お店の話2(超!暗黒時代)
三十六太郎
第1話 売り場のアイスクリームが全部溶けている!!
夏場を迎えエアコンなどの電力消費量が激増する。
スーパーマーケットや食品も置いている大きなドラッグストアなどで真夏に時折見かける風景として空になった冷凍陳列棚がある。
「お客様へお詫び 冷凍什器故障の為に商品の販売ができません」という貼り紙が透明のドアに貼られいる。
冷凍陳列棚は透明のドアが何枚もついた巨大な冷蔵庫で、誰でも見た事もあるものだ。
主に冷凍食品やアイスクリームが陳列されている。
真夏になると冷凍陳列棚は突然故障する。
急に緊急警報ブザーが鳴り響き、陳列棚の上部の赤いランプが点滅する。
その時にはもう冷凍陳列棚は稼働しておらず、残りの冷気でなんとか商品を冷やしている状況だ。
時間が経つにつれ陳列棚の温度が上昇してゆく。
故障の原因は室外機のオーバーヒート。
冷凍陳列棚も家庭のエアコンのような仕組みになっているらしい。
室外機が真夏の外気温で高温に成り過ぎると停止してしまう。
お店の営業中にブザーが鳴ると、お客さんが驚かないように急いて音を消し、冷凍陳列棚のメーカーや店舗設備業者へ連絡する。
しかし、同じことはどこでも同じ時期に起こっているようで、業者が修理にすぐ来てくれることはほぼない。
故障した冷凍陳列棚にある商品を他の稼働している冷凍陳列棚に無理やり移す。冷凍食品やアイスクリームが溶けてしまうと売り物にならないから急いで作業しなければならない。
アイスクリームの場合、少しでも溶けた状態があるとその時点でアウト。
外ではオーバーヒートしている室外機を少しでも冷やす為にホースで水をかけまくる。
炎天下で室外機にホースで水をかけまくるが焼け石に水・・・
お店の裏などに室外機があればいいが、屋根に付けられたいれば諦めるしかない。
数時間後、業者が修理してくれれば幸いなことだが・・・
ある日の朝、従業員がお店に出勤すると、警報ブザーが鳴り響いていた。
暗がりの店内を探すとある冷凍陳列棚だった。
アイスクリーム売り場だ。
夜中の間に故障したようだ。
陳列棚のドアを開けて商品を確認する以前に陳列棚の中が温い!
完全に冷凍が停止している。
ハーゲンダッツのカップも触ればブヨブヨ。
ガリガリ君も袋を見ると液体の中で棒が浮いている。
陳列棚の底を見ると水浸し。
故障していた冷凍陳列棚のアイスクリームはすべて廃棄処理。
廃棄したアイスクリームの代金、改めて仕入れたアイスクリームの代金、冷凍陳列棚の修理代金、正常稼働していれば見込めた売り上げの損失。
お店にとっては何もいいことは無い。
損ばかり。
コンビニの冷凍陳列棚が故障したという話は聞かない。
コンビニの冷凍陳列棚は室外機も頑丈なのだろか。
スーパーマーケットやドラッグストアの冷凍陳列棚は経費を安く上げようと設営の時にお手軽な価格のものを購入しているのか?
それとも、
真夏になると故障が多発するのは製造メーカーの問題なのだろうか。
きっと今年の夏も緊急警報は鳴り響く。
新規登録で充実の読書を
- マイページ
- 読書の状況から作品を自動で分類して簡単に管理できる
- 小説の未読話数がひと目でわかり前回の続きから読める
- フォローしたユーザーの活動を追える
- 通知
- 小説の更新や作者の新作の情報を受け取れる
- 閲覧履歴
- 以前読んだ小説が一覧で見つけやすい
アカウントをお持ちの方はログイン
ビューワー設定
文字サイズ
背景色
フォント
組み方向
機能をオンにすると、画面の下部をタップする度に自動的にスクロールして読み進められます。
応援すると応援コメントも書けます