『手っ取り早く、ざまぁを楽しもう。』
これは、この物語の作者さまが用意なさったキャッチフレーズである。
用意された、5つのシナリオは、今や、様々な物語に取り入れられ、巷では人気を博しているものも多いだろう。それほど、王道のシチュエーションばかりである。
しかし、この物語、その結末に至るものが、少し違うのです。
世界に蔓延る『ざまぁ』の物語で、いま、多く展開されているのは、どれも『仕返し』止まり。
そのほうが、読者には共感を与え易く、感情移入し易く、ラストの爽快感も格別のはず。
でも、この5編では、『ざまぁ』の行き着く先が、すべて、被害者の『復讐』として展開されていく。誰も彼も、深い闇にその身を堕としていく。爽快感を得られるのは、物語の被害者だけ……。
これでは、読者は爽快感など得られないと思う。思うのだが……、わたしは、読むことを途中でやめられなかった。黒い感情に囚われながらも、おもしろいと思ってしまった。
物語から溢れる残酷な負の想いに、貴方もきっと引き摺り込まれていくことでしょう。