第11話
「帰ってこれたーーー!!」
「大袈裟な。
さっきまであんなに楽しかったと言っていたじゃないか。」
「だって異世界ですよ!
もしかしたら無事帰ってこれないかもと思ってたんですから!」
「そんなわけないだろう。」
「いや、実際ミミックカメレオンと戦った時はそのまま死ぬかと思いました。」
「その後すぐ楽しそうに魔法の話をしていたのは誰だ。」
「それは別です。」
「まぁいい、今日はこれで終わりだ。
2日間ずっと動いていた訳だし明日は休みにしよう。
明後日仕事の後また来てくれ。
化粧水を作ってみよう。」
「わかりました!」
化粧水作り、楽しみだなぁ。
最初はあれだけ気が重かったのに。
異世界が思いの外楽しかったからか、魔法がだんだん使えるようになってきたからか、お店に来るのが楽しみになっていることに気づく。
ま、いいか。どっちみち来なくちゃいけないんだ。楽しい方がいい。
明日からまた仕事だ。
もう外も暗くなっているし、早く帰ってゆっくりしよう。
「じゃあ、また明後日きます。」
「あぁ、また。」
みどりは店を出て家に向かう。
外の景色を見ると帰ってきたな、と思う。
家に着き、久しぶりにゆっくりお風呂に入る。
浄化で綺麗になるけどやっぱお風呂は気持ちいいなぁ。
向こうでは浄化で事足りるからか、一般的にはお風呂に入る習慣がない。
お風呂がある家となると一部のお金持ちや貴族や王族など、生活とお金に余裕がある人たちの家だけらしい。
お風呂から出ると、向こうにいる間に浄化に慣れてしまったせいだろうか。
それなりに掃除はしているはずだが部屋が気になり家中浄化をして回った。
「よし、完璧。」
綺麗になった部屋を見て満足し、みどりは眠った。
「う〜ん。」
朝だ。いつもよりもスッキリ起きられた気がする。
昨日いっぱい動いたからかな??
【浄化】
今まではシャワーを浴びていたが、今の私にはこれがある。
本当に便利な魔法だ。
軽く化粧をし、いつものように髪を整え・・
あ。
そういえば昨日買った髪飾りがある。
私なんかがつけて行って変だと思われないだろうか?
『似合うんじゃないか?』
弓波さんに言われた言葉を思い出す。
よし!仕事の時髪を纏めようと思って買ったんだ。
1万3千円もしたんだ。せっかくだしつけなきゃもったいない。
みどりは花が虹色に輝く髪留めをつけて家を出た。
「おはようございます。」
「おはようございまーす。て、えぇ!?
文月さん!?」
「は、はい!文月です。
何かありましたか??」
「いや、眼鏡も付けてないし髪もいつもと違うから。」
彼女は清水光さん。
同じ部署の同期で同い年だ。
明るい性格でショートカットがよく似合うスレンダーな人。
今まで仕事上での関わりはあったが私的な話はしたことがなかった。
「へ、変ですか??」
「ちがうの!似合ってる!!
そっちの方がいいと思うな。」
「ありがとうございます。」
「それに、ちょっと痩せた??」
「本当ですか?
特にダイエットとかはしてないんですけど。」
「気のせいかなー??
あと、敬語じゃなくていーよ!
同期だし、同い年でしょ?」
「じゃあ、そうしま・・・
えーと、そうするね??」
「うん!それじゃ、またねー!」
これは、眼鏡をやめたからか?髪型か??
こんな風に職場の人と話したのは久しぶりだ。
一旦仕事を中断し、昼食をとる。
「おいしくない。」
2日間で異世界の美味しい食事に慣れてしまったせいかコンビニご飯が美味しくない。
今日だけならいいけど毎日これはキツイなぁ。
「あ、そうだ。」
アイテムボックスがあるじゃないか。
たしか弓波さんが時間経過が遅くなったり停止したりすると言っていた。
ということはアイテムボックスを使えるようになって、異世界に行った時に沢山食料を買っておけばいいんじゃないか??
とりあえず今日はお休みだし、明日弓波さんにアイテムボックスについて相談してみよう。
最近ずっと早く帰っていたせいで、急ぎじゃないからと後回しにしていた仕事がたまっている。
また明日から弓波さんとの練習が始まるんだ。
明日からの生活に備えて久しぶりの残業をするのだった。
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