『独裁者計』

『独裁者計』

　このお話しは、１００％、まったくの、フィクションです。

　現実とは、一切関係ありません。　

　夏向きの『コメディ怪談』と、お考えいただけると幸いです。

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　あるとき、こんな広告が出ました。

　新開発！　『独裁者計』ついに発売！

　相手の声を入力するだけで、その人の『独裁者度』および『リーダシップ度』が計測できます。

　過去、記録が残る、各方面での、多くの『独裁者』または、すぐれたリーダーと呼ばれた人々の音声データや記録から、その話し方の特徴や、語尾の使い方、また実際の行動記録をコンピューターで解析し、相手の『独裁者度』『リーダーシップ度』を算出します！

　パソコンやスマホと接続した小さなマイクを、あなたは装着するだけ。

　相手がどのような性格の人かを、分析して即座にお知らせいたします。

　テレビやラジオの音声でも分析可能です。

　簡単な登録のみ必要で、使用料は無料。ただし、通信費は、ご負担ください。

　＊　この機械は、おもちゃです。専門的な用途には使えません。みなさんで、楽しく遊んでください。

　＊個人情報の保護には、十分、ご留意ください。

　＊この機器の使用により生じたトラブルに、当社は一切、関わりません。問題が生じた場合は、使用者の責任で解決してください。

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　『記事　その１』

　大好評の『独裁者度計』は、『おもちゃ』と銘打たれているが、採用人事や昇格審査などで、秘かに活用している使用者や管理職がいるという。

　採用した人が、後継者となり得るような人材か、逆に、会社を乗っ取るような人材ではないか、自分の地位を脅かす存在にならないか、など、秘かに使う人が後を絶たないという。

　製造元には、おもしろいとう評価と共に、批判も多く、寄せられているという。

　なかには、この機械を使った経営者や上司によって、左遷された、いじめられた、退職を強要されたなどの、深刻な報告もあるという。

　文部省と労働省は、昨日、注意を喚起する文書を発表した。

　また、製造元に対し、調査を行う意向であるともいう。

　『記事　その２』

　この機械を、自国に持ちかえって遊んでいたところ、政府により逮捕されたという情報が、あとを絶たない。

　その多くの国は、独裁的な国家体制である場合が多いが、中には、人権の侵害の恐れがあるとして、取締りを行う方向性が決まった西洋民主主義国もあるという。

　『記事　その３』

　世の中のお騒がせとなった『独裁者計』を製造・発売していた、『宇宙企画Z＆A＆K』社が倒産したことがわかった。

　経営者の男性や、中心スタッフは、現在行方不明という。

　ただし、不思議なことに、実際の債務はほとんどなく、計画倒産だった可能性が高いと見られている。

　『記事　その４』

　非常に不可思議な行方不明者が世界中で続出している。突然消えてしまうので、『神隠し』と言われているが、発見された例は、一件もないということ。我が国でも、約２００人が行方不明である。世界では、１万人以上が行方不明となっている。その共通点は、多くの人が、世界を騒がせた『独裁者計』のユーザー、または、その被験者となった人であったらしいということだ。

　『記事　その５』

　小惑星『デビルスーパースター』は、９５％の確率で、再来年、地球に衝突することがわかった、と、『タルレジャ王国天文台』が１５日に発表した。信頼性が高い天文台として知られる，同天文台であるだけに、世界に衝撃が走った。

　しかし、我が国のある政府高官は、『そのような事実は確認していない』とコメントしたが、『詳細は控えたい』とも本紙の取材に応えている。主要国は、ノーコメントを貫いている。

　『記事　その６』

　世界各地の、天文台やアマチュア天文家が、地球から遠ざかる巨大な物体を観測したと発表している。

　我が国の『中央天文台』も、その様子を観測したとして、２０日写真を公表した。

　当社が得た、『月面基地』に駐在している『報道関係者』からの情報では、『見たことも聞いたこともない、巨大な『宇宙船』らしきものが地球方向から飛び去るのを、この目で、はっきりと見た。』という。しかし、上層部からは、厳しい、かん口令が敷かれているという。

　また、政府関係からも、未だまったく情報が出て来ておらず、野党からも情報公開を求める声があいついでいる。

　『記事　その７』

　杖出首相は、あす正午から、重大発表を行うと表明した。全世界の指導者が、同時に発表をするという。

　『地球は、存亡の危機にある』と、多くの研究者などが、すでに意見表明をしている。

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