第8話
「着いたぞ。」
「うわぁ、すごい、豪華な部屋・・・。
あ、でも異世界ってもっと変わってると思ってたけど思ってたよりは普通ですね。」
すごく豪華な部屋だけど異世界感はないなぁ。
「扉の先は私の家だと言ってあったはずだろう。」
窓の外を見ても森。
まだ全然異世界感がない。
「まずは隣にあるミラの街に向かう。」
そう言って弓波さんが淡いブルーの石がついた指輪をつけ魔力を流すと石から光が溢れだした。
「これは導きの魔導具。
この森は方位磁針も役に立たず入ってきた者を迷わせるように日々道も変わるから地図も使えないがこの光の方へ歩いていけば森を出られる。
行くぞ。」
「はい!」
「はぁ、はぁ、はぁ。」
あ、暑い。
ワンピースにローブにブーツ。
流石にこんな格好で森を歩き回ったら暑いに決まっている
行くぞって軽くいうから少し歩けば森の外にでられるのかと思ったのに、もう2時間も森の中を歩いている。
「ちょ、ちょっと待ってください・・・。
「遅いぞ。」
「あとどれくらいで着つきますか?」
「あと30分で森を出て、そのあと街まで1時間てところだな。」
あと1時間半も歩くの!?
「1人ならいつも30分で街まで着くんだが今日のペースだとそのくらいだろう。」
「この距離を30分だなんて、ぜったい、おかしいです。」
「強化魔法や補助魔法を使えばそのくらいで着ける。
・・・あぁ。
魔法を教え忘れていた。
強化魔法1つなら今のお前でもつかえるだろう。脚に魔力を集めて強化すると楽に歩けるぞ。」
「なっ!?
もっと早く教えてくださいよ!!
もう2時間も森の中を歩いてヘトヘトです!!」
普段は会社と家の往復でほとんど運動なんてしていないのだ。
もうすでにこんなに歩いたのはいつ振りだろうというくらいには歩いている。
「だがさっさと歩かないと2日間では間に合わない。
行くぞ。」
「は、はい。」
教わった通りに脚を強化して歩き出す。
さっきまでよりもだいぶ楽に、早く歩けるようになった。
「みどり。街が見えてきたぞ。」
顔を上げると遠くの方に小さく町が見える。
「あと30分も行けば着く。」
「大きい。」
街と言うからにはそれなりにしっかりしたところだと思っていたけど、壁に囲まれているしこんなに立派な所だとは思ってなかったわ。
「世界に8箇所しかない異世界への扉の近くの街だぞ。
商品の仕入れもあるし近くに立派な街ができるのは当たり前だろう。」
入り口から列が伸びていて何かチェックをしているみたい。
「すごい!兵士?門番?
初めてみました!」
「そんなにはしゃぐな、目立つだろう。」
「止まれ。
身分証は??」
私、こっちの身分証なんて持ってないよ。
どうしよう。
弓波さんが身分証を出す。
「この娘は私の弟子だ。」
「し、失礼しました!どうぞ。」
身分証を受け取り、スタスタと歩き出した弓波さんの後を追う。
「あの、私身分証ないのに通っちゃっていいんですか!?」
「私と一緒なのだ。大丈夫に決まっているだろう。」
異世界の警備体制大丈夫か??
侵入し放題じゃない??
「だが今回1人になった時のために身分証は必要だろう。
冒険者ギルドに向かおう。」
「冒険者ギルド!?なぜ!!?」
「普通に役所で身分証を作るには住所も必要だ。」
「弓波さんの家はだめなんですか??」
「あそこは私の家でもあるが扉の管理をするための建物でもある。勝手に住所として登録はできない。他に商人ギルドでも身分証は作れるが何の商売をするのか一緒に登録しなくてはいけないので無理だな。
冒険者ギルドなら定期的に依頼を受けるだけでいい。魔法の練習にもなる。」
「そうなんですね。わかりました。」
「それに冒険者ギルドなら依頼料と素材の買取でエスティエーリルのお金が手に入る。
買い物や食事を好きにできるようになる。」
異世界で買い物や食事!?
