地下室からのお告げ

皐月七海

一話 未来の自分

——2029年2月4日。

 はじめまして。

 突然2029年から手紙をよこされても、どんな趣味の悪戯だと、君はこの手紙をゴミ箱に捨てることはせずとも、忘却の彼方へと捨ててしまうだろう。

 でも大丈夫。僕が手紙を君に送る度に、君は思い出してくれるだろうから。

 今回は、これからも手紙を送ることの通達だよ。


——2029年2月18日。

 やっほ、2通目を書いてみました。驚いているかな。まぁ、驚かない人間なんていないだろうね。

 そうそう、君は僕に手紙を書こうとしたよね。残念ながら、このやり取りは僕の方からの一方通行でね。君が僕に手紙をよこすことなんてできなんだ。

 なんでわかるのかと言うと……それは次の手紙にしようか。


——2029年3月4日。

 やあ、お久しぶりだね。実はあれから多忙期に入ってしまってね。あんまり手紙を書く余裕がなかったんだ。

 だって、送る日は指定できるから急ぐ必要がないんだ。現に、君は三日連続で手紙を受かっていることだろう?

 僕からしたらまるまる一月分、手紙を書いていなかったんだけどね(笑)

 さて、前回の続きだけど、この手紙の差出人が君の10年後の君から送られてると言われたら、信じるかい? まぁ、信じたいよね。だってSF大好きだもんね。

 何故、10年後から手紙をわざわざ送ってくるかというと、君にやってもらいたいことがあるからさ。

 詳しいことは明日になればわかるさ。


——2029年3月18日。

 こんばんは、10年後の君だよ。

 いや~、最近は新作のゲームにどっぷりハマってしまってね。あんまり手紙を書くモチベーションが上がらなかったんだ。

 新作のゲームってのはドラゴンクエスト13だよ。君の時代にはまだ11までしか販売していないだろうから、楽しみにしているといいよ。

 さて、本題だけど、君がこの手紙を読んでいるであろう2019年12月23日から2日後の25日に、君の身近な人が死ぬことになる。それをどうにか阻止して欲しい。

 僕にとっても、君にとっても大切な人だ。頼んだよ。そうそう、明日は降水確率が2%だけど雨が降るよ。傘を持って行きな。

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