第48話 ラガーは変わるな

そうとう昔ですが、小学生の頃からCMに興味があり、将来はCMに関係する仕事に就きたいなぁなんて考えていた僕ですが、忘れられないCMがあります。


キリンラガーのCMです。


ダンカンが出ていて、ダンカンと水道屋さんをしていたダンカンの父の姿が画面に映し出され、ダンカンのお父さんは仕事が終わるといつも決まって一杯飲み屋でラガーを飲んでいたことが明かされます。


そして画面は現在の親となったダンカンに戻り、「オヤジの好きだったラガーの味、わかる歳になっちゃったよ」と締めくくられます。


この動画、どこを探しても残っていません。



人生には色々なことがあり、時に、苦い思いをして一日を終えることもあるでしょう。


そうした一日の終わりに、あの苦いラガーがしっくりくるのです。


苦い味のビールが敬遠される中、キリンが自分のトコの一番の看板商品に、苦い味を残していること。


それは、僕には、苦い一日を終えた、苦い自分へのご褒美であると思うのです。



苦い一日の終わりに、苦いビールで、人生を噛み締める。そんな気がするのです。


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