第4話 野球3 ピッチャーは誰?

「ファイト!」

「おお!」

「ファイト!」

「ほえ~。」

 ライト文芸野球部がランニングをしている。しかし、ライト文芸部員の面々は体力がなく、グラウンドに息絶えて倒れていった。

「みんな! がんばれよ! ワッハッハー!」

 天は、野球部との試合でカロヤカさんのボールで吹き飛ばされ、全治1年の大けがを負った。そのため練習をサボっている。

「殺す。」

「うらやましい。」

 練習をさせられるライト文芸部員たちは、天に呪いをかける。

「親戚に五寸釘を打ち込まないでください!?」

 呪いの藁人形に天の写真を貼って釘を打ち込むライト文芸部員たちを必死で止める案山子1号君たち。旧野球部の部員は全て案山子である。

「ここまでは面白い。(たぶん。)」

「苺ちゃん、問題は、どうすればカロヤカさんの球を取ることができるかだよ。」

「そうね。」

 顧問の苺先生と天は、ピッチャー、カロヤカの光の魔球をどうやってキャッチャーが取るかを創作するのであった。

「みんなの意見を聞いてみよう。」

 ライト文芸部のお約束、創作の1人1言1巡である。

「先生、私も天と同様、けが人にして下さい! 故障者リストに入ります!」

 麗は、自己弁護に走る。

「私は三塁を守ります。安心して他の人を病院送りにして下さい。」

 大蛇は、三塁ベースを手放さなかった。常に三塁ベースを持ち歩いている。

「先生! 部長! 私にカロヤカさんのボールが取れると思いますか!? 笑ってお断りします。ニコッ。」

 笑は、笑っていればなんとかなると思っている。

「みなさん! 今日の和菓子は、もしかしたら洋菓子のバウンドケーキです! もちろんお茶もありますよ! エヘッ。」

「コンコン。」

 本物の幽霊おみっちゃんとコンコンは、メンバーだが、マネージャーのような仕事をしている。

「ピッチャーをカロヤカさんから変えればいいの。そうしないと野球の試合にならないもの。私は幽霊部員だから試合には出ないわよ。あ、私は食べたら帰るからね。」

 幽子は、試合に出ることはないだろう。

「さあ! 創作スタート!」

「そういえば、奏はどうした?」

「ロイヤルは、皇室の行事でペルーのマチュピチュに行っています。」

「無理ですよ。ロイヤルがケガでもしたら、ライト文芸部が廃部にされてしまいます。」

「そうか! ロイヤルが帰ったらピッチャーをやらせよう! 皇室の娘のボールを打ったら、宮内庁のスナイパーに撃ち殺されるだろう! ワッハッハー!」

「マジか!?」

「サブエースの誕生ですね。」

 カロヤカにお任せあれ。

「ちょっと待て。初期の想定のライト文芸部のスタメンはどうなっていたんだ?」

「顧問、苺先生。」

「ピッチャー、カロヤカさん。」

「キャッチャー、天。」

「ファースト、幽子。」

「セカンド、笑。」

「サード、大蛇。」

「ショート、麗。」

「外野、本物の幽霊おみっちゃんとコンコン。ロイヤル奏。」

「フルメンバーだな。」

 カロヤカにお任せあれ。

「そして、次に野球部と戦う前のスタメン。」

「顧問、苺先生。」

「ピッチャー、カロヤカさん。」

「キャッチャー、天。」

「ファースト、幽子。(幽霊部員の帰宅部なので不参加)」

「セカンド、笑。」

「サード、大蛇。」

「ショート、麗。」

「外野、本物の幽霊おみっちゃんとコンコン(和菓子の買い付けのため不参加)。ロイヤル奏。(公務でペルーのため不参加。)」

「ということは、どういうことだ?」

「野球部と戦う前から、ファーストと外野3人はいなかった、ということになる。」

「よくそれで試合をやったな。」

「カロヤカさんがいればこそだ。これ異世界テイストを抜けば、「どうしよう!? 廃部しちゃう!? 一緒に野球をしてくれる仲間を預けなくっちゃ! みんな! がんばろう!」「おお!」という、お決まりの展開だね。」

 カロヤカにお任せあれ。

「次に部活同志提携して、ライト文芸野球部になってのスタメン。」

「顧問、苺先生。」

「ピッチャー、カロヤカさん。」

「キャッチャー、不在。(天は、カロヤカさんのボールを受けて、全治1年。)」

「ファースト、不在。」

「セカンド、笑。」

「サード、大蛇。」

「ショート、不在。(麗は、仮病。)」

「外野、不在(誰もいなかった。)」

「なんじゃこりゃ!? カロヤカさんと大蛇と笑の3人しかいないではないか!?」

「これが現実よね。」

 カロヤカにお任せあれ。

「最後に現在の最終決定のスタメン。」

「顧問、苺先生。」

「ピッチャー、カロヤカさん。」

「キャッチャー、本物の幽霊おみっちゃん。」

「ファースト、案山子1号。」

「セカンド、笑。」

「サード、大蛇。」

「ショート、麗。」

「外野、コンコン、パンパン、カモカモ。」

「どうだ? 完璧だろう。」

「透明の幽霊にカロヤカさんの剛速球を受けることが出来るのか!?」

「大丈夫。透明になってバックネットに転がったのを、おみっちゃんが取る。透明と実体化の使い分けだ。その度に審判は死ぬだろうがな。」

「外野は全員、小動物なんだが? ポケットモンスタ〇でも目指しているのか?」

「仕方がない。それか案山子2号から4号でカバーするしかない。パンダと妖狐と鴨もカワイイし、人である必要があるのなら、擬人化すればいいしね。」

「人様のパンダを勝手にセンターに配備するのはやめてくれ。」

「美代先生!? みなみちゃん!? どうしてここに?」

「帯同医だ。安心してデットボールに当たるがいい。」

「歯科医だろうが!?」

「歯だけは任せろ!」

「無茶苦茶な。」

「で、みなみちゃんは?」

「私も試合に出たいんですが、年齢を詐称しましょうか?」

「やめて下さい!」

「でも、パンダや妖狐、鴨が出れるぐらいだから、みなみちゃんが出ても問題がないんじゃないか?」

「そうですね。もう現代ドラマは捨てて、アニメ狙いですもんね。」

「ということで、みなみちゃんはファーストにしよう。」

「違うよ。ファーストはこいつだ。」

「うわあ!? 何をする!?」

「あ!? 部長が飛び跳ねている!?」

「どういうことですか!? 天部長!? 全治1年だったんじゃないんですか!?」

「仮病だ。」

「ええー!? 仮病!?」

「バレたか。チッ。」

「部長、最低。」

「天、おまえがファーストだ。」

「仕方がない。やってやるか。」

 カロヤカにお任せあれ。

「こうなってくると、設定もあったものではないが、辻褄合わせをするか。みなみちゃん。」

「はい、美代先生。」

「キャッチャーをやろう。」

「エエー!? 私を殺す気ですか!?」

「みなみちゃん。キャッチャーをやったら1球を受ける度に1円を給料に加算しよう。」

「やります! やらせてください!」

「これでキャッチャーは大丈夫と。」

「もう必殺技野球なのは確実。社会人のみなみちゃんも出場するんだから。何でもありだな。」

「美代先生、私たち教師で良かったですね。」

「まったくです。だって、ケガしたくないですもんね。あっはっは。」

 こうして、ライト文芸野球部は準備を整えていく。

「目指せ! ライト文芸甲子園!」

「おお!」

 カロヤカにお任せあれ。

 つづく。

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