不在時々有罪

その眼を脳裏に焼き付けて、

その声を耳に残して、

この香りを身に纏って、

この指の感触を忘れない。


そうしたら、何時だって感じられる。


私の両手があなたの頬に触れて、

腕一本分の距離は、少しずつ縮まり、

やがて距離は無くなる。


接点は、次第に熱を帯び、

接する点は、面になり、

熱は全身へと広がり、

やがて身を焦がす。


その眼を捕らえて離さない。

いや、離せない。

そんな眼で見ないで欲しいのに、見て欲しい。


その声を聞き逃さない。

いや、聞き逃したくない。

その声を聞きたくて探してる。


この香りが全てを知っている。


私に触れる指先の、罪の重さを知っている。


貴方が不在でも、覚えているからそれでいい。


この香りを纏って、目を瞑る。

この香りが覚えている。全てを。


その指先すら、私のものにはならない事も、

知っている。


こんなのは、愛じゃない事も、

知っている。


深い欲望の海に、沈んでいくだけ。


私はこの香りを纏って目を瞑るだけ。

 

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