1部

S01 冬泉奉の誰にも言えない秘密 2月19日

************

振り向いてくれないのはわかってたんだ。

それは、私に原因があるって知ってたから。

時間が解決してくれるってみんなは言うけれど、

私は今、救いを求めていたんだ

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――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉 PM15:00――


彩音(あー、紅茶飲み終わっちゃった……。どうしよう、またひと眠りしようかな……)


もみじ「今日のオススメ台は戦国BASARAXですよ。私の毛利に勝てたらケーキが無料キャンペーンやってますー」


彩音(毛利……また照覧あれっていってそう……)


▶謙二はそそくさと席を外し、ドアから出ていこうとします


もみじ「はーい逃げないのーのー!宇宙旅行の実験台になってくれてもいいのよ?のよ?」


謙二「ちょっと外の空気を吸いたくなっただけですよ、やだなぁ」


もみじ「またまたぁ。じゃあちょっとお金儲けできるお話あるんだけど、受けてかない?」


謙二「えっと……もうちょっと席でゆっくりします」


もみじ「ごめんねー時間がないからはいけっていー!そこの無銭飲食ちゃんと一緒に、小学校行ってきてくれない?」


彩音「わぁ、えっ何?ご用事?」


もみじ「女子小学生の一部から異常なエネルギーを発しているらしいの。悪鬼になっちゃうと面倒だからナンパしてきてくれる?」


彩音「んー……。今お金ないから私はいいけど、そっちは?」

謙二「今日はちょっと体調が……。あ、謙二けんじって言います」

彩音「私は水上彩音みかみ あやね、お好きに呼んで……。で、それだと人手が足りなくなるんじゃないかなって思うんだけど」


もみじ「あーそれね。うちに来る常連さんのうち何人かを勝手に調査させるから、 先やっといて★名前は冬泉奉ふゆずみ まつり、この顔よ」


▶もみじは写真をみんなに手渡します


もみじ「ということでなつめくん。引率してくれると助かるわ」


謙二「あーおなかいたいおなかいたい……」


もみじ「行かないとPTAのお姉さま達にロリコンなのでこの人には近寄らないでくださいって言っちゃうけどいいのかなぁ~?」


謙二「行きます」

彩音「――マスター、腹痛止めとかありますか?私が今回の依頼のお金で後で払いますので」


もみじ「期限は明日の夜だから。それ以降はあなた達じゃ悪鬼が手に負えなくなるわ。私も手伝ってくれそうなところにメールしとくから」


彩音「そう……。じゃあ、えーっと……棗さん、でしたっけ?よろしくお願いします」

棗「ディストーションフィニーッシュ。うん?仕事か、了解した。手早く済ませちゃわないとな」

謙二「じゃあ行きましょうか」


――朱鷺森市 公園 PM15:30――


小菅沢「人間界に溶け込むのも慣れてきました、ここいらのよく見る顔なら結構覚えてきたし、――それにしてもやっと最近暖かくなりましたかね……?ダンボールがねぐらの身としては少しの変化がありがたい。今日は……あっ!やった!滑り台の下があいてる!」


