異世界の漂流者
ヤハタ クロウド
第1話 新しい場所
神聖教会附属研究所の研究員でバイオアーマーのテストパイロットそれが良影のこの世界での肩書だった.
研究所の研究主幹コーレン枢機卿のはからいで研究員兼テストパイロットの身分で研究所に所属することになった.
コーレン枢機卿の弟子でバイオアーマーのパイロットでもある研究員のセルベットがなにかと良影の世話をしている.
研究所の職員のための官舎のひとつをもらい良影はそこで暮らしている
朝はセルベットが食事の仕度をしてくれる.
2人はダイニングテーブルに向かいあって座っている.
「それ 美味しい?」
「とても美味しいよ」
この世界の人は門月良影という名前ほ耳なれず奇異に感じるようなので カドヅキをモンゲツと読みかえリョウ モンゲツはどうかと良影がセルベットに言うとセルベットの国にモンゲットとゆう姓があるとゆうので 良影のこの世界での名前はリョウ モンゲットとゆうことになった.
いつのまにかみんな良影のことをリョウと呼ぶようになっていた.
「リョウの世界の料理と比べてどうかしら」
「よく似ていると思う オーガニックとゆうレストランへよく行ったんだけど セルベットのつくる料理はそこの料理に似ている ナチュラルパンとか大麦を挽いた粉を使った料理がおおい 肉や魚もそんなにちがわないとおもう もうそろそろ自分で料理をつくるようにしないと」
「そんなこと気にしなくて構わないわよ 1人分だけつくっても手間もたいして違わないし それにリョウと一緒に食べたほうが わたしは楽しいもの」
「そう言えば ミスフィア陛下があなたにおあいになりたがっていたわ」
「そう お会いしてお礼を申し上げないと」
ひと月まえ良影は秋葉原で40ビットの行列の完全解のために大容量のストーリッジを手に入れようとして電気街を歩いてたときのことだった.
たった一歩で突然回りの景色が変わってしまい 大きな庭園のようなところにたっていた.
驚いて良影はふりかえったが そこは庭園のようで電気街ではなくなっていた.
ただごとではないとゆう感じがして良影は背筋が寒くなった.
アオイはミスフィアを警護して一緒に空中楼閣ガリバーンの庭園にいた
ミスフィアはミッダレード皇国の女帝で18歳で即位したばかりだった.
政治的なことは宰相のマクシリアスがみていて いまは神聖教会大学へ入学している.
普通の学生は学寮にはいるが ミスフィアのような王族は教会領センジキュリアに離宮があるのでそこから大学へ通うことが許されている.
その日は授業がないのでセンジキュリアの埠頭に繫留してある空中楼閣ガリバーンに来ていた.
センジキュリアは全体が高地のような構造で回りをこの世界の絶対的なエネルギーであるミーナモで満たしている.
空中楼閣ガリバーンはミーナモの海に浮かぶようにして40メートル上空にあった.
まるで空に浮かぶ城塞都市のようで城塞に囲まれた内側には宮殿やさまざまな建物があり四季の草花を植えた前庭や大きな森のような園もあった.
良影は不幸なことに極めてまれな時空の接触点をまたいで別の時空へ入りこんでしまった.
良影が立っているところは別の宇宙の別の星であり空中楼閣ガリバーンの宮殿の中庭だった.
アオイはいつものように辺りをさりげなく警戒しながらミスフィアのそばについていた.
アオイは植え込みの中に気配を感じてよく見ると変わった服装をしている若い男が茫然として立っている.
顔立ちが極めて整っていて悪意はないようで武器はもっていない.
「ここで何をしている どうやってここへ入った」
良影はアオイの声を聞いて驚いて声の聞こえるほうを見ると ケープをつけ帯剣し煌びやかな軍装をした若い女だった.
言葉の意味が良影にはなぜかわかった意味の概念が言語中枢に直接伝わってくるような感じがする.
「どうやって来たのか 自分でもわからないのです」
良影は答えた.
「わからないとはどうゆう意味だ 記憶がないとゆうことか?」
良影は説明に困ったが ある事を試してみようと思い胸の内ポケットからスマートフォンを出してアオイに見せた.
「あなたに事情を説明するのはとても難しいのです あなたに信じてもらえるかわかりませんが わたしはあなた方の世界とは別の世界からここへ来てしまったようです それで これはわたしの世界にある道具なのですが あなた方の世界にはないものだと思うので これを 調べてくれませんか スマートフォンと言います」
ミスフィアは不審に思いアオイに声をかけた.
