二杯目 澪MIO

さて今夜もちびちびと行きます。


が、さすが下戸。あんなに旨いうまいいっていたふなぐち、今日は身体が受け付けません。


「一番しぼり」の文字がなんだか切なく光っています・・・。


まあ、ゆっくりいこか。で、みおのお話ね。


そう、澪との出会いはなんとなく。


いや、実は私の彼がアルち・・・もとい酒好きなのだ。


ほぼ毎晩飲んでいる。やはりアル・・ちゃう根っからの酒好きなのだ。


そんなアル中が日本酒について語っていたのが耳に残っていたのかもしれない。


何となく覚えているのは「日本酒は世界でもっと高く売れてもいいはずなのに、なぜ海外のワインやその他の酒より安価なのか!おかしい!」のようなことをぶつぶつ言っていたことか。


別段販売業や酒造メーカーなどとの係りはまったくない彼だが、たぶん投資家目線なんだろう。


それはさて置いて「澪」との出会いは仕事帰りのコンビニの棚だ。長らく誰も手を付けてなかったのか、うっすら埃をかぶっていた。


さらに数年前に「アスティ」という甘口のスパークリングワインにハマっていたことを思い出しスパークリング=甘口で美味しい、の構図の出来上がっていた私は、その青くて綺麗な300mlボトルに惹かれ、軽いつまみとともに購入し帰宅した。


これまでは日本酒は玄人っぽい、辛い、など飲みたいと思うイメージがこれっぽちもなかった。


その前に私の地域では日本酒よりもメジャーに飲まれているのは「泡盛」なので大衆向けの居酒屋ではほとんどお目見えすることはない。


泡盛については、夜のバイトをしているときに浴びるほど飲んだので今はもはや飲みたいとも思わないのだがね。


そしていそいそと帰宅した私はさっそく澪を冷凍庫に入れ、シャワーや明日の準備を手早く済ますと、かしこまったようにキンキンに冷えた澪を小さめのコップにゆっくり注いだ。


コップのなかで細かい気泡がしゅわっと弾ける。大量の小さな泡がぷちぷちと酒の表面で割れる音がし、何とも言えないお米の甘い香りが鼻腔をやさしく刺激する。あらやだ匂いから美味しそう!


・・・やばい、これ絶対美味しいヤツじゃん!!!!!


なんせ300mlで500円を超えてくる。しかもこんな匂いさせといて、美味しくなかったらホントに泣いちゃうよ!


こくっとひと口飲んでみると、やさしい甘みと日本酒のふくよかな薫り、炭酸の爽やかさが口の中で文字通りスパークリング。


おいっしい!日本酒って美味しかったんだ!!甘酒のさわやか版みたい!


そのあとは本当にかみしめるようにゆっくりじっくりと澪の甘みを舌の上で味わった。


・・・くっ・・思い出しただけで飲みたくなる・・。


お酒の一口ひとくちを味わって飲んだのは澪が初めてだった。


翌日の仕事中も、帰宅したら澪が飲める!という期待で浮足立っていたのを覚えている。


それから数日は澪が頭から離れなくなった。


「澪が飲みたい・・澪!」「あのコンビニには澪が無かった!」「このスーパーには澪が置いてない!」「うう・・澪飲みたい・・」「澪って日本酒スパークリングがまじでうまいから飲んで!」「もう澪ない・・・」「澪・・・・」


と、みおは私をゾンビ化させる恐ろしい酒である。

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