夜が明けるまで
暗藤 来河
プロローグ
小さなライブハウスの控室。
俺はステージで演奏中のバンドの音を聞きながら、ギターのチューニングをしていた。
今日のライブが終われば俺はこの世を去る。そのことに悔いはない。最後にこんな機会をもらえたことがありがたいくらいだ。
チューニングを済ませて、この後演奏する予定の曲を弾く。多少の緊張はあるが、指はちゃんと動く。続けて歌を口ずさむ。喉の調子も悪くない。
ステージの方から大歓声と拍手が聞こえる。前のバンドの出番が終わったらしい。
楽器を抱えて演奏を終えた四人が控室へ戻ってくる。
お疲れ、と声をかけると、ありがと、そっちも楽しめよ、なんて返される。
ギターとピック、タオル、水を持って立ち上がる。
俺に与えられた時間は四〇分。人生を締める最後の舞台にしては短い気もするが、俺には十分な時間だ。
さあ、最高の夜を始めよう。
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