お気の召すままに

乃木希生

嫌われもの

僕は何故か嫌われている。

産まれた瞬間から毛嫌いされ続ける。

嫌われるような事は何一つしていないのに。


構って欲しくて飛びつこうとすると、思い切り叩かれるか悲鳴をあげられる。


何より悲しいのは、ただ歩いているだけでも悲鳴をあげられることだ。


僕が何をしたって言うの?

僕らは君たちに危害を与えるつもりはないんだよ。


生まれた瞬間から存在を否定される辛さを君たちは知らないんだろうね。

憎まれっ子世に憚るとはよく言ったものだ。


少しでも僕に同情してくれた?

でもきっと、君も僕の事を知った瞬間から僕を毛嫌いすると思うよ。


申し遅れました。

僕はゴキブリです。

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