白瀬さんは恋を知りたい

有栖悠姫

第1話

「気持ちは嬉しいけど、ごめん。」


何度言ったか分からない台詞を、また言った。中学の時は告白を受けることもあったが、今では全て断っている。初めは勇気を出して告白してきてくれた人を傷つけるようで、断り方にも気を使っていたが、慣れというものは断ることにもあるようで、今では息を吸うようにスラスラと言葉が出てくる。


告白してきた相手が顔見知りの場合、断り方にも注意がいる、今回はほぼ面識のない同級生。多少言葉が悪くてももう関わらなければ済む話だ。その分気が楽に感じる。

俺の言葉にしばらく黙っていた相手が、表情を変えずに口を開く。


「そうですか。では他の人に頼みます。態々呼び出して申し訳ありませんでした」


「へ?」


これが彼女、白瀬雪乃とのファーストコンタクトだった。

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る