奉「うーん……やっぱり……私じゃ釣り合いが……」


▶冬泉奉と呼ばれていた少女が、下を向きつつ歩いています。それに鳥江が声をかけますね


謙二「そんなことないよー、かわいいよーうん。お兄さんたちと遊ぼうよー」


奉「ひっ……」


▶奉は驚いた顔をして、慌てて防犯ブザーを鳴らします。そして、周りが音に驚いている間、一目散に逃げます


彩音「あー……もう面倒な」

小菅沢「久しぶりの屋根付き……。嬉しいな、今日は少し降ってきそうでしたし、ツいてますね!」


奉「ご、ごめんなさいっ!」


▶奉は途中のダンボールを蹴り飛ばして逃げます


小菅沢「あっ、あー!このサイズで破れが無いやつなんてなかなか見つからないのにー!ひどいよ……!ちょ!ちょっとまってください!」


▶全員 追跡

 失敗

▶奉は裏路地を巧みに縫うように逃げているようです


謙二「あー、あれは裏路地に行きそうですね……」

棗「あーあ、ああなるから小さい子相手は気が乗らないんだ。しょうがない、あの場はあの2人に任せるとして」

小菅沢「見つけた!ぁあ!あんな狭いところに!そこまで逃げなくたっていいのに」

彩音「あぁ、いきなりダッシュは、さすがに……。あぅっ」

謙二「じゃあお先にお疲れ様でしたー……」


▶鳥江 運転

 失敗

▶こっそり路地から出ると、猛スピードで走ってくるハイエースに轢かれそうになります


謙二「う゛っ!?」

彩音「いっつつ……。ん?何してんのさあんた……」

謙二「轢かれかけてましたね、路地裏に逃げたみたいですし追いかけましょうか?」

彩音「んしょっと……そうしましょうか。追いついてたらいいんですけど、ね」


小菅沢「こんな狭いところで、あやうく交通事故の目撃者になるところでした、ぉや?――あの、轢かれかけた人って……」

棗「同業者……になるんだろうか。割と奇妙な関係でな、まあ悪いやつじゃないから安心してくれ。怪我もしてないみたいだしな」


▶棗 ローカル知識

 失敗

▶土地勘があまりなかった!鳥江はナンバープレート[ん 4444]を覚えました


――朱鷺森市 商店街 PM16:00――


ことり「えっと、このはちゃんだっけ?帰り道同じ方向だったよね。一緒に帰らない?」

このは「あっ、ことりさん。いいですよ~。今日も一人で少しさびしかったところです」

このは「ことりさんは、奉さんのこと何か知らないですかぁ?インフルエンザとは聞いたんですけど、けど……」

ことり「うーん、どうだろう。悩み事はあったみたいだけど、塾にまで来ない理由っぽくはないし。案外本当に体調崩してるだけかもよ」


▶ことり バランス

 失敗

▶このは 世間話

 失敗

▶路地の奥の方で奉ちゃんがハイエースされる瞬間を見てしまったが、急なことで何もできませんでした


奉「むぐっ……むぐぐっ」


ことり「ん、あれ、今の!」

このは「ま、奉さん……」

ことり「と、とりあえず追いかけよう!」


謙二「あ!さっきの車!おい待てぇ!」

彩音「はぁっ、はぁっ……。あぁ!ちょっと、まっ!そこのっ!」

小菅沢「!さっきの子!あれはどう見ても陰木君の本棚にあった状況!じゃなくて誘拐じゃないですか!」

小菅沢「……えっと、えっと!こういうときは、落ち着いて……そうだ!警察に!」


▶連れ去ろうとしている人も見えていますが、何故か透けています


――朱鷺森市 交番 PM16:10――


警察「調査はしてみます」


小菅沢「……調査って!今そこで起きたんですよ!――現場に戻ります!」


警察「何分管轄が……行ってしまわれた」


――朱鷺森市 商店街 PM16:15――


棗「参ったな、こうなるか……。仕方ない、戻って報告だな」

彩音「――東、か。場所は後で判別できると希望を持っておいて、報告に戻りますか……。はぁ、気が重い」

謙二「よし、じゃあ帰りましょうかー。なんか面倒な事になってきましたね」

小菅沢「すみません、僕も見ました。先ほど交番に駆け込んではみたんですが反応がいまいちで……」


ことり「う、うん?どうなってるんだろう?私たち以外にもあの車追いかけてたみたいだし……」

このは「奉さんは少し前から何かに巻き込まれてて、おそらく依頼も出てたんでしょうね~……」


棗「って、お?綾瀬ちゃんじゃないか。もしかして、今の子知り合いかい?」


ことり 「ってあれ、真貴さんと、彩音?」


彩音「――私を含め、計6人、ですか……。では棗さん、美術館に……はい?」

ことり「ん?ん?」

謙二「普通の人も居るけど……。まぁもみじさんが何とかしてくれるよ、うん」


ことり「はいっていうか、真貴さんと知り合いだったのって言うか、全員知り合い?――うん?」


このは「説明はきっとあとであります~。今は急いで美術館に向かいましょう?ことりさん?」


ことり「え、えっと、はい……」


――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉 PM16:25――


小菅沢(事に任せてついてきちゃったけどどうしよう、女の人沢山いるし、知らない顔ばっかりだし、どうしよう)


