第三葉 学ぶとは「正しい問い」を見つけること

 次に、学ぶ、ということについてです。これは、ゆるゆる道場でしっかり修行を積まれた方ならばまず間違えることはないのですが、世の中では言葉の意味がまるで反対になってしまっているので気をつけなければいけません。学ぶとは、「正しい答え」を見つけることではありません。正しい答えというのは、問いを発した人が「こう答えてほしい」と期待する答えです。問いを発する人が相手を上から評価する立場、たとえば「先生」だったとしたら、先生がどんな答えを望んでいるかを推し量って期待どおりの答えを示せば、答えた人の評価が上がります。評価が上がるとうれしかったり得なことがあるので、人々は争って高い評価を得ようとします。そして、それを「学ぶ」ということだと勘違いしてしまいます。しかし、このようなものの考え方では、もしも与えられた問いそのものが正しくなかった場合、いつまでたってもほんとうに正しい答えにはたどり着けません。与えられた問い自体を吟味し、「本当はどう問うのが正しいのか?」を考えなければいけません。肝心なのは、答えではなく問いの方です。 

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