「どうしたのですか?」
「この者が妙な事を申し立てて」
ミスフィアはアオイに近づいて スマートフォンを差し出して立っている良影をみて
「みかけない服装ですね 嘘をゆうような者には見えない アオイその道具」
「スマートフォンとか呼ぶようです」
「ではそのスマートフォンを受け取って調べてみましょう」
アオイは良影の差し出しているスマートフォンを受け取った.
良影はスマートフォンを渡す前に電源を入れておいたので画面が映った状態だった.
通話はもちろんできないが写真や動画を写して見せれば違う世界から来た事を信じてもらえるかもしれないと良影はおもい
「画面に指を触れて横に動かしてください」
アオイは恐る恐る良影の言ったとうりにした.
カメラの画面になった.
アオイもミスフィアも驚きの声を漏らした.
「向こうが透けてみえるようですね 向こう側が画像として映っているようですが 少将はどう思います」
ミスフィアがアオイに尋ねた.
「このような小さなもので画像が映るようなものは未だみたことがありません ミーナモによる通信とは違うしくみのようです ここまで誰にも咎められずに入ってきたことも普通ではないようですから 研究所のゼルベットに調べさせてはどうでしょう」
「それが良いようですね では少将は研究所のほうへ連絡を それからコーレン枢機卿にもお話ししておいた方が良いでしょう」
「心得ました」
「侍女頭のオルデをよんで ひとを憚かる必要があることを含めて 彼はわたしの客とゆうことにして部屋を用意するように手配を」
「すぐにいたします」
良影はアオイに促されて部屋の中へ入った.
大きなソファーのような椅子にかけるようにアオイにすすめられ腰かけた
後からミスフィアが現れ向かいあうように座った.
侍女頭のオルデが飲み物をテーブルにおいた.
「オルデこの部屋には誰も近づかないようにしてある」
「姫さまの仰せのとうりに手配してあります」
「オルデここでのことはけして口外しないように」
「心得ております」
オルデは部屋からさがりミスフィアとアオイと良影の3人だけになった.
ミスフィアは良影のほうを見て
「わたくしはミッダレード皇国の皇帝ミスフィアです あなたの名前を伺わせてください」
「わたしの名前は門月良影といいます」
「あなたはこの世界とは別の世界から来たといいましたが 確かなことですか」
「確かなことです」
「あなたの世界のことを話してもらえますか」
「はい わたしの世界では自分たちの大地のある星を惑星といい地球と呼んでいます 空に輝くような星は恒星といい わたしたちの宇宙には数千万の恒星があると思われています 地球にはその周りを回る小さな星があり衛星といいそれを月と呼んでいます 月は30日で満ち欠けしまったく月が見えなくなることを新月といいます わたしたちは新月から新月までをひと月としてそれを12回くりかえすと1年とし社会生活の基準としています 地球には100以上の国があり わたしの国は日本といい日本のなかで東京と呼ばれる所に住んでいました わたしは元の世界では電子工学を専攻する学生です」
「どうやってこの世界へ来たかわかりますか」
「わかりません この世界へくる前わたしは東京の秋葉原と呼ばれる街を歩いていました そのとき突然周りの風景が変わってしまい あの庭園に立っていました」
「あなたはとても賢い人のようですね あなたの言っていることは信じられると思います なにか望むことはありますか」
「いまはただどうしたらいいのか 突然この世界になげだされて 元の世界に帰ることができるとも思えませんから できたらこの世界で暮らしていけるようにしていただけたらと思います」
「わかりました あなたの希望に添えるように できる限りのことはしましょう」
部屋の扉の外から侍女頭のオルデが
「セルベットさまがおいでになりました」
「お入りなさい」
セルベットが部屋の中に入ってくる
ミスフィアは良影にセルベットを紹介した.
セルベットはバリトン人でペネランド国の出身の神聖教会附属研究所の研究員だった.
アオイ少将の父で神聖教会の最高顧問であるコーレン枢機卿は研究所主幹も兼ねていてセルベットはその弟子でもあった.
セルベットは良影からスマートフォンについての説明を聞き実際に写真や動画を撮ってみた.
高純度のケイ素の結晶に微量の不純物を混ぜると半導体の性質を持ちスマートフォンのような電子機器では半導体回路の技術が最も重要だと良影は話した.
セルベットは研究所でスマートフォンの構造の解析をするべきだと考えた.
そのためには良影に研究所で直接話しを聞きながら測定機器を使って調べる方が理想的なので良影を研究所へ連れて行きたいと思った.
