第7話 執筆待ちの間の時間つぶし②


 ちょっと時間つぶしに私の過去のリレー小説の成功例(失敗例)をご紹介したいと思います。今を去ること×年前、まだ私が大学生の時にやったリレー小説です。


 メンバーは友人5人と私。男子3人、女子3人でした。ノートに手書きして回覧していましたので原文は残っていません。私の記憶です。



 俺は大学2年生の男。ある日下宿のアパートで風呂から上がると友人のサクラから電話がかかってきた。明日、映画に行かないか、という誘いだった。

 「いい、サクラとは行かない」と素気なく断る俺。「なんでー、行こうよ」サクラはなおも食い下がる。

 延々と続く行こうよ行かないの話。ついに俺はブチ切れて叫んだ。

「だってサクラ、俺のことフッたばっかじゃねーか。ぜってー行かねー。俺はこれでも傷ついているんだ!」

 それでも俺はサクラと映画に行ってしまった。映画を見終わった後、公園のベンチで話す俺とサクラ。「キミのことは嫌いじゃないんだよ。むしろ好き。でも、今は私たち付き合えないの」「な、なんで?」そのままサクラは走り去って行ってしまった。


「クソ、香港の夜景が沁みるぜ」俺は手の中のコルトパイソンを握りしめて、サクラを狙う悪の組織コアテックスの首領のアジトへ潜入した。

 首領のミスターブリタニカはニヤリと笑って俺に言った。「必ず来ると思ってましたよ。でも少し遅かったようですね」ブリタニカの後ろには捕らわれたサクラがいた。「逃げて!」サクラは怒鳴った。「逃げるなら一緒だ。死ぬのも一緒だ、サクラ。お前のいない世の中に価値はないんだ!」俺のコルトパイソンが火を噴いた。


 脱出に成功した俺たちは公園のベンチにいた。「やっぱり俺たち付き合えないのか?」「うん。本当の話をするわ」サクラは自らの過去を語り始めた。「私、桃の妖精なの。何千年もこの容姿のまま。キミと一緒に年を取れない。これがどれほどツラいことかキミには分からない」「キミはキミの人生を歩むべきなの。私はキミの見た幻。キミはもうすぐ私のことを忘れてしまうでしょう。でもいつか桃の花を見て、私を思い出してくれると、うれしい」


 その時咲き誇る桃の木の枝が光って、サクラは消えていった。


「サクラ……、サクラなのに桃の妖精だったのか、おまえは……」



 おわり



 というお話しです。はい。支離滅裂ですね。でもこんなもんなんです。リレー小説ってのは。でも随所に今思い出しても笑えるところがあります。


 トップバッターを書いたのは女子でした。どうやら学園ロマンスものにしたかったっぽい出だしですね。二番手は男子。こいつもラブコメを目指した感じで、行こう行かないの攻防が異常にリアルで面白かったです。ただそれだけでノート3ページ(だいたい8000字分)ぐらいになっていて、これはやりすぎかもしれません。

 三番手「俺のことフッたばっか」からサクラが公園から走り去るまでが私。

 四番手は女子。後ろが女子だったからそれっぽいフリにしといてあげたのに、全拒否していきなりアクションバトルにしやがりました。しかも香港にワープしてるという。五番手の男子がバトルシーンをきっちり仕上げて、ラストバッターの女子が文学部生らしくファンタジー仕立てで終わらせました。


 最後かぐや姫と混じってない?とか最後のセリフくだらんとか、まあそういう批評は当時さんざん交わされたものです。


 このお話し展開とかテンポとかとても良くて面白かったんですが、登場人物が俺とサクラとミスターブリタニカの3人しかいなくて、そこが話を広げづらかった原因かなと当時の感想戦で言われていました。


 ちなみにミスターブリタニカは本当は女だったそうです。確かに読み返してみると4番手の女子が伏線いっぱい入れていました。でも5番手の男子が一切気付かずにスルーしたという。まあこれは4番手の女子が悪いですよね。もっと出し方考えろよって感じですかね。

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