not your business!
冷門 風之助
ACT1
『
俺の前に座った女は、オフィスに入ってきて、ソファに腰を下ろすなり、切り口上で言い、こちらをぐっと睨みつけた。
幸い俺の頭の上では、昨年取り付けたエアコンが心地よく回っている。今日は本当に仕事がない。そして珍しいことに、金はあるのだ。
細かいが
たまには一日くらい、自分で自分をだらけさせたって、どこからも文句はくるまい・・・・そう思って今日は何もせずに、普段のルールを解いて、オフィスで朝からビール(俺にとっちゃ水と変わらん)をひっかけて、いい気持で昼寝を決め込もうとしていた矢先に来客だ。
これが依頼人だというなら、少しは態度も改めようが、ドアを開けた途端、聞きたいことがあって来た。依頼なんかじゃないと言い切った。
白い半袖のシャツブラウスにグレーのパンツ。ショートカットのヘアスタイル、まなじりが少し吊り上がっている目、尖った
(どこかで見た顔だな)俺は思った。
コーヒーかお茶か、どっちがいいかとこちらが聞く間もなく、肩から下げていたバッグを右側に置き、中からペットボトルを取り出してぐっと一口、それからテーブルの上にICレコーダーを置いてスイッチを押した。
『私は・・・・』彼女が目を吊り上げ、
『それ以上は言わなくても分かってます』
やっと思い出した。
彼女の名前は
今売り出し中のフリーのジャーナリストだ。
何でも現在は主に、
『民間人の銃所持のなし崩し的の合法化と暴力犯罪の増加について』が、主な取材テーマだそうだ。
そういえばテレビの討論番組で、政府のお偉方に
で、冒頭のあの言葉だ。
『何故って、それが私の仕事だからですよ』
俺は素っ気ない口調で答えた。
『失礼だが、貴方は「私立探偵業法」をお読みになったことはおありでしょうか?その第五条の①にこうあります。「私立探偵は依頼を受けた業務の遂行のために小型武器を所持することが出来る」とあり、続けて五条の②には「私立探偵は自己防衛並びに依頼人等に危険が及ぶと判断された際に小型武器を使用することが認められている」とね。つまりは法によって定められた範囲で武器の携行、所持、使用が出来ることになっているんです』
『でも、必ずしも持っていなくてはならない、と義務付けられているわけでもありませんね?』
『その通りです。だから年がら年中ぶら下げて歩いている訳じゃありません。仕事で必要だと自分で判断した時以外は格納しておきますよ。』
『でも、何故日本のような国で銃が必要だと思われるんです?』
俺はいい加減うんざりして来た。
『飛び道具が
勢い、口の聞き方もぞんざいになる。
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