▶彩音はもみじに状況説明をしているようですね。普通の人も混ざっていますが、もみじは気にする様子もありません


彩音「……えっと、探してたら夕方ごろにハイエースされ、商店街から東の方面へ走っていきました。以上です」


もみじ「やっぱりね。じゃあ説明するからみんなしゅーごー!ことりちゃんもこっちおいで」


ことり「は、はい」


もみじ「ざっくりと説明しちゃうね。まず、今回のお相手さんは最近この辺で話題の都市伝説のくじらエースね。ちっちゃい子をハイエースに連れ込んで乱暴しちゃう都市伝説なのよ」


彩音(名前のインパクトが全然足りない気が……)

棗「車も攫った姿も透けていた。間違いなく当たりだな」

ことり「んえ?都市伝説?」

このは「そういう都市伝説があるのですか」

小菅沢「ぇっあっ、説明って?ぇ?警察は相手にしてくれなかったのに、なんで」


もみじ「で、警察から直接要請が来たわ。内容は被害者の冬泉奉の身辺調査と対象の救出」

もみじ「報酬は危険手当として一人あたり15万円+250ベルくらいかしら」


ことり「え、高い。というか報酬?」


もみじ「ええ。出来高だけど報酬を支払うことになってるの。国から出てるのよ」


彩音「まあ、そう来るでしょうね……。場所は私の能力で調べた方がいいんでしょうか?」

小菅沢「もしかして、僕たちが解決することに、なってるんですか?」


もみじ「そうよぴよぴよちゃん。お金も出せるから頑張って」


謙二「あ、じゃあ僕抜けても……、何でもないです」


▶謙二 仕事知識

 成功

▶くじらエースはロリを専門に誘拐する都市伝説です。ネットでまことしやかに囁かれていて、直近の目撃は朱鷺森市です


棗「オーナー。この3人はこっち側なのか?話したということはそう捉えていいんだな?」


もみじ「ことりちゃん以外は所属はしてないけど同業者よ。ことりちゃんは巻き込んでしまえばいいわ」


小菅沢「ぴよ……じゃなくて!そういえばお互いの紹介がまだでしたね、僕は小菅沢礼緒こすがさわ れおといいます。目撃者として集められたはずでしたが……」

ことり「あ、え、ええと、綾瀬あやせことりです。というか巻き込むってなんだろう……」

彩音「一応自己紹介……、か。水上彩音、呼び方はご自由に」

このは「このはは……、まあそういうものですよ~」


ことり「というより……。――――警察からの要請?普通逆じゃない?」


もみじ「世の中には専門っていうのがあるのよ。必殺仕事人チャキーンみたいにね」


ことり「はぁ……。――――じゃあ彩音も真貴さんもこのはちゃんもその専門家ってこと?」


小菅沢「同業者……。ということは皆さん実はつまりこういうことですか」


▶小菅沢は大きく漆黒の羽根を広げます


棗「まぁそうなるな。あんな風に出せるものはないがな」

彩音「あんなに派手じゃないけど、まあ私も同じ」

このは「えっと……、あ、きっとあとで分かるから、今はまだ内緒……です」


ことり「わ、私の知らない世界ってあるんだ、なあ……?」


謙二「自分は鳥江謙二です。まぁこういう人たちが世の中割りと居るんですよ」


ことり「え、というか何。私いま友達から衝撃的なこと聞かされたの?」


もみじ「じゃあぴよぴよちゃんとぴよぴよくんに加えてぼんやりちゃんは住宅地で聞き込み!棗くんとこのはちゃんとことりちゃんは小学校!そういうことで頑張って!」


彩音「ぼんやりちゃんって、まあいいですけど……」

小菅沢「名乗った意味が……、まあいいです。聞き込みですね。承りました!」

棗「待てオーナー。俺が小学校に行ったら怪しまれるだろう!住宅地にしてくれ!」


もみじ「諦めて★」


棗「なっ……。いいだろう、地獄に落ちろオーナー……」


もみじ「キャッこわーいー★彡」


彩音(漫才か何か……?)


