終末


光は焦点を失いながら

狂ったように

空という空から追い詰められたように

降り注がれていた

もう理由なんかどうでも良かった

「そしてこのわたしは一体、誰なんだ?」

手前で

何もわからずに冷たく固い椅子に座っていた

思い出だとか

そんなのは全然、役に立たなくて

鏡に映るその姿が自分自身なのかどうかもわからない

覗き込む

ひび割れたそこに何が映っている?

虚ろな目をした人間がこちらを不安げに覗き返していた

困って目を逸らした

それでもそいつはまだこちらをじっと観察するように眺めていた


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