フリーダム

姫亜樹(きあき)

フリーダム

変わりなく続く螺旋の朝

いつもと同じ母の声

変わらず響く時計台の音

知らぬ間に散る桜の花

移り変わる季節に

足を止めることなく進む人の影


ぼくはこの微温湯ぬるまゆの中を

漂っていた

この変わらぬ世界の中に

倖せがあると信じて


君に会うまでは


君は教えてくれた

ここは偽物の自由に

支配された世界だと

ほんの少しの食べ物と

夢があるだけで

人は生きていける

自分を飾る言葉や

物がなくても

人は倖せになれると


今日

ぼくは生温なまぬるい青い水の夜に

穴をあけ

螺旋の輪をくぐりぬけ

君を追いかけて

この偽物の自由に縛られた世界から

飛び出していく

  • Twitterで共有
  • Facebookで共有
  • はてなブックマークでブックマーク

作者を応援しよう!

ハートをクリックで、簡単に応援の気持ちを伝えられます。(ログインが必要です)

応援したユーザー

応援すると応援コメントも書けます

フリーダム 姫亜樹(きあき) @Bungo-2432Da

★で称える

この小説が面白かったら★をつけてください。おすすめレビューも書けます。

カクヨムを、もっと楽しもう

この小説のおすすめレビューを見る