――朱鷺森市 住宅地 PM17:40――


小菅沢「この時間から聞き込みとなるとお夕飯の話題から聞き始めるのが定石ですかね。あ!……ぇと……よろしくお願いします……」

彩音「ん、よろしく……。早く終わらせて寝ることにしましょうか」

小菅沢「ぁ……!はい!頑張りますっ!」


▶彩音 クエスチョンサーチ

▶小菅沢彩音謙二 探索判定


▶どうやら奉は恋愛で上手く行っていないらしい

▶立場が違う恋だったようだ。手紙の書きかけの文章から推察することができた


▶奉の母親に聞き込むことが出来ました


母親「最近あの子隠し事してるみたいで……」


彩音「依頼ですから……。まあ、頑張ります」


母親「すいません。何かはわかりませんがこれからもあの子のこと、よろしくおねがいしますね」


彩音「皆さん、情報は集まりましたか?」

小菅沢「は!はいぃっ!そこそこですね……」

謙二「いやぁ、中々出てこないですねー」

彩音「まあ……、いいです。では喫茶店に戻りましょう。情報共有のために」


――朱鷺森市 朱鷺森小学校 PM17:40――


ことり「結局流されるまま来てしまった……」

このは「一度帰ってからまた学校にくるの、なんだかちょっと変な感じですね~」

棗「はぁ。気が乗らないな。そうも言ってられんが」


▶ことりこのは棗 探索判定


▶同級生から奉ちゃんには本命のカレシがいるらしいことを聞いた

▶最近不審者情報でハイエースに注意、という張り紙を見た

▶小学生と付き合ってる先生がいるらしいと裏サイトで話題になっていた

▶同級生から職員室に本命チョコを持っていく奉ちゃんを見たと聞いた


棗「こんなところか。この場所自体が巻き込まれることはなさそうだな。あとはあいつら待ちか」

ことり「好きな人がいるとは聞いてたけど、相手が先生で、しかも付き合ってたの……」

このは「せっかくですし先生にも尋ねてみましょうか~」

ことり「そうだね。一応手掛かりになりそうなことはしておこっか」


▶棗を置いて職員室に入ります


――朱鷺森市 朱鷺森小学校:職員室――


先生「あぁ秋月か。それに……なんでいるんだ綾瀬。もう遅いから早く家に帰りなさい」


ことり「なんで私歓迎されてないんですか。元教え子ですよ教え子!」


先生「そういうところなんだよ……」


ことり「ひどいなあ」

ことり「ところで先生?奉ちゃんって最近どうしてるかわかりますか。最近塾にもこなくて」


先生「いやそれが、まt冬泉には俺も連絡が取れないんだよ」


ことり「先生なのに?」

このは「そうですか……。インフルエンザとは先生から聞きましたが……大丈夫なんでしょうか」


先生「いや……ラインにもここ3日程でなくて俺も困ってるんだ」


ことり「というか先生そういうのって親に連絡するものなんじゃ」


先生「うえっ!?も、もちろん連絡だってしたんだけど繋がらなくてね」


▶先生をよく見ると、薬指に指輪をしていないようです。独身のようですね


ことり「そういえば先生彼女とかできましたか?さすがにそろそろ結婚しないともうできなくなりますよー」


先生「ぐっ……。俺ももう29だし、そろそろやばいかなと思ってはいるんだが、相手がどう思うかだしなぁ」


ことり「お、ということはいるんですか!相手!」


先生「あぁ……でも彼女はそういう感じじゃなさそうというかなんというかで、――ってなんでこんな話を綾瀬にしなきゃならんのだ」


このは「あっ、そういえば。バレンタインにチョコを渡したって奉さんからこっそり聞きました~」

綾瀬「あらま、先生もってもてー」

このは「いつ戻ってくるかはわかりませんが……お返し、ちゃんと用意してあげてくださいね?きっと喜びますよ~」


先生「あ、あぁ……そ、そうだな……。う、うん。奉にはちゃんとお返し考えとくよ。さて、お前たち最近危ないし家まで送ろうか?」


ことり「でも先生仕事、いいんですか?まだ学校いるってことはお仕事中だろうし」

このは「このはたちは大丈夫です~。知り合いが外で待ってますので」


先生「そうか……気をつけて帰るんだぞー」


ことり「今度また彼女さんの話聞かせてくださいねー!」

このは「チョコ、真剣に悩んでたみたいですよ?年の差はありますけどちゃんと考えてあげてくださいね。では~」


先生「あ、あぁ……」


――朱鷺森市 朱鷺森小学校――