まんまと乗せられた気がするが聞いた瞬間にやる気が出た。
「とりあえずもう昼過ぎだ。
ご飯を食べたあと冒険者ギルドで身分証を作りに行こう。
その後嶺二の妹さんの家に向かう。
彼女もこの町に住んでいる。」
弓波さんと近くにあるお店に入る。
《3匹の子豚》
定食屋さんみたいな感じかな??
「いらっしゃい!」
「2人だ。
料理はお勧めのものをたのむ。」
そう言って弓波さんは硬貨を数枚渡す。
後でこちらのお金についても聞いておかなくちゃ。
「はいよ!」
異世界の料理ってどんなものなんだろう??
今までは弓波さんが入れてくれた工芸茶しか口にしたことがない。
「おまたせ!ジャイアントバードのステーキと踊り茸と野菜のスープにパンだよ。」
ジャイアントバードは1.5メートルくらいの鳥の魔物で、踊り茸はいつもユラユラと揺れており踊っているように見えるからそう呼ばれているらしい。
見た目は美味しそうだが、不思議食材の話を聞いた後だと食べるのに勇気がいる。
えいっ!と気合を入れて料理を口にいれると
「美味しい!」
ジャイアントバードは普通の鶏肉よりジューシーで美味しいし、踊り茸も食べたことのない味だがキノコの感じはあって美味しい。
「今日冒険者が狩りにいって届いたばかりの新鮮なお肉だからね!」
「こちらでは飼育して家畜を育てるのではなく魔物を狩って食べている。」
そう弓波さんが教えてくれた。
そりゃ美味しいわけだ。
新鮮だし、向こうのお肉だって自然な環境でストレスを与えないよう育てたお肉は高価だ。
「そういえば弓波さん、
こちらのお金について教えていただきたいのですが。」
「あぁ、そうだな。
冒険者になると依頼料や素材の買取も自分でしなくてはいけない。
冒険者登録する前に知っておいた方がいいな。
冒険者ギルドに向かいながら説明しよう。」
料理を食べ終え店を出る。
「こちらのお金は全て硬貨。
紙幣はない。」
銅貨 1枚 10円
小銀貨 1枚 50円
銀貨 1枚 100円
大銀貨 1枚 1,000円
金貨 1枚 10,000円
大金貨 1枚 100,000円
白金貨 1枚 1,000,000円
「大体日本円にするとこのくらいか。
先ほどの食事が2人で銀貨8枚。」
じゃあさっきの食事が2人で800円!?1人400円てこと?安い!
そうこう話しているうちに冒険者ギルドに着いた。
扉を開け中に入りカウンターへ向かう。
周りにいる冒険者の視線を感じるが、思ったより静かだ。
「今は昼過ぎでみんな仕事に行ってる時間だ。依頼を受けに来る朝と依頼後の夕方からは混むので気をつけなさい。」
「わかりました。」
そっか、今はもうみんな依頼をこなしに出てるのか。
「いらっしゃいませ、ミラの冒険者ギルドへようこそ!
本日はいかがなさいましたか??」
「冒険者登録をしにきた。」
「よろしくお願いします!」
受付の女性が「この子が・・・??」
と言う目でみてくる。
周りの冒険者からも
「あの子が??」とか「すぐ死ぬんじゃねぇか??」とか色々聞こえる。
そりゃそうだ!
