第7話 ジョナサンの覚醒 ①

 ジョナサンがイマージュのコンサートで起こったテロ事件のことを知ったのは、テロ事件が起きた翌日の朝だった。

 テロ事件が起きたコンサート会場を映した映像は生々しく、その惨劇の中心地点にイマージュ、いやモナリザがいたと知ったとき、ジョナサンは驚きとショックで何も考えられなくなった。生存は絶望的で遺体の回収も不可能な状況、とレポーターは何度も繰り返し伝えていた。

 それから自分は何をしていたのか、ジョナサンにはまったく記憶が無い。

 ショックで何も手がつかず、社長室に引きこもった。秘書には今日は誰にも会わないし電話にも出ないと、伝えた。

 その思考停止の状態が、どのぐらい続いたのか、ジョナサンにもわからない。


 しかしその日の夕方近くになってから、かつての仲間である秘密機関の“ボス”という愛称の男から、ジョナサンの携帯に電話がかかってきたのだ。

「ニュースを見たか?」

「モナリザが死んだって言いたいんだろう」

 しばらく沈黙があったのち、

「いや、違う。モナリザは、たぶん、生きてる」

と、その男は言ったのだ。

「エッ! 本当か?」

「まだ確証は取れていなが、生きているようだ」

と、“ボス”と呼ばれた男はジョナサンに告げた。


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