僕と君は友達だと思うんだ。

緑乃鴉

それは唐突に。

 春、学校の屋上で男子が二人。桜野花と隅野蘭は、休み時間を利用してボーッとしていた。


 晴れ渡る空を見上げる蘭は口を開く。


「なぁ、BLって知ってるか」


「知らない、教えて」


 ─────その時、花の額にある感触が広がった。虫でもない、ゴミでもない、それはマシュマロのように柔らかくて、暖かいもの。


 咄嗟の出来事に目が点になる花だった。しばらくして、蘭は花からゆっくりと離れた。唇の痕を、額に残して。


「これが、BL」


「ときめいたぞ、どうしてくれる」


「いいじゃん、好きになっちゃえば」


「勘弁」


 ────花と蘭、笑い合う二人に春風は吹く。

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