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食べるのが好きだ。

寝るのが好きだ。

ゲームをするのが好きだ。

本を読むのが好きだ。

思えば、僕の周りにはたくさんの「好き」があって、だから、僕はとても恵まれているのだ。

部屋の中には沢山の小さな幸せが散らばっていて、少し手を伸ばすだけで手に入る。

そんな便利な世の中で、僕は生きている。

自分は間違いなく幸せなのだ。

好きな時に寝られる、遊べる、食べられる、こんなに自由な生活は他に無い。

でも、何故か、満たされない。

いつでも引っかかっていて、どうやっても取り除けないわだかまりが、心の中で渦を巻く。

恐らく、それは欲だろう。

度し難いほど、深い欲だ。

人は、他人にあって、自分に無いものは、なんでも羨ましく感じる。

イケメンだから、頭が良いから、スポーツが出来るから。

結局のところ、他人とは自分を映す鏡でしかないのだ。

比較するから妬ましい。

比較できるから恨めしい。

何においても比べずにはいられない。

理性を持っただけの動物の本性が隠し切れていない。

よく、人は他の生き物と比べて知性が高いので、人は全ての動物の上位種だ、なんて宣うやつも居るが、ああいうやつは一体何が楽しくてあんな事を言っているのか。

他者と自分を比べて、悦に浸りたいのだろうか。

愚かだ。

本当に度し難い。

何よりも、その愚かな種族は自分であるという矛盾にも似た自己嫌悪が、腹立たしくて仕方がない。

騙し騙しの毎日で、無様な生き恥を晒しながら死んだように生きるよりも、動物として、本能の赴くままに、自分を丸出しにして生きられたらどれ程良かったか。

これだけ言っておいて、未だに人間に未練のある自分が、情けないったらありゃしない。


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