ことり「さすがにちょっと、わかりやすかったね……。それじゃあいったん戻りましょうか真貴さん、このはちゃん」

このは「待たせてしまってすいません~」

棗「おう、おつかれ。ここは肩身が狭いんだ、とっとと戻ろう」


――朱鷺森市 美術館併設喫茶店:紅葉 PM18:20――


ことり「さすがに日も落ちちゃったね」

彩音「そりゃあ結構調べたからね……」


もみじ「時間かかってごめんね!みんな、朱鷺森駅の外れで悪鬼反応よ!恐らく冬泉奉はそこにいるわ。すぐ向かってちょうだい!」


棗「ようやくだな。1日で片付きそうで何よりだ」


ことり「悪鬼?」


彩音「――ゲームでよくある化け物退治みたいなものよ。あー眠い……」


ことり「え」


小菅沢「ここからが僕達のほんとの見せ場ですかね!」

このは「日が落ちてからが本番、ということですね~。急ぎましょう」

棗「そうか、全部教えないといけないか。なら連れて行かないとな」


ことり「え」


小菅沢「な、習うより慣れろといいますし、行ってみましょう」

謙二「よし、行こー」


ことり「待って待ってさっきの羽とかが本物だとしたら、バケモノ退治ってもろバケモノ退治ってことじゃん!!」

ことり「じゃん!!」


棗「ハッハッハ、そうなるな。まぁ後ろにいればいいさ」

彩音「――いざとなったら後ろに下がって。それで被害は受けないだろうから。あとうるさい」


ことり「綾瀬ことりです。クラスメイトが冷たくてとてもつらいです」


このは「化け物じゃない化け物退治って、それこそどういうことなんでしょう?」

小菅沢「み……水上さん……あんまり強く言っちゃ可哀想ですよ……仕方ないですよ、綾瀬さんは普通の人間のようですし……」


ことり「というかでもそれこそ私邪魔になるんじゃ……」


小菅沢「いえ……邪魔になんて!!そうですよね!マスター!」


ことり「待って、基本的に置いていこうって言ってくれる人は誰一人いないの?」


もみじ「現実を知るのはいいこと★ ――――というより時間ないから。はよいかんかいことりちゃん」


このは「だそうです~。このはとしては、姿を見られないならそれでもいいんですが……」

彩音「――もう。じゃあほら、これを持っといて。いざというときに使って」


▶彩音 高速回復薬 譲渡 ことり


ことり「いやまあ、心配なのは心配だけども……」


小菅沢「ということですし……奉さんも心配ですから早くいきましょう!」


ことり「ああもうどうにでもなれ!!」


棗「オーナーの許可も出たことだ、さあ化け物を見に行こうか」


ことり 「私の危険がとっても危ない(^q^)」


――朱鷺森市 駐車場 PM19:00――


▶駐車場の一角がまるで地面に呑まれたかのように、碧と緑のグラデーションでぽっかりと穴を開けています。悪鬼の入り口だろうとことりは推測できました


▶彩音 仄灯


彩音「……これで見やすくなったでしょ。みなさん、任せました」

謙二「よし、じゃあ正面から行こうか」


――――歪みのシンデレラ――――


▶中に入ると、ハートが青くしなだれ、そこかしこに暗い碧に囲まれており割れたハートが無残にも散らばっています。それはまるで、シンデレラのお城のような場所ですね


棗「相変わらず頼りになる面々だ。さて、ようこそ綾瀬」


ことり「あれ。バケモノ退治って聞いてたからもっとおどろおどろしいものかと」


小菅沢「城……?のようですが。」

このは「お城ですね~。ちょっと、悪くないかも……」


ことり「いやでもこれはこれで不気味だわ……。できることならようこそされたくなかった……」


棗「そしてこれがお待ちかねの、俺たちらしさだ。と言っても俺は地味そのものなんだけどな」


▶棗の頭上に魔法陣が展開し、銃と6発の弾丸が落ちてくるのを曲芸染みた動きでキャッチします


謙二「ま、僕もそんな感じです。期待されても困りますけど」


▶機械じかけのスケボーを無から召喚して、宙に浮きます


小菅沢「ここなら、全力が出せますからね、嫌いじゃないですよ!」


▶天狗装束になり羽根を全開に広げて、ククリを構えます


彩音「入ったならもういいか。じゃあ……」


▶緑髪に毛先から変わっていき、翡翠の紋様の羽をひらひらと広げ、弓を構えます


このは 「あ、あんまり見ないでほしいです……」


