ある50代の日払い派遣をしてる男性の物語。
園藤 雅也
ある50代の派遣作業員の男性の一日
朝6時半、俺は自分が住んでる築年数が古くトイレも未だに和式のボロいアパートのドアの鍵を閉めて、外に停まっている送迎の車に乗り込んだ。
そう、俺は派遣作業員だ。
今日は、隣町にある、大手物流会社の倉庫の中で、トラックの誘導とフォークリフトの玉掛け作業が俺の仕事だ。
送迎の車は、他の作業員の迎えに行き、全員乗せた後途中でコンビニに寄り、俺はそこで弁当とペットボトルのお茶、それとリトルシガーと呼ばれる安い煙草を一箱買い、送迎車に乗り込んだ。
元々俺は、有名な難関大学卒業後に某有名大企業で約25年ぐらい勤めてて部長にまで登りつめたのだが、今から10年前ぐらい、俺が40代の時に平成不況が原因で務めていた会社が倒産した。
その当時、俺には妻と当時小学生だった長男と、まだ幼稚園児だった長女が居たが、会社の倒産がきっかけで夫婦仲が冷めて、子供とも仲が悪くなり、妻が2人の子供の親権を持ち、離婚した。
その後に、元号が令和に変わった今でも住んでるボロいアパートに引越し年齢も年齢で社員として雇ってくれる所はなく失業保険も満期間近の時に派遣の仕事を見つけ、今現在もこうしている訳だ。
土日と祝日は特別な用事がない限り、掛け持ちでコンビニでバイトをしている訳だから、休みもあまり無い。
でも、掛け持ちしないと生活が出来ないのだ。
平日は派遣で手取り7500円の日払いの仕事をし、土日祝日は時給950円ぐらいのコンビニでバイトしても、家賃2万円や光熱費、食事代に税金や年金などの支払いで消えるので、近所のスーパーで買い物するか、家に洗濯機が無いからコインランドリーで週に1回洗濯するか、銀行に行って振り込んだり役所に行く時が選挙に投票しに行くぐらいしか仕事以外で外出する事は無い。
家賃とか光熱費を援助してくれる生活保護の一部を受給してもいいのだが、生活保護を受けるのだけは俺のプライドが許さなかった。
唯一の娯楽はチューナーを繋げたブラウン管テレビで番組か、3000円ぐらいで買ったDVDプレーヤーをテレビに繋げて、レンタル屋で借りてきた旧作の作品を見るだけだろう。
携帯電話も未だにボロボロになった2つ折りガラケーと呼ばれる物だ。
それはさておき、朝の7時半に現場の事務所に着き、そこで7時50分ぐらいまで喫煙所で俺は他の人達雑談しながら煙草を吸い、8時丁度に朝礼が始まり、その後ヘルメットと革手袋、反射板が付いたベストを着て、現場の倉庫に移動して仕事を開始する。
10時に10分間の一服休憩が入り、その後に昼の12時まで仕事をし、12時になったところで昼休憩に現場の事務所に戻る。
食事を摂ったあとは、後は自由で中には髪を染めた中卒や定時制高校に通っている若い
30分ぐらい経った後、俺は起きて再び喫煙所に行き煙草に1本火を着けた後、休憩所に戻りヘルメットと革手袋を付けて再び、現場に戻り15時ぐらいの2回目の一服休憩まで仕事をする。
2回目の一服休憩が終わった後、たまに残業があったりするが、だいたい定時まで仕事をして、1日の勤務が全て終わった後、休憩所に置いてある自分の荷物を取りに行き、外の駐車場に停まってある送迎車に乗り込み、送迎車の運転手の派遣会社の社員から日払いの給料を貰い、1番後ろの席に座った。
煙草の臭いが充満する車内で、若い
どうこうしている内に、俺が住んでいるボロいアパートの前に着き、俺は車から降りた後にそのまま送迎車は他の作業員が住んでる場所へ向かって走って行った。
そして、俺は自分が暮らしている部屋に入った後、仕事の荷物を置き、作業着のまま外に出て家の鍵を閉め、歩いて3分ぐらいで着く近所のスーパーで、割引になった惣菜と見切り品の食材と激安の缶チューハイを1缶買い、そのまま家路へ向かった。
帰ってきた後、簡単な出来合いのものを作り、それに割引の惣菜とレンジで温めたパックのご飯と缶チューハイを食卓へ並べ、テレビを着けた後それを見ながら食事を摂るのが唯一の俺の至福の
食事をし終わった後は、それらを片付けた後、狭い浴室に向かい体を流す。
そして、毎回浴室の鏡を見る度に、若い時はかなりモテていたぐらいの男前と言われた俺も、今じゃ顔も深掘りのシワが沢山できて、頭もてっぺんがハゲて白髪も増えて、ぽっこりお腹なった姿を見て悲しく思うのだった。
体を流した後、体をバスタオルで拭いて白のランニングシャツを着て、質素なトランクスを履いた後、洗面所が無い為、俺は台所で歯を磨き、100円ショップで買っているT字剃刀で髭を剃った後、テーブルの前にあぐらをかいて座り一服し終わった後、テーブルなどをずらして布団を床に敷き、大体夜の10時半ぐらいに消灯して就寝する。
明日も朝は早いのだ。
寝る前はたまに、布団に入った状態で携帯電話で撮った幼い頃の息子と娘2人が笑いながら写ってる写真を眺める時があったりする。
離婚したとしても、やっぱり親だから例え嫌われてたとしても、自分の子供だから心配だったりするのだ。
こうして、俺の一日が終わり、明日からまた新しいいつもの一日が始まる・・・
どんなに今の生活が貧しくても、それでも俺は生きていかなければならない。
毎日をそうして生きていけば、たとえ小さな事でもまたいい事が起きる筈だから。
ある50代の日払い派遣をしてる男性の物語。 園藤 雅也 @masaya_endou
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