ミドルフェイズ:RHOシーンPC2「全てが無くなった日」

GM:UGNチルドレン養成施設"クロスグレイ"。ここを天国だと解釈する人が居た。地獄のほうがマシだと思う子供が居た。

 桁違いの投薬量。人体実験。死亡率の高い訓練。その上で能力者は大事に大事に扱われる。貴族のように保護されつつ閉じ込められたチルドレンも居た。

 そして舞風琳、いやリンにとってクロスグレイとは。


リン:『わたしの世界。わたしの居場所は、ここだけ、なんだよね、きっと』


琳:「わたしはあの時、そう思ってました。わたし、なんでひとりなのか、訊いたことがあったんです」


リン:『博士、わたし、どうしてここにひとりなんですか? お父さんとか、お母さんとか、いないんでしょうか?』

桜井博士:『キミの父や母の話を存在するとして語ると、キミの教養と能力では理解できない。つまりキミに父親と母親はいない、と説明している。それと、ここにはキミひとりではなく、私も一応私も居るのだが?』

リン:『そう、ですよね……うーん』


琳:「わたしは、そういうものだと納得することにしました。それが全てだと、思ったから」

リン:『じゃあ、どうしてここにはわたしたちしかいないんですか? 他のチルドレン?さん?はいないんですか? いたらきっと、お友達になれるのに』


桜井博士:『このプロジェクトではキミがチルドレンと接触することが禁じられている。私も知らんな。書いた奴に聞きたいものだ。まあ結局ハンコを押したのは私だがね』

リン:『そう、ですか……うーん……。でも、わたし、この前女の子?男の子?を見かけました。ちょっとだけしか、見られませんでしたけど、仲良くなれたら、よかったのにな……』

桜井博士:『それは喋らないほうがいいな。きっとプロジェクトの考案者は激怒するに違いない。ああみえて繊細な奴だからな』

リン:『……はい』


琳:「それきりわたしは、そういう話は、しないことにしました。わたしの世界は、ここだけだと、思っていました。でも、ある日、急に施設で大きな音がしました。よくわからなくて、でも、部屋の外に出たら、あちこちが、壊れていました。壁とか、天井とかが、ぼろぼろになってて。あちこちで、色んな人の声が聞こえて。わたしは、よくわからないうちに、駆け出していました。逃げたかったのかも知れません。世界なんて、ここしかないのに。でも、あの時、わたしは見たんです。広い、広い青を、目の前に。青空、っていうものでした。とっても広いのを見たのは、その時が初めてでした。しばらく見ていたのかも知れません。そのうち、誰かがわたしのことを、助けてくれました」


フリースイッチ:『まったくUGN同士ときたらぶつぶつ……あ! そこのきみ! ぼーっとしてると危ないって!』

リン:『え、あ、はい……っ』

フリースイッチ:「ここまでくれば逃げ切れたかな!」グイグイグイグイー


琳:「わけもわからず、引っ張られるようにその場を離れました。隣には、一瞬だけ見たことのある、男の子?女の子?も一緒でした。多分、安全な場所に来たんでしょう。わたしはそこで初めてその人にお礼を言って、名前も、言いました。『リンっていいます』って。それから、一緒にいた子とは別れちゃったんですけど、代わりに先輩に会えました。あとは先輩の知ってるわたし、です。でも、一緒にいたとはいっても、ほんとうは知らないことが多いような気がして。……隊長のことも、先輩のことも。だから、知るために、まずはわたしを知ってほしくて。……お話、しました。これが、わたしですって」