▶カチューシャが消えるのと同時に出てきた狐耳を抑えます


ことり「なんか、なんというか、なんだろう……。――言葉にできないってこういう感じなんだね……。」


▶お城からハイエースが爆走してきます


ことり「!! さっきの!!」


彩音「うわぁ、早速」

棗「おいでなすった」

このは 「え、あれがそのまま敵なんですか……?」


▶鳥江 通常攻撃

 失敗


▶小菅沢 通常攻撃

 成功 18ダメージ


▶棗 通常攻撃

 成功 2ダメージ


謙二「あ、くそっ避けるな!」

小菅沢「ハァッ!タァッ!手応えはあります!」

棗「ほいほいっと」


▶くじらエース すり抜け わんぴぃす(火。回避不可。全体物理10ダメージ)

 10ダメージ

▶ハイエースが突撃して来て、跳ね飛ばします


ことり「うわっ!ちょっ!?」


このは「ひゃっ、痛いです……」

謙二「いてて……」

棗「やべ、綾瀬ちゃん大丈夫か?」


ことり 「いったあ……。 あ、あれ、生きてる……?」


棗「頑丈なようで何より。死なないなら生きていけるな」


ことり「いや、痛いで済んでるのかなり驚きなんですけども……」


小菅沢「普通の車ではないのですから避けることは難しいですよ」

彩音「いぃった……。はぁ、この距離で当たるかなぁ」


▶彩音 通常攻撃

 失敗

▶このは 移動


彩音「やっぱ弓はこの距離に使うものじゃないって……」


ことり「なんかこう、車に向かってみんなでえいやわいや殴りかかってるのって見てるだけだとかなりシュールだね……」


棗「今回は車なだけマシなんだけどな。シュールとかそういう次元じゃないのだっているからな」

このは「こ、このはには追いつけないです~」


▶ことり 有刺鉄線


▶謙二 運転

 成功

▶どうやらタイヤがボロボロで、これ以上動けなさそうです。


ことり「えっと、こんなんでもないよりはましになる……かな?」


棗「上出来さ。というか本当に人間か?」

謙二「タイヤボロボロになってるし、あとちょっとかな?」

小菅沢「相手との距離がある場合は無理に動かず、こうです」


▶小菅沢 ファイア

 12ダメージ

▶くじらエースは引火して爆発した!


小菅沢「きませい!焔!」


▶ハイエースから降ろされていた奉はお城の入り口でぼんやりと燃えている車体を眺めているようですね


奉「先生がロリコンだったら、私がもう少し大きかったら……今こんなに悩むことなんてなかったのに」


このは「はぁ、何もしてないです。姿をさらす必要なかったんじゃないでしょうか……」

小菅沢「いえ、そんなことはありません、兵力は多いだけで士気があがるものですよ」


ことり「まあまあ、でもほら、奉ちゃん無事みたいだよ」


彩音「この現状を見てあんな風に呟くなんていい度胸してる……いつつ」

謙二「やれやれ、やっと終わったか……」

棗「ふぅ、大分遠回りなミッションになったな。後は当人たち次第だ、帰るか」


奉「かぼちゃの馬車じゃなくていい。鉄の鳥籠でもいい。私にも恋を手助けしてくれる魔法使いが欲しかったな……」


▶奉が気絶すると、しなだれた碧いハートに少しずつ明るみが差して行く様子を眺めながら空間が白くまどろんでいくのをあなた達は感じます


▶全員 脱出判定

 全員15ダメージ


――朱鷺森市 駐車場 PM21:00――


▶悪鬼の外に、気絶した奉を連れて帰りました


奉「あれ……私……?」


ことり「おはよう、奉ちゃん」

このは「奉さん、何も覚えてない……?」


奉「あれぇ……?ことり先輩に、このはちゃん?私何してたっけ……?」


このは「うーん、夢でも見てたんじゃないでしょうかぁ?こんなところで寝てたらダメですよ」


奉「そっかぁ。もう遅いし今日は帰るね。このはちゃんまた遊ぼうね!」


このは「待って!」


奉「な、何……?」


このは「さすがに遅いし送っていくよ!」


奉「あっ……うん!ありがと」


彩音「この後もみじさんに報告して……。報酬はもう明日でいいよね……」

このは「……想いは直接、はっきりと伝えるべきだと思います。――じゃあ帰りましょ~」


奉「そうだね……ありがとこのはちゃん。勇気でたよ」

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