向こうに行きますか?
ご飯を買いに行きたいです!」
「またご飯か。
では今週の休みにまた行こう。」
「はい!よろしくお願いします!」
「あぁ。では明日どうするかについては少し考えて連絡する。」
「はい!ありがとうございました!
それじゃ、また」
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます