第12話 コジロウに会う方法パート3
「うん。大体のことは分かったけど、他にも説明してくれる?」
『はい。何を説明すればよろしいですか?』
色々と聞きたい事はある。まずは何から聞けばいいのだろうか
「えっと。オレは異世界から来た人間なのだけど、こちらの人間と接触した場合それで騒がれたり迫害されたりしない?」
コレは一番の心配事だ。オレは転生でこちらの人間になった訳ではないんだからな。
『全く問題ありません。こちらの世界に渡った際、シュウさんの魂はこちらの世界に適合しました。問題なく魔法が使えるのがその証拠です。また見た目についてですが、シュウさんの外見は平均的なヒノモト人そのものです』
そうなんだー。オレは現世でも海外に行ったことないし住んでいたところも、一地方都市であんまし外人慣れしてなかったから、こちらの人間が見た目日本人なのは助かるな。
「あ、でもオレのステータスを鑑定されたら何か分かったりしないの?
勇者ってなってるし」
『シュウさんのステータスから異世界人とバレることはありません。それでも気になるようでしたら、ステータスの開示情報にマスキングをかけたらいかがでしょうか?』
「え?そんな事ができるの?」
『やはり、自分の情報が色んなところに流されるとイヤだと思う人が増えておりますので最近では、あまり自分の情報を開示しないのが普通ですよ』
普通の人は、自分の名前と種別くらいしか開示していないそうだ。個人情報の取扱いには、この世界でも注意が必要みたいだな。
「あ、でもオレが勇者だとバレたら面倒くさくないか?」
『?ジョブクラスが勇者の方は、結構おられますよ』
え?マサカの勇者のバーゲンセール状態?
アイによると、この世界では100人に1人くらいは種別が勇者でそういった人たちの殆どは冒険者になり、残りのごく一部が兵役などに就くそうだ。
勇者は高い身体能力を持つ上に高度な魔法を使える人が多いので、その能力を生かす仕事をするという訳だ。
「なるほどな、色々と分かってきたぞ」
他にもヒノモト人について、色々と聞いてみる。
他のジョブクラスであるが勇者以外にも色々とあって、農民や商人、職人などの一般人系。特に魔力が強い魔法使いや神官・僧侶なども少数であるが存在するらしい。
『そもそもヒノモト人は、おおらかな人種で他の人を疑ったり迫害することはありません。好奇心旺盛で適応力もあり、何事も受け入れる人が多いです』
なるほど、昔の良き時代の日本人みたいだな。
魔法についてであるが、一般人でも多少は使えるそうで例えば主婦が火を起こす時や農夫が畑に水をやる時などに使うそうだ。
「魔法と言えば、今アイと通話しているのは魔法の力なの?」
『半分正解です。』
どういう事かと言うと、オレの鑑定みたいなスキル(通信系スキルに分類されるそうだ)持ちが、こちらのネットに繋がることができ、魔力を使って通信できるとの事だ。
この通信系スキルであるが離れた場所にいる相手に思念を飛ばして通話できる念話など、他にも色々とスキルが存在するとのこと。
「へー。じゃあ、こちらでインターネットできる人間って限られている訳だ?」
『インターネット?ああ、こちらでは電脳ネットと言います。そうですね、通信系のスキル持ちはおよそ5人に1人くらいと言われています。通信系魔導具も存在しますが非常に高価ですので、よほどのお金持ち以外は所持していません』
確かに現世でも汎用型のPCが普及するまでは、かなり高額だったらしいからな。
「なるほど、それでこのWiFiエリアって色んなところにあるの?」
『そうですね。国内ですとここの様な神社には全て設置されています。後は、街中に限られますが、大きなお店や冒険者ギルド、冒険者用の宿泊施設などでしょうか』
つまり街中では利用し易いが、旅の途中では各地にある神社を訪ねなきゃならない訳か。
「じゃあココからEDOに向かう途中で、行き先に迷ったり何かで困った時には神社に寄ればまたアイに助けてもらえるんだな?」
『その通りです。』
大体、分かった。他にも細かい疑問は色々とあるが、それはおいおい考えよう。
それよりもオレ達がこれからすべき事は、
1.EDOに行き冒険者登録
2.資金を稼ぐ
3.レベルアップ
って事だな。
「あ、そう言えば」
オレは、疑問に思っていることを口にする。
「2の資金を稼ぐってのと3のレベルアップってのはギルドでのクエスト受注で同時進行って思ってたけど、これまで得たアイテムを売ればいくらかになるんじゃね?」
『まあ、モノによりますけど…ちょっとアイテムボックスの中身を見せて貰えますか?』
「うん?アイテムボックスの中って見る事出来るの?自分でさえ、何が入ってるか分からなくなってるんだけど」
『アイテムボックスを鑑定すれば、中身が確認できますよ』
なるほど、さすが「鑑定」様、安定の便利スキルだな。
早速、鑑定してみるとその結果が、ディスプレイ上に表示される。
アイテムボックス鑑定結果
森ネズミの肉(500g) 62個
森ネズミの毛皮 29個
森ブタの肉 (5kg) 12個
森ブタの骨(5kg) 8個
山マンゴーの果実 9個
山トマトの果実 11個
・
・
・
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と言った具合だ。
『ふむふむ、それほどお金になりそうなものは見当たりませんね。あ、山グリズリーの毛皮はそれなりの金額にはなると思います。』
あれだけ苦戦したんだけど、それなりなんだなあ…
『あ、これはなんでしょう?』
山ブタのベーコン(1kg) 21個
塩麹 (1kg) 3個
「ああ、オレが作ったんだけど…」
『この世界には、もともとなかったモノですね。そう言ったものは高く売れる可能性があります。もちろん、この世界の人に受け入れられたらの話ですが…』
おー。これぞ異世界モノあるあるだな。現世のモノをこっちで作って大儲け的な。
『あれ?これは??』
と言われる。
「え?なんだろう?」
と確認してみたら
ネコネコスティック(30g) 999個
と表示されている。
「え?ネコネコスティック??」
ネコネコスティックとは、ネコが大好きなおやつだ。スティック状のレトルト食品で、中身は液状になったササミ・マグロ・白身魚などだ。
もちろん、コタロウとコジロウも大好きでいつもクールなコジロウもこれをあげたら夢中でペロペロ舐めていたものだった。
オレも現世では毎日やっていたので、家にはいつも大量にストックしていたんだが…
まさかネコネコスティックも一緒に異世界を渡っていたとは!
「コタロウ喜べ。ネコネコスティックがあるぞ!」
オレがアイと小難しい話をしていたので、コタロウは興味を失くして近くで丸くなって昼寝していた。
「ニャ、ニャニー??」
ところが、オレが声を掛けると「クワっ」と目を見開いてコッチをガン見する。
「ハハハハ、大好きなネコネコスティックだ。今すぐにやるぞ」
オレはすぐさまスティックを取り出し、封を切ってコタロウに差し出す。
コタロウは急いで駆け寄り、オレの手の中のネコネコスティックを狂ったようにペロペロ舐めだした。
「ハグハグハグハグ」
「コタロウ、久しぶりのネコネコスティックおいしいだろ?良かったなあ」
オレも久しぶりの光景にほっこりする。
もともと少量なのに加えてコタロウが相当勢い良く食べたので、ネコネコスティックはあっという間になくなった。
「にゃあ…」
「コタロウ、一日1本だ。また明日もやるからな」
と声を掛ける。
と次の瞬間、コタロウの周りが強烈な光に包まれた。
「うわ。ま、まぶし・・・」
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