空想の世界へ

第1話

アニメが好きだ。

アニメは、夢を与えてくれる。

そして、生きる希望を与えてくれる。

いじめられっ子だった僕に、生きる勇気を与えてくれたもの、

それがアニメだった。

世間は偏見の眼で見ている。

それでも、構わない。

アニメがあるから、僕は生きる事が出来たのだ。

アニメの世界は、自由だ。

思いのままだ。

いつしか僕は、それを仕事にしたいと思い、

アニメ会社に就職した。

「これ頼む」

「これお願い」

毎日が、とても忙しかった。

低賃金な上に、休みも少ない。

でも、やりがいがあった。

そんな中で、僕が好きだったのは、

女子高生の日常を描いたアニメだった。

そのアニメは、またたく間にヒットとなり、

いわゆる聖地巡礼という言葉まで生まれた。

とても、楽しかった。

僕は男だし、アニメなのだが、

描いていると、その中に自分がいる気がした。

彼女たちが、優しく語りかけてくれている気がした。

しかし、その時間は一瞬で崩れた・・・

僕の勤めていたアニメ会社は、ひとりの心ない人間の放火により、

大勢の命が奪われた。

僕も、その中にいた・・・

薄れゆく意識の中・・・

「これからは、私たちとずっと一緒だよ」

「こっちには、争いごとも、嫌な事もない」

「素敵な世界だよ」

「さっ、おいで・・・」

僕は差し出された手を握る。

とても、温かい・・・

僕は、空想の世界の住人となった。

これからは、彼女たちと楽しもう。

いつまでも・・・