良影のもたらす異世界の知見はこの世界に大きな影響を与える予感がセルベットはした.
それは教会にも莫大な利益をもたらすに違いない ことは慎重に運ばなければならないとセルベット思った.
「陛下 良影のもたらす異世界の知見はこの世界にとって計り知れない影響を与えることになるかもしれません 事は慎重に測るべきでしょう」
「セルベットの考えは」
「枢機卿にご報告してご指示を受けたいと思いますが 良影に研究所に来てもらう方がいいと思います」
「彼はこの世界で暮らしていくことを望んでいるので 彼の暮らしがたつようにしてあげてほしい」
「お任せください」
セルベットは研究所でスマートフォンの解析をしたいので良影に解析を手伝ってくれように依頼した.
これから研究所に一緒に向かいたい旨を告げた.
良影は協力することを承諾した
良影はミスフィアの親切な扱いに感謝をあらわしセルベットに伴われて空中楼閣ガリバーンをあとにした.
ガリバーンのタラップの眼下は深い渓谷のように見える.
セルベットが乗ってきた4人乗りの小型艇セルダーが埠頭の前に止まっていた.
ガリバーンと比べると豆粒程にもならない.
2人はセルダーに乗りこんだ.
セルベットが操縦席につきバッファエネルギーでミーナモ運河に入り研究所へ向かった.
ミーナモ運河ほセンジキュリアの道路のようなもので ミーナモは流体のような性質があり目には見えないが運河に満ちている.
運河は都市を縦横に縫い各施設や住宅に引き込まれてミーナモエネルギーを供給している.
ミーナモはこの世界の絶対エネルギーといえる.
研究所につくとセルベットは良影をコーレン主幹のところへ連れていった
所長室の応接間に通されて良影とセルベットは椅子にかけて主幹の来るのを待っていた.
「コーレン主幹にはあなたから聞いたことの概要は伝えありますから あなたの今後の処遇の具体的な話しができると思います」
とセルベットは話した.
コーレン主幹が応接室に入ってきた
良影とセルベットは椅子からたちあがり 挨拶をかわした.
「どうぞ かけてください」
コーレン主幹が言った.
「お名前は門月良影さんでしね」
「はい そうです」
「わたしたちには馴染みのないお名前なので すこし覚えずらいですね」
といってコーレン主幹は笑った
「ところで あなたは聡明な方のようなので 率直にお話ししましょう わたしは研究所の主幹ですが 神聖教会とゆうこの世界では各国の軍事バランスを保ち戦争を抑止しようとする組織の最高顧問の職である枢機卿でもあるのです 神聖教会の最高位には教皇さまがいらっしゃるのですが 正式ではないのですが あなたの処遇に対する全権のお許しの内諾を頂いてありますから あなたがなにかあるときは遠慮なくわたしに言ってください そこであなたにお願いがあるのですが あなたが異世界の人とゆうことが一般に知られることはこの世界に大きな影響があると思わざるおえませんので教会としては秘匿せざるおえないのです 今後はあなたが異世界から来たことはけして誰にも話さないでほしいのです」
「ご事情は十分理解していますから 今後は誰にも話さないようにします」
「そこで あなたはバリトン人でセルベットの同郷ペネランド出身者の研究所の研究員とゆうことにしようと思うのです 職員として給料もだしますから 当面 この世界の人として普通に暮らしていくのがよいでしょう」
「ご親切に感謝します」
「宿舎は後ほどセルベットに案内させましょう あなたのスマートフォンの件ですが 解析を他の所員に知られないように進めなければなりませんから あなたはセルベットの共同研究者とゆうことにして しばらくセルベットと
一緒に行動してください ではセルベット スマートフォンの解析のマスタープランを彼と相談して立ててほしい スマートフォンのすべての機能がわたしたちの世界で再現できるか調べてほしいのだ」
「承知しました 最善を尽くします」
コーレン主幹との話しを終えてセルベットは良影を研究室に案内し設備や装置などを見せてまわった.
ひととおり見おわったあとにセルベットが
「今日はこの辺にしましょう ここにはカフェテリアがあるのお腹すいたでしょ わたしが奢るわ」
2人はカフェテリアで食事を取りながらスマートフォン解析のマスタープランについて少し話しをした.
セルベットはスマートフォンを分解して調べた場合に元のように機能できる形に戻せなくなることを気にしているので元に戻せる範囲で分解できるのはどの程度か良影に聞いた.
良影は基盤の構造をある程度話しスマートフォンにはさまざまな技術が集約されていることといくつかの例を挙げてかなり具体的に説明した.
セルベットは良影の説明を聞いて機能ICの回路はミーナモスキャン顕微鏡で調べるのがいいと思いミーナモスキャン顕微鏡のことについて良影に説明したりした.
カフェテリアの食事を終えるとセルベットは職員宿舎の良影の部屋に案内した.
扉をはいるとすぐにリビングとダイニングがありベットルームが別についている.
家具は純木で模様が象嵌してある重厚なものだ.
部屋にはいるとセルベットは良影の着ている服はこの世界の人には変わった服に見えるので寝室のワールドローブの中にこちらの服がはいっているので着替えるように勧めた.
セルベットは預かっていた良影の当面の生活費20万ダイクンを渡した.
「リョウ 今日はゆっくり休んだほうがいいわ 明日の朝の食事はわたしが作りにくるから 研究室に一緒に行きましょう それではまた明日」
「セルベット今日は色々ありがとう」
セルベットが去ったあと良影は不安と疲労がいりまじりとりあえず寝室をのぞいて少しベットで横になろうと横になっているうちに眠りこんでしまった.
良影にとって異世界での最初の朝がきた.
目が醒めると寝室の窓から光が差し込み部屋が明るい.
セルベットが帰った後少し眠るつもりですっかり寝込んでしまったことに良影は気づいた.
あわてて起きあがりとりあえず着替えようと箪笥をあけた.
箪笥のなかに何着か服が入っている.
セルベットが着ていた服に似ているものがあったので それを着ることにした.
居間へいき美しい象嵌の模様がついたソファにすわり暫くぼんやりしているとドアのベルが鳴った.
「入るわよ」
「どうぞ」
セルベットが部屋にはいってくる
「お腹すいてるでしょ すぐつくるわね その服は研究所のユニフォームなの気にいった」
「セルベットの着ているのに似ていたから」
「台所使うわよ」
「どうぞ セルベット カフェテリアはあいてないの」
「どうして」
「セルベットが大変だし あいていればカフェテリアで食べたらどうかと思って」
「お金がかかるし 毎日だと馬鹿にならないし わたしのことは気にしなでいいのよ 料理を作るのは好きなの それに 食事をしながら リョウと研究のうちあわせもできるし リョウも何か聞きたいことがあるなら遠慮なくいってね」
セルベットは手馴れた感じで手際よく料理をつくりダイニングテーブルに並べて
「さあ どうぞ」
2人は向かいあってテーブルについた.
「セルベット 部屋におく画像が映るようなものはないの」
「部屋に置けるようようなものはないわ 画像が映るものは通信のための大きな装置で個人で置けるようなものではないのよ リョウの世界ではどんな感じなの」
「各家にテレビとゆうのがあって 色々な映像がみられる 映像を提供する専門の会社があって 放送局といっている そうゆう会社がたくさんある」
「そのテレビのしくみは スマートフォンと同じなの」
「基本的にはまったくおなじものだ」
「画像が映るところは?」
「それはディスプレイといって ネマティック液晶とゆう物質をつかっているので液晶ディスプレイと呼んでいて テレビのディスプレイは大きいだけでなにも違わない」
「スマートフォンの技術をこの世界にうつすことができたら時代を画すことになるでしょうね わたしたちには衝撃的な技術革新が起こることになる 教会にも莫大な利益もたらすことになるでしょうね わたし枢機卿になれるかも」
「セルベットは枢機卿になりたいの」
「それは なれたらなりたいけど 枢機卿はたいてい貴族や王族出身なのよ よほどの業績がなければ一般人ではなれる可能性は低いけど スマートフォンの解析とその技術的解明に成功したら 推薦してもらえるかも」
食事をとってから2人は一緒に研究室に行った.
研究室では良影はセルベットにスマートフォンを構成する部品の材料や試薬についてかなり詳しく説明してこの世界での生産の可能性について検討した.
セルベットも材料に関しては教会や各国の資源部門にてあたりしだいにミーナモ通信装置で問い合わせた.
スマートフォンをミーナモスキャン顕微鏡でとくにLSIを中心に調べて 回路のパターンを調べてた.
良影は演算回路と信号処理のフィルターの代替回路での構成のハードウエアとソフトウエアのプログラムとメモリーとの関係などを詳しく説明した.
「あなたはそちらの世界でもとても優秀な人なのがわかるわ わたしたちは運がいいのかもしれない ミーナモスキャン顕微鏡よりもっといい方法があるの こちらの世界では兵器でもあるのだけれど バイオアーマーといっている 人と感応する兵器で誰でも感応するわけではないけれど あなたなら リョウならきっと大丈夫 実際に見たほうが早いわね バイオアーマーの格納庫へ行きましょう」
バイオアーマーの格納庫に2人は入った.
なかには直径が3メートルくらいのシェル状態のバイオアーマーがたくさん並んでいる.
半透明のシェルは表面がダイアモンドのように光っている.
中には核をもったゲル状のセルメタルが満ちている.
セルベットはひとつのシェルに近ずき
「これがバイオアーマーよ わたしたちの世界の究極の兵器 でもこれはただの兵器ではないの バイオアーマーと感応し融合が起こるとバイオアーマーの中枢系の働きで人の能力は大きく拡張されて知覚感覚や認識力の増幅がおこる わたしはバイオアーマーと感応できるから もしリョウがバイオアーマーと感応できるとバイオアーマー同士のバイオリンクが使えるようになる バイオアーマーと感応すれば あなたはあなたの全ての記憶を拡張された認識力で扱うことができ 増幅された感覚の知覚はミーナモスキャン顕微鏡など問題にならないの スマートフォンをあなたがこの状態で知覚しわたしとバイオリンクすれば全てわたしに伝わるの」
「セルベットどうすればいい」
「シェルに手のひらをあてるように触れればいいだけよ やってみてリョウ」
「わかった」
良影は手をかざすようにしてからシェルの表面を手のヒラで触れた.
シェルは発光して表面がゆらぎ膨張しながら良影を内部に取り込みながら変形した.
機体は6メートルくらいのフルアーマーの人型ロボットといった姿で立っている.
セルベットは変形して現れた良影の機体を見て驚きの声をあげた.
バイオアーマーはパイロットの身体能力で発現する機体に固有の違いがある.
機体の色もパイロットによって独特の色が現れるが良影の機体は無彩色で白銀色に輝いていた.
セルベットもバイオアーマーと感応した
セレナの機体は淡い赤とゆう感じの色だった.
「リョウ だいじょうぶ」
「だいじょうだ 信じられないほど すべてがよくわかる感じだ 視覚も聴覚もあらゆる感覚が物凄い解像度で感じられる セルベット何をすればいい」
セルベットは自分のバイオアーマーの手のひらのうえにのっているスマートフォンをリョウの機体の前に差し出して
「このスマートフォンを調べてみてそして あなたのみたわたしの機体を感覚的にイメージしてわたしの機体の方へ送るように思えばバイオリンクが起こるわ それであなたの知覚が共有できる」
「やってみる どう?」
「リンクしたわ 凄いわ あなた本当に学生なの?」
「電子工学が好きで中学の時から専門誌や技術書を読んでたけど 記憶が鮮明ですべてページをめくるようにわかる 書いてあること以外までわかる」
「ネマティック液晶の化学式ね シリコンウエハー ダイオード フォトダイオード CCD フォトレジストね 試薬の化学式ね ASIC CMOS ニッケル水素バッテリー そんなに小さな電圧で駆動するの それがあなたの考えね まず作りやすい32ビットのCPUをつくってコンピューターと記憶装置 液晶ディスプレイをつくって 制御と設計のソフトウェアを開発してプラントを設計建設するのね この方が近道とゆうわけね まずデジタルカメラをつくるのね 今度はわたしの番ね バイオアーマーから直接ミーナモ通信につないで資源部門でリョウのプランに必要なものを手配してみるわ 何かあったら教えて」
「問題ないようだ」
「研究所のミーナモ通信装置にバイオリンクの記憶を送って保存することができるから わたしの使っている研究室の通信装置に送るわ そうすれば ほかの研究員に見られないからバイオアーマーと感応していなくても通信装置のバイオスクリーンでリンクした情報が見ることができる」
「セルベットと2人でバイオアーマーで直接作業すれば 一番早い」
「バイオアーマーをそんなふうに利用した例はないと思うけれど わかったわ コーレン主幹に話してみるわ バイオスクリーンでリンク情報を主幹にみせれば 話しが早いし」
セルベットはさっそく自分の使っている研究室でコーレン主幹にバイオスクリーンでリンク情報をみせ良影の考えを話した.
コーレン主幹はリンク情報を見てその内容に衝撃を受けた.
良影はまだ若いがおそらく彼の世界でも良影は優れた人物なのだろうとコーレンは直感した.
バイオアーマーとも感応適性があるなら今まで例はなくかなり問題はあっても良影の思ったとうりにやらせてみたいと思った.
「リョウ あなたの考えは今までこの世界ではおこなわれたことがなかったのですが いいでしょう わたしは教皇様にこの事では全権をあたえられていますから 許可しましょう」
良影とセルベットはまずはじめにバイオアーマーと感応融合したまま作業しやすくするため新しく特別な研究施設をつくった.
バイオアーマーの機体にあわせて大きさをひろくとり必要なプラントをそこに集約することにした.
資材や資源は教会の各部門から搬入され2人がバイオアーマーの能力を使って組みあげた.
希少な資源はバリトン族の小国の領内に多く発見された.
2人はときにバイオアーマーで探索や採掘を直接おこない精錬もおこなった.
良影のプランにそってシリコンウエハーの製造装置 フォトレジストの装置や処理プラント 焼き付けの終わったシリコンウエハーのカットプラント はんだ付けの装置 などつぎつぎに完成させていった.
32ビットのCPUの製造までバイオアーマーの力でかなり早くこぎつけた
液晶ディスプレイの製造プラントもセルの接合技術を問題なくクリアして32型までの液晶ディスプレイを製造できるようになった.
電力はバリトン族がミーナモエネルギーの利用を好まないためセルベットの国のペニランドがアルコール燃料の生産や高性能アルコール発電装置を持っていたので助かっていた.
CPUが完成したのでプラントの制御が容易になったてきた.
32ビットCPUだが動作クロック15万ヘルツ出ているので処理能力はけっこう高い.
キャッシュメモリー128キロバイト 汎用メモリーはフリップフロップ型で40ギガバイトの大容量にし良影の考えでメモリードライブ方式を採用した
オペレーティングシステムはメモリードライブ上に置く仕組みなのでセーブをしなくてもデータはメモリー上におかれて電源を落としてもデータが消えることがない.
32型の液晶ディスプレイにコンピューターの基盤をいったいにした一体型デスクトップパソコンをはじめに製造することにした.
樹脂ケースの金型を少なくして板金とバランス良くして仕事料を減らして効率よく生産しようと良影はバイオアーマーの能力拡張の力でさまざまな工夫を尽くした.
研究所につづいた空き地を利用して特別研究施設は建っていて この区画には誰も近づかないようにコーレン主幹の指示で警備が置かれていた.
2人は完成した32型液晶ディスプレイ一体型のデスクトップコンピューターをセルベットの研究室に運びこんだ.
オペレーティングシステムはすでに搭載できたASICを設計するアプリケーションの開発もできている.
カメラとマイクも搭載してあるのでビデオ通話も可能だ電波のバンドもきめコンピューター間での通話試験は成功した.
良影がWi-Fiパケット通信に似た仕組みを開発した.
スマートフォンのまえに誰でもつかえるツールとして良影はデジタルカメラをつくることを考えていたが すでにタッチパネルを装着したデジタルカメラが実現できていた.
コーレン主幹を招いてその場でデジタルカメラで撮影しコンピューターに写真を取り込みディスプレイに映してみせた.
コーレン主幹自ら撮影してさまざま試してみて思いもよらない早さでこのようなツールがつくられてたことに驚愕を覚えた.
コーレン主幹はバイオアーマーのこのような使用の効果を認識し良影の優秀さもあったが大きな成果をあげていることでホッとしていた.
あとは集積密度をあげるためフォトレジスト装置のためにもうすこし短い波長のレーザーの発振に成功する必要があるが それが実現すればスマートフォンの実現もそう遠くなくなる.
セルベットはスマートフォンをミーナモ通信に接続できればリョウの世界の人達のようにこの世界でも個人と個人の通信が実現できると思った.
セルベットはバイオリンクでリョウの世界の無接点交換機の仕組みをみてバイオアーマーの強感覚の知覚状態でミーナモテクノロジーの中枢であるバイオコア技術でこの交換機をミーナモ通信と接続できる形に変換を試みてバイオ交換機の開発に成功した.
これによってミーナモ通信装置から40メートルの範囲にスマートフォンがあればバイオ交換機を通して決まった機器同士の通信が可能になる.
2人は精力的に開発をすすめた.
良影がこの世界へきてひと月がすぎたころスマートフォンが完全に機能するかたちで この世界への移植に成功した試作機が完成した.
良影はバイオメモリーがその記憶容量の膨大なことをしってネットワークストーリッジとしてバイオリンクのデータを入れてアクセスすることができるようにスマートフォンのