第8話騎士団争奪戦
「今日はあたしの日だよ!」
そういきり立つのは第三小隊の隊長だった。
「いいえ!今日はわたくしとの日です!」
負けじと返すのは第四小隊の隊長であった。
「二人とも落ち着いたらぁ?なんならあたしがぁー変わってあげようか?」
指先にマニキュアを塗りふっと息を散らすのは第五小隊隊長
何故こうも争っているのか。
原因は先日行われた隊長直々の模擬戦が原因だった。
直接指導を受ける事が少ない隊長達はそれを見て不満が爆発。
自分達をもっと大事にすべきだと主張した結果
「一日ずつでいいなら…模擬戦してもいいけど?」
それを聞いて即座に私が!私が!と争いになってしまった。
「今日は無しね?明日からね?」
翌日は第二小隊に取られてしまった。
「私は隊長の補佐だぞ?何故私が一番ではない?」
と理由っぽくて全然理由になっていない事を言われ強引に模擬戦へと持っていった。
結果は大敗したのだが、彼女は非常に満足そうに語った。
「一挙手一投足全てが洗礼されていた…その動作が私に向けて放たれていると思うと…」
確かに隊長が自分に向って来てくれる何て事はまずありえない。
騎士団入団当初は訓練で一緒になる事が多かったが人が多くなるに連れて隊長は指揮する立場に変わった。
それでも先日のような緊急戦闘があった場合には先陣を切っていく。
そして本日は次に誰がやるのかで揉めている最中だった。
「いつまでも決めないと隊長に迷惑だぞ?」
「てめぇは既に終わったから余裕かましてるだけだろうが!」
「ですから!貴方が遠慮してくれればそれで終わりなんですのよ?」
「何であたしが遠慮しなきゃならねぇんだよ!」
「だからぁーここは間を取ってあたしがぁー先にやるのがベストー!な感じ?」
これを傍観しているだけの他の隊長達は思う
何故急ぐ必要があるのか…全員を相手してくれると言ってるのだからおとなしく待っていればいいのに…
「もういい!隊長に聞きに行くぞ!どっちがいいかってな!」
「いいでしょう!まぁ、勝負の結果は見えていますけどねぇ」
「もうわたしはぁ…どっちでもいいやぁ」
二人が隊長の部屋の前に到着すると中から丁度隊長が出てきてくれた。
「ん?二人ともどうした?」
「隊長は今日誰と模擬戦するんだ?勿論あたしだよな!?
「隊長!遠慮なさらずに言ってください!今日はわたくしだと」
「あれ?今日は11小隊って聞いてたからこれから行く所なんだけど…?」
「「え・・・?」」
悪寒を感じ後ろを振り向くと壁際から顔だけを出した11小隊隊長の姿が見受けられた。
「そこにいたのか。先に格納庫いってるからな」
そう言って隊長は格納庫へと向った。
「ぷぷ…馬鹿が二人…ちょろいちょろい…」
独立宇宙軍"鉄騎士団"の物語 @syouta02
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