扉の向こうは不思議な世界(敢えてそのまんまのタイトルで勝負!)
齋藤 龍彦
第1話【玄関扉】
『世が世なら——』ということばがある。俺の家、今は無き祖父の代はたいそうな資産家だったらしい。だから世が世なら俺はお坊ちゃまで二千万円程度の外車で送り迎えされていた——らしい。
そう母親から聞かされること数度だがもう止めて欲しい。空しくなる。
当時の経済環境の激変により当時の豪邸は差し押さえられ今の我が家に残っている古の栄光は————かつての玄関のドアだけである。(これがとられなかったのは差し押さえの直前に安物と交換でもした、のだろうか?)
高級な木材を使った一枚板の玄関扉。そのドアだけが我が家の物置で昔々の栄華を語っている。
あーあ、と思っていた。くだらない、とも思っていたドア。しかしこれが一枚板であることを知ったのはつい最近のことだ。
もしかしたらスゴイ値のつく物かもしれないと、俄然興味が湧いてきた。もちろん俺が勝手に売っぱらうことはできないが、いわゆる『家に眠るお宝』ってやつだ。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録(無料)
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます