ソラノ

たいやき

第1話 穏やかな朝

私が最初に竜を見たのはサクラとか言う花が咲く黄金の国でのことだった。

広大な湖の中から静かに煌めく角を現した竜はその透き通った身体をくねらせながら雲と雲の間に溶けていった。



「おはよう」

良かった。今日も穏やかな朝が来てくれたようだ。

「ああ、おはよう」

デジは木の戸を開け朝陽を浴びながら小川へと足を運ぶ。川を見るといつもあの日に見た竜を思い出す。澄んだ水で顔を洗い来た道を戻るとそこに少年が立っていた。

「良い朝だね」

少年はこの朝には不釣り合いなくらいの張りのある声でこう言った。

「そうだな」

ん?・・・そういえば、私はこの少年を、知らない。いつからここにいたのだ。

「お前は、だれだ?」

「アハバです」

「お前はなんだ?」

「・・・にんげん!」

「そうか、で、お前はなんだ?」

「に・ん・げ・ん!」

「・・・そうか」

どうやら人間らしい。まぁ見た目も人間だし今のところは信じてやろう。だが少年、私はなk

「すみません内の子が!」

女が木の戸を開けて入ってきた。もう、なんだ。これは。くそ。くそ。穏やかな朝だと思っていたのに


「私はカヤ。そしてこれが弟のアハバ」

アハバなる少年はいつの間にか寝ていた。聞いてみるとどうやら夜通し歩いてここまで来たらしい。

「実は私たち竜を探してるの」

カヤはすがるような目でデジを見ながらそう言った。

「・・・。すまないが、協力することはできない」

デジはそう言うと棚からおもむろに乾燥肉と、かすれたパンを取り出した。ゆらゆらと数歩か歩くと木の丸太を立てただけのイスにどかっと座った。

「それは、ダメなの。一緒に来てもらうわ」

デジがカヤの方を見たときには、カヤはナイフをこちらに向けていた。

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