ぱぱいや食べたい


夢を見た

他人の見た夢なんていうのはさ

大抵はつまらなくって

本人が説明すればするほど

聞く相手の興味は遠ざかっていくものなのだが

それを踏まえた上で

敢えておれは

おれの夢の話しをしよう

もちろんそれを聞くか聞かないかはあなたの自由さ

そしてその権利はこれより先もずっと保障され続ける

それではあなたが少し有利すぎるかい?

さあ始めよう

おれは夢を見ていた

その夢の名前は現実という聞いたこともない名前のやつだった

そこでおれは言った

「ぱぱいや食べたい」

どうやらぱぱいやという物があるらしいのだ

そっちの世界では

ぱぱいや

ぱぱいや食べたい

繰り返していた

今となってはまるで理解、出来ないぱぱいやという物に固執しているおれがいた

ぱぱいや

口を開けばそれだった

ぱぱいや

だが問題が一つある

おれが話しかけている相手は電柱だったのだ

それに全く気付いていなかった

「だからぱぱいやだって最初から言ってるだろ?」

思わず語気も強くなる

何か根本的なものから間違えていた

「ぱぱいや」

なあ………

一体、何回、言えばわかるんだ?

ぱぱいや

ぱぱいやだよ

そんなことを繰り返していた

そこでおれは目が覚めた

今となっては全く理解、出来ない

そしておれはゲェルカザムの丘へと向かった


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