【PC2RHO】

ロイス:フリースイッチ

推奨感情:執着 / 猜疑心

あなたは過去においてフリースイッチに助けられた。

しかしあなたはフリースイッチを疑っている。

あなたはUGNチルドレン養成施設"クロスグレイ"出身だ。

能力あるものは厚遇されさらなる高みへ、無き者は冷遇され廃棄される。外界に出れた者は一人も居ない。

"クロスグレイ"は優秀な成功体にさえ自由を与えない。劣悪な施設だった。

そんな人道無視をUGN日本上層部が許すはずもなく、養成施設"クロスグレイ"は強制査問が行われた。

しかし施設側とUGNで戦闘が起こり、FHも介入して戦況は滅茶苦茶。

施設内は破壊や崩落、火災が巻き起こり事態は混乱する。

その時あなたは失敗作として破棄されかけていた"ロストレコード"というチルドレンと出会い、その場の成り行きながら脱出を図る。

他の子供や研究員にエージェント、誰が味方か敵かもわからぬまま、あなた達は逃げる事だけを考え駆け抜ける。

その時危機に陥ったあなた達に手を差し伸ばしたのが、UGNエージェントと名乗ったフリースイッチだった。

彼と一緒に施設を駆け抜け、なんとか脱出した。

そこから後日、フリースイッチに誘われてあなたはUGNの即応部隊に加わった。

あなたには微かな予感がある。彼を、フリースイッチを野放しにしてはいけない。

確かにフリースイッチは自分達を助けてくれた。

しかし助ける前までFHエージェントと同行しているように見えた。

自分はUGNだと確信を持って言えるが、PC1はわからない。

もしかしたらPC1もFHなのかもしれない。

けれど、この疑いはPC1にもフリースイッチにも言えずじまいだ。

どのタイミングで言うべきか。しかるべき時はあるのか。そもそも曖昧な記憶を当てにしていいのか。

本当にフリースイッチはFHエージェントと一緒だったのだろうか?

自問自答しても答えは出ない。

このことは誰かに相談したほうがいいだろう。PC1に直接聞くのもいいだろう。

あの時一緒に脱出したロストレコードでもいい。

あなたはこの秘密を公開しなければならない。いつか、必ず、絶対に。


UGNチルドレン養成施設"クロスグレイ"で生まれたいち個体。

プロジェクト名「Renagade in Nerine(R.i.N)」からリンと名付けられた。

個体としての能力が高かったために施設では優遇されていたが、高くなるように調整されたのか、本人の努力なのかは分からない。


【研究計画書】

目的:白兵戦闘に特化したレネゲイド個体の創造。

方法:遺伝子を組み替えることによって身体能力の向上を図る。

計画立案:(桜井博士のサインが書いてある)


琳:こちらは全部話して、先輩の顔を伺ってる、って感じです

 まさに「ということだったんだよ」的な

ロストレコード:(ということなんだよー?という顔をしてます)

輝:(驚くな。うん)

 「へ、へぇ~琳がねぇ~。僕には想像できないよ。そんな厳しい環境」

ロストレコード:「私は厳しかったけど、リンはそうでもなくない?」

琳:「そう、かも。その、ロストレコードちゃんに比べたら……まだ色々とよくしてもらってたし……。でも……うーん、外を知っちゃったから、あれですらもよかったのか、よくわからないや……」

ロストレコード:「まあ同じ地獄の出身ていうのは変わらないーかな?」

琳:「地獄……外の人から見たら、そうなのかもね。先輩、きっとびっくりしましたよね……」

輝:「あぁ、正直驚いた。でもたとえ何者であろうと琳は琳だ。俺の大事な仲間だよ」頭を撫でる

琳:「先輩……」撫でられて

 「……ありがとうございます、お話して、よかったです」

ロストレコード:ニヤニヤ

輝:「なんです?そんな顔して。人にジロジロ見られるのは苦手なのですが」

ロストレコード:「いやあ、仲いいなーって思っただけ。じゃあ昔話もしたし私はこの辺で……。またね。何があっても全力だせよー!」

GM:ロストレコードはアナタ達に向かって大手を振りながら走り去っていくのでした。

琳:「あ、行っちゃった……」なんかこう、手を振る間もなく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

新規登録で充実の読書を

マイページ
読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
フォローしたユーザーの活動を追える
通知
小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
閲覧履歴
以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
新規ユーザー登録無料

アカウントをお持ちの方はログイン

カクヨムで可能な読書体験をくわしく知る