気分屋な聞き上手

桐崎零

プロローグ

この街には、少し不思議な本屋があるらしい。


それは人目につかず、普通に生活していれば絶対に目につかないような静かで町外れた場所にぽつんと存在していた。

そして、そんな本屋には不思議な店主がいるという噂がある。

彼女は本を読むわけでもなくただ座って来訪者を待っており、

誰かが来るととても嬉しそうに微笑んで飲み物を出すのだ。

それから彼女は決まって来訪者にこう尋ねるのだそう。

『貴方は何を見つけに来たの?』


これは、そんな本屋で繰り広げられる不思議で奇妙な日常のお話。

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