私が全然強そうに見えないのは自覚がある。
周りにいる冒険者たちを見ると男性も女性も大柄でら強そうな人が多い。
というかそもそも冒険者に限らずこちらの人は体格の良い人が多いみたい。
「登録料は大銀貨3枚です。
では、こちらの登録用紙に記入をお願いします。書けるところだけで構いません。
あと下の禁止事項にも目を通してサインをお願いします。
みどりは名前と年齢と武器(戦闘スタイル)だけ記入し渡す。
「ミドリさん。25歳。
あぁ、魔法使いなんですね。」
魔法使いは直接闘う訳ではないのでまだ他の戦闘スタイルの人より強そうには見えない人が多いらしい。
周りの冒険者からも「魔法使いか。」という声が聞こえる。
「こちらで登録は完了です。
初めはFランクからです。受けられる依頼は1つ上のランクまでなのでF・Eランクの依頼は受けられます。
依頼は向こうの掲示板に貼ってありますので受けたいものがあったら紙を持って受付に来てください。
依頼失敗の場合は違約金が発生しますのでご注意ください。
冒険者ランクにより期間が決まっており、その期間内に必ず1つは依頼を受けていただきます。
F・E →1か月
D・C・B →3か月
A・S →6か月
これを破ると冒険者カードの利用が停止し、再開に大銀貨5枚がかかりますのでお気をつけください。」
「わかりました。」
「では、こちらが冒険者カードです。
カードをなくした場合も再発行に大銀貨5枚がかかります。気をつけてくださいね。」
「はい!」
赤銅色のカードに名前と年齢と冒険者ランクが書いてある。
「みどり。
とりあえず依頼を1つ受けておかなければFランクだから1か月以内に依頼を受けないと。
次いつこちらにくるかわからないだろう?」
「わかりました。」
「Fランクの依頼なら簡単なものばかりだ。明日の素材集めの時ついでにしよう。」
受付を離れ掲示板を見る。
「これにしよう。
タイム草とセージ草の採取。これなら明日素材集めのついでにできる。」
「ん?あぁ、これも一緒に受けよう。
魔法使い向けの依頼だ。
魔力石の作成。魔力石は魔法使いが魔力を固めて作る石だ、。
魔法使いの魔力や技量により色、質が異なる。
石の仕上がりによって相応の値段で買い取ってもらえる。」
2つの依頼を受けることにし受付で手続きを済ませ、冒険者ギルドを出る。
「さて、次は嶺二の妹の家に行こう。
ここから歩いて20分くらいのところだ。」
嶺二さんの妹さんの家まで歩いて向かいつつ、町の中を見る。
屋台や露店がいっぱいある。
見たことのない料理や食材、小物がいっぱいだ。
見ているだけで楽しい。
「買い物は明日だ。
私も買い足さなければならないものがたくさんあるからな。」
もっと見たいと顔に出ていたらしい。
「わかりましたよー。」
「ほら、もうすぐだ。
あの角の赤い屋根の家だ。」
家に着き弓波がドアをノックする。
「はーい!」
中から女の子の声が聞こえた。
「久しぶりだな、リリー。」
「アオイ!久しぶりね。
そちらの方は??」
「今助手として私が魔法を教えているミドリだ。」
「ミドリさん。
はじめまして、リリアンヌといいます。
リリーって呼んでね!」
「はじめまして、ミドリです。
よろしくおねがいします!」
「中に入って!
お茶を入れるわ。」
弓波さんと一緒に家に入る。
こちらの世界は海外と同じ土足らしく、そのまま中に入る。
「さ、ここに座って。」
リリーさんは嶺二さんと同じ暗い赤髪のフワフワなロングヘアで華奢でかわいい。
あの筋肉マッチョ、嶺二さんの妹とは思えない。
「で、今日はどうしたの??」
「ドレイクから手紙を預かってきた。
1か月は仕事が忙しく帰れないらしい。」
弓波さんは手紙をリリーさんに渡す。
「・・・そう。まあ、仕事なら仕方ないわね。」
「ドレイク?」
「あぁ、ミドリには言っていなかった。
向こうに住むエスティエーリル人は向こうとこちら、2つの名前を持つ。
嶺二の嶺はドレイクのレイからつけたらしい。
私もこちらの名前からあおいという名前にしたんだ。」
そうか。
こっちでは日本名じゃないのか。
「ミドリさんはアーシスの人なの!?」
「あぁ。
向こうで色々ありこちらの世界を知ったため私の弟子した。」
「そうだったのね!
私アーシスの人に会うのは初めて!
もしかしてフードを被っているのも??」
「あぁ、髪と目の色が珍しいから一応被らせているんだ。
ミドリ、この家には嶺二の妹と私たちしかいない。
フードはとっても大丈夫だ。」
それを聞きミドリはフードをとる。
「わぁぁ、すごい。黒の髪と瞳なのね。神秘的だわ!
こちらではどちらも黒というのは見たことがないわね。」
たしかに、町に入ってから周りを見ても髪も瞳も真っ黒の人はいなかった。
「お兄ちゃんの住んでいる世界の話も聞きたいし、仲良くして欲しいわ!友達になりましょ!」
「・・・友達。うれしいです!
