闇の中で息を殺したからこの詩は始まった


闇の中で息を殺した

部屋の灯りは既に消えていた

それがいつからかわからなかった

ただ今は闇の中だ

そしてそれが全てだ

自分自身の輪郭すら定かではなかった

正体不明の感覚がわたしを包み込んでいた

「もう止めにしよう」

誰かの囁く声が聞こえた

それはわたしに対して言っているのか?

わたしは思う

何もかもどうでもいいではないか

空っぽの頭で新しいりんごでも冷蔵庫から出して食べれば良い

甘酸っぱくて

素敵なそんな新しいりんごをしゃくりと噛み

それでもわたしは思うのだ

(もしかしたらこれは新しいりんごではないのかもしれない)

そして絶対にその感覚が間違ってはいないのだと

精一杯、見て見ぬ振りをするだろう

それが出来なければわたしはもう終わりだ


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