エロスの騎士~ど底辺クラスから始めるハーレム生活~

まさひろ

第1章 どん底からのスタート

第1話 ハーレム王に俺はなる!

「はっはー、いやー今日から俺の無敵伝説が始まると思うとワクワクするぜ」


 自己主張の激しい真夏の朝日をあびながら、アカデミーの正門をくぐりぬける。今日は待望のクラス替えの日だ。


 我が王立アカデミーでは、新入生は半年間の共通カリキュラムを過ごした後、其々の特性に分かれたクラスに編入することになっている。

 行く先は、騎士候補生か、魔導士見習いか、意外な所で官僚コースか。どちらにしても、多種多様な分野で、明日の国家を支えるエキスパートとして羽ばたいていくことになる。


「まっ、この俺様だ、どこに行っても大活躍は約束された様なもんだ」


 村を飛び出してから幾星霜。お師匠様おっぱいモンスターのシゴキに耐え続けた俺の実力は伊達じゃない。

 やれ断崖絶壁の上に咲いてある花が欲しいだの、グリフォンの卵を盗んで来いだの無理難題を押し付けてきやがって。

 あれがボン・キュッ・ボンなミラクルダイナマイトボディじゃなかったら、当の昔に三行半を叩きつけてやっていた所だ。


 俺がそんな苦行を味わってまで村を飛び出して来たには非常に崇高な目的がある。

 それは……。


 アカデミーを南北に貫く中央通を慈しむ目で見渡す。そこには夏の陽気に当てられて、何処までスカートを短くできるかチャレンジするような女生徒たちが、軽やかな嬌声を上げながら華の様に咲き乱れている。

 考えても見て欲しい。腰に巻くのは高々数十センチの薄布一つ。その下には秘部を覆い隠す小さな小さな神秘の衣があるのみなのだ。

 スカートから覗く若々しくもみずみずしい、スベスベ・ツヤツヤ・プルプル・ムチムチとした健康的な生足たちが、新鮮なフルーツ売り場もかくやというほどに、惜しげも無くさらけ出されている。まるで『私をみてよ』と言わんばかりだ。

 中にはお高く留まったストッキングにくるまれている足もあるが、そいつは包装紙に包まれたとっておきの高級品だ。シンプルな色使いの中にも個性に満ちた濃淡に満ちており、みずみずしいやわ肉をシュルリと引き締め、それぞれ己が理想とするシルエットへと導いている。

 ここは何という事も無い通路であり戦場だ、其々が笑顔の裏に美貌競わせあう、大通りという名のショーステージ。生足派は健康的な魅力で戦い、ストッキング派は武器のセンスで戦っている。

 もちろん彼女たちの魅力は足だけではないが、ここで尻や胸の魅力についてかたっているとそれだけで夜が明けてしまうのでよしておこう。

 二兎を追う者は一兎をも得ず。紳士は欲張ったりはしないものだ。


 俺はむしゃぶりつきたくなるのを鋼の意思で押さえつける。誰よりもその価値が分かるからこそ、誰よりも自制心を必要としてしまう、このアンビバレント。


「良きかな……」


 うん、いつみてもいい光景だ。しわくちゃの婆か、鼻水たらしたガキしかいなかった故郷とは大違いだ。

 ついついほろりと涙が出てしまう。


「はっはっはー、どうしたナックス、こんな所で涙ぐんで、どうしたら不審者っぷりに磨きが掛けれるのかチャレンジしているのか?」

「ふっ、お前のような筋肉馬鹿にはこの高尚かつ繊細な行為は分からぬものよ」


 気持ちのいい朝に浸っていた俺に、空気も読まずに声をかけて来た筋肉ダルマの名前はジャレミと言う。

 オークかオーガかと見間違うような長身の筋肉ダルマでありながら、こいつの種族は何とエルフである。ちなみにと言うか、見た目通りと言うか趣味特技は筋トレ、好きな食べ物は血の滴るような肉だ。そんな世間一般のエルフ像から180度かけ離れたこいつは、残念ながら俺が入学した時からの悪友である。


「ええ、ともかくどっかに行けうっとおしい。ただでさえ暑いのにお前のような輩が傍にいると体感温度が急上昇する」

「はっはっはー、そう言うなよ相棒」


 奴はそう言って俺の肩をバシバシと叩いて来る。

 だーれが相棒だ。俺も多少は鍛えているものの、こいつが傍に来たらヒョロヒョロの軟弱ボーイに見えてしまうのだ。そんな惨めな生活も今日でおさらばである。


「お前はお前の道を行け、俺はエリートコースを駆け上がる」


 熱に熱で返しても仕方がない、俺はさらりと風の様にそう言い返した。


「そんで、行き着く先はハーレム王だって? 俺はお前のような馬鹿は今まで見たことないぜ」


 ジャミレは整った歯を馬鹿みたいに周囲に見せびらかしながら大笑いをする。全く、なりは大きくてもお頭の方が残念なのはいつも通りか。


「当たり前だ、俺はその為に故郷を飛び出して来たんだ、ただの暇つぶしでアカデミーに入ったお前とは覚悟が違う」


 俺は凄味の効いた目で、ウドの大木を見下した。

 そう、ハーレム王。それは全ての男たちの夢の頂点。あらゆる女を自分のものとし、朝昼晩と、とっかえひっかえ。放送禁止R18やりたい放題。右手におっぱい、左手におっぱい。

 おはようの○○で出迎えられ、ごはんの時には両サイドからスプーンが差し出され、歯磨きお風呂は全自動、眠る時にはおっぱい布団、乾く間もない大回転。


 そんな夢のような勝ち組エリートになる為に、死に直結するような修行と言う名の虐待生活を乗り越えて来たのだ。


「はっはっはー、まぁ寝言は置いといて、掲示板は直ぐそこだぜ」

「誰が寝言じゃこの筋肉魔人」


 俺はジャミレに文句を言いつつも、掲示板の方へとひた走る。クラス分け試験は過酷なものだったが、俺に掛かればあんなものは子供のお遊びでしかない。

 アカデミーのクラス編成試験は実技試験として白兵戦を含む体力試験と魔法試験、そして筆記試験の3つに分かれる。

 体力試験は文句なし、伊達に師匠のシゴキに耐え続けていた訳じゃない。この学園ひろしと言ってもワイバーンと追いかけっこをしたことのある奴なんてそうそう居ないだろう。

 魔法試験こそは俺の本領、なんたって師匠は凄腕の魔法使いだ、その傍であらゆる魔法を覗き見て、時には体感していた俺に隙は無い。

 そして筆記試験、それこそは俺の溢れる知性を試す場だ。


「なんせ、十問に一問は楽勝だったからな!」


 そうして俺は栄光の門へと駆け抜けた。

 そう、目指す先はハーレム王!

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