ハロー、ハッピー

かりんとう

零迴目 赤になったら白に戻れず

 あー、あー。

誰かー、居ませんかー。

 まぁ、頭の中で言っても、答えてくれる訳無いんだけどなぁ。


 はぁ……

「虚しいな」


 そして、この言葉に「何が虚しいんですか?」とか言ってくれる可愛い後輩もいないし、更にこう言うことを考えていることで更に虚しくなってくる。

と言うか、可愛い後輩どころか女友達も、男ですら友達がほぼいない─それはほぼではあるからいない訳では断じてないが─こんなところにタイミング良く来る程じゃないし。

あ、決して仲が悪いわけではないぞ。


 誰に言ってんだろ。

本当に、嫌になるくらいに──否、悲しくなるくらいに、虚しいな。


 あぁ、でもタイミングで言ったら凄いか。

 語彙力が消滅した。

いや、消滅はしてない。消滅してたら俺喋れないぞ。


ピコンッ♪


 どうでも良いことを考えていると、メッセージがきた。

久しぶりに、メッセージって使った気がする。


 スマホをポケットから取り出し、メッセージの通知をタップし、画面に指を滑らせ、パスワードを入力しメッセージを開く。

 そこには『虚しいなら死ねばw』と書かれていた。

返信しようと『死ぬのは嫌だねw』と打っていると、もう一通メッセージがきた。

一通目のメッセージを否定してくれと願ってはみるものの、そんなことはしてくれる筈もなく、そこには『ば~か、死ぬ勇気があったらとっくに死んでるでしょw』と書いてある。

そして、即座に新たなメッセージが表示される。

『そりゃそうだw』


 これは酷い。本当に………こいつらを友人と呼んで良いのだろうか。

あぁ、空しいな。


 そうしていると、また一通のメッセージが送られてくる。

『空しいとか思ってんじゃねぇぞ~』

『字が変わっても意味は変わんねぇぞ』

『カッコつけてんじゃねぇぞ(殺)』


 本当に、こいつらを友人と呼べるだろうか?

僕には、親に胸を張って友人だと言える自身が無いぞ。

てか、(殺)って何だよ!?

こえぇよ!

 

 本当に、死んだらどうなるんだろ。

ここで腕を引き、手が離れたら──。



◆◇◆◇◆◇


「ふわぁ~」

 どの位寝てたかな。

スマホを取り、確認する。


 今の時刻は七時半。

四時間くらい寝てた。


 何してたんだっけ?

え~っと。あぁ、自殺について考えてたんだっけ。うん………帰ろ。


 それから、十分くらい歩くと、僕の家に着いた。


因みに、僕がさっき迄いたのは学校の屋上だ。開放はされてないから僕が勝手につかってるだけなんだけど、まぁ、バレてないし別に良いよね(^o^;


 僕の家は、少しボロめのアパート。

家賃なんと二万円!すごく安い。事故物件だとかそういう曰く付きな訳ではなく、ボロくなったからだそうだ。

 とは言え、家具や冷蔵庫、電子レンジ迄ある。この好物件、何か裏があるのではと考える者もいるだろう。そう、このアパートには裏がありまくりなのだ。


 先程は、裏がありまくりとは言ったが、実のところ一つしかないんだよなぁ……

まぁ、良いや。その裏と言うのは、単純に大家が知り合いってだけなんだけどね。

うん?だけってことはないな。うん。

まぁ、そう言う訳で俺は、ここに二万円で住むことができている。


 と、そんな誰に言っている訳でもなく、只の独り言を、何の意味もない空っぽな空しいだけの事を考えながら歩いていく。

ドアの前に着いたら、鍵穴に鍵を挿し左に回し、レバーハンドルを握り自分の方に引きドアを開ける。

玄関で靴を脱ぎ、奇麗に並べはしないが履きやすいように向きは揃えておく。

リビングに入るとそこは──真っ赤に染まっていた。白い月の光と、赤黒い血の色のコントラストが妙に奇麗だった──

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ハロー、ハッピー かりんとう @37go64

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