よろしくお願いします。」
「敬語はなしよ!友達だもの!」
「よろしくね、リリーちゃん。」
「ええ、よろしくね、ミドリちゃん!」
「2人は歳も近いし、よかったな。」
「そうなの??」
「ええ、お兄ちゃんとはちょっと歳が離れてて、お兄ちゃんが32歳で私が24歳よ。ミドリちゃんは?」
宗次さんは32歳なのか。
「私は25歳。近いね!
弓波さんは??」
「1個しか違わないのね!
というか、弟子なのに年齢の話とか今までしなかったの??」
「あぁ、したことがないな。
私は28歳だ。」
「お兄ちゃんと私とアオイは小さい頃からの幼馴染なのよ!」
「そうなんだね。」
「ええ、私が3歳の時から知り合いなの。」
宗次さんが11歳、弓波さんが7歳の時か。
「昔の話はまた今度来た時だ。
今回こちらにいれるのが明日まででな。
もうそろそろ行かなくては。」
外を見ると少し暗くなってきている。
「もう行っちゃうの??」
「あぁ、またこちらに来た時寄らせてもらうよ。」
「しかたないわね。
あ、みどりちゃん!これよかったら持っていって!
アルレの実のパイよ。」
「こんなにたくさん、わるいよ。」
さっきお茶と一緒にいただいたパイだ。林檎のようなマンゴーのようなフルーツがたくさん入っていて美味しかった。
「せっかくだものみどりちゃんに食べて欲しいわ!向こうにはない食べ物なんでしょう??
もしわるいと思うなら今度は向こうのお土産を持って遊びにきて。約束よ!」
「うん、ありがとう!また遊びにくるね!」
「じゃあ、また来る。」
「またねー!」
「この後はどうするんですか??」
「宿を取る。
森に戻りまた明日こちらに来るのは嫌だろう??」
「絶対に嫌です!宿に行きましょう!!」
もうあんなに歩くのは勘弁だ。
《世界樹の小枝》
この町で綺麗だと人気の宿らしい。
中に入ると1階は食堂&酒場になっているようだった。
「いらっしゃい。《世界樹の小枝》へようこそ。
食事?それとも宿泊??」
女将さんがこちらへ訪ねる。
「宿泊だ。
2人だ。部屋は別で。」
「はいよ。
宿泊だけだと1人大銀貨4枚。
朝夜食事付きだと1人大銀貨5枚だ。」
「食事付きで。」
「はいよ。
部屋はそこの階段登って右に行ったとこにある。」
部屋番号が書かれた鍵をもらう。
「食事はここに降りてきてね。
ごゆっくり。」
「じゃ、荷物を置いて2時間後に食堂で。」
「わかりました。」
部屋の中はベットと机があり、シンプルな作りになっている。
「なんか、現実感ないなぁ。」
とりあえず、異世界ってすごい。
ついに私は魔法を使うだけでなく冒険者にまでなってしまった。
「いろいろありすぎて、疲れた、、、。」
食事の約束まであと2時間ある。
みどりは少し寝ることにした。
「んー!
ここ。どこ??」
みどりは目をさまし伸びをする。
「あ、そうだ。エスティエーリルにきてるんだった。」
・・・て、今何時!?
やば!約束した時間まであと5分しかない!!!
みどりは急いで髪を整え食堂に降りる。
「遅い。」
弓波さんはすでに席について待っていた。
「ごめんなさい、疲れて寝てしまって。」
て、遅いって言うけどギリギリ間に合ってるぞ!
「お嬢ちゃんも来たね。
はい、今日の夕食だよ。
レッドボアのシチューとサラダ、パンだよ。」
レッドボア
また異世界食材だ。
ボアってことは、猪??
猪肉は食べたことがない。
「レッドボアは赤い毛の猪だ。
牙が大きく鋭い。2メートルくらいの魔物だ。」
赤い猪??どんな味なんだろう。猪だから豚肉みたいな感じかな??
