#7

後悔とは消せぬもの何故なら後になって悔やむものだから

悔やんでも悔やみきれない失敗では無いが心に米粒程の痛手を負った彼は必要最低限の物を持ち部屋を後にした


エレベーターを降りエントランスホールを颯爽と通り抜け歩道に出ると外は快晴だった


燦々(さんさん)と輝く太陽に入道雲

空を彩る七色の放物線が彼の足早を落ち着かせる要因となった


久しぶりに見た虹は幻想的な美しさがあり

さっきまでの焦りが無意味な事を教えてくれる

時間に縛られる訳でもなく死をもたらす空腹に直面もしていない


ゆっくりと歩けばいい歩幅は無理のない間隔で


コンビニでお目当ての物を調達し交差点で信号待ちをしていた


表通りは人通りが多くなりさっきよりも陽射しは強く太陽は肌を照りつけている


信号待ちの間、向かいを何気なく見ていると知った顔が視界に飛び込んできた

相変わらずこちらを笑顔で見ている

名前も知らぬ神出鬼没なアイツだった


最後に車のバックミラーで見た時のような緊張感はなかったが不思議な安心感があった

なんであんな奴を見て心を落ち着かせているんだろう

ビニール袋片手にそんな自分に疑問を覚えた

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