透明な容器


透明な容器の中に

たくさんの虫を捕まえて入れたことを

ふと思い出した

その容器には蓋が無かった

高さは小指ぐらいの底の浅いものだったと記憶している

一匹の虫がそこから抜け出そうと身体を縦にした

その背中を伝ってもう一匹がさらに上がろうとした

すかさず後ろからやって来た三匹目によって全ての虫が崩れ落ちた

その繰り返し

永遠にそこから出られない

理由は簡単だ

それが虫に与えられた限界だからだ


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