「いただきます。」
しっかりと煮込んでありお肉もとても柔らかい。美味しくてあっという間に食べ終わってしまった。
「ごちそうさまです。
この後はどうするんですか?」
「部屋に戻り必要な魔法を教える。
浄化の魔法と魔力石の作り方だ。
浄化は体を綺麗にできるし、魔力石は明日冒険者ギルドに持って行かなくてはいけないからな。」
これから魔法の練習ですか、、、。
けど体を綺麗にできないのは辛いし魔力石も必要だし、疲れでクタクタだけどしかたがない。
「部屋に戻るぞ。
私の部屋で練習をする。」
「はい。」
部屋に戻りベットに座る。
「まずは浄化の魔法だ。
浄化は体や部屋、さらには怪我をした時の傷口など色々な時に使える。
対象全体に魔力を纏わせ綺麗になることをイメージし魔法をかける。
手本を見せるから参考にしなさい。」
【浄化】
弓波さんがそう言うと、弓波さんの体の周りがキラキラと光り、光が消えると服の汚れ等がなくなっている。
おお!すごい!
これってできたらかなり便利なんじゃないの!?
「魔法を使う際の言葉は特に決まっていないが、魔法を使う本人が魔法をイメージしやすい方がいい。」
「やってみます!」
体の周り全体に魔力を纏わせて、綺麗になるイメージで・・・
【浄化】!
体の周りに集めた魔力がキラキラ光る。
「わわっ!」
「大丈夫だ。すぐに収まる。」
光が収まると服の汚れがとれ、体全体がサッパリしていた。
「すごい!この魔法、すごいです!!」
「この魔法は使う機会が多い。
覚えておくといい。」
「はい!」
「次は魔力石の作り方だ。
これは両手を組み手のひらから魔力を流す。
そしてその魔量を圧縮し練り固め石にするのだ。
これは比較的簡単で魔力を固めるイメージができればすぐに作れる。
だが魔力量やイメージにより仕上がりの出来が違うから、一回できるようになったらそれでいい訳ではなく質のいい魔力石を作れるようになることが大切だ。」
「わかりました。」
みどりは両手を胸の前で組み、集中しながら固まるよう魔力を流す。
すると組んだ手の間に小さな石のようなものができ、徐々に大きくなっていく。
「ふぅ。」
手を開くと、5百円玉くらいの綺麗な緑色の石が入っていた。
「綺麗。宝石みたい。」
「【鑑定】
うん、なかなかいい出来だ。」
待った待った!!
鑑定!?
それってよくアニメとか漫画に出てくる鑑定ですか!?
「鑑定が使えるんですか!?
私もそれ教えてほしいです!」
「鑑定は教えることができない。
調べ物を沢山すると使えるようになるだの、向こうの世界に行くと使えるようになるだの、はっきりとどうやったら使える様になるのかわからないものだからだ。
稀に勝手にステータスに追加されている。」
「ステータス??」
「ああ、自分の情報や能力を数値化する魔法だ。」
「そんなものがあるんですか!?」
「基本的な魔法だ。
ステータスと言いながら魔力を流す。」
【ステータス】
----------------------
文月みどり (25)
種族/人間
職業/魔法使い
HP 352/352
MP 5260/5680
戦闘スキル
・火魔法 Lv.1
・水魔法 Lv.1
・風魔法 Lv.1
・土魔法 Lv.1
・木魔法 Lv.1
・光魔法 Lv.1
・闇魔法 Lv.1
生活スキル
・鑑定
----------------------
「あー!!!
鑑定、あります!!!
なんで!?」
「ステータスを鑑定で見てもいいか??」
人のステータスを勝手に鑑定するのはあんまり良くないみたいね。
「どうぞ。」
「【鑑定】
たしかに鑑定があるな。」
「もしかしたら、さっき言っていた調べ物じゃあないですか?
向こうの世界ではスマホとかパソコンとか、毎日のように色々調べて生活してるじゃないですか。
弓波さんもそうでしょう?」
「ふむ、それなら向こうに行くと鑑定が使えるようになるというのも当てはまるな。
そういえば私も使えるようになったのは向こうに行ってしばらくしてからだ。
だが確実にそうとは言えない。
これは誰にも言わない方が良さそうだな。
変に噂が広まって向こうの世界に来る人が増えても困る。」
扉の管理や向こうの異世界人の依頼は全て弓波さん1人で行なっているから、たしかに増えたら大変なことになるだろう。
「わかりました。」
「明日も早い、今日はもう休もう。
明日は朝8時に食堂集合だ。」
「はい!
おやすみなさい。」
私は自分の部屋にもどり着替え、食事前に汚れた服のまま寝てしまったベットに覚えたての浄化を使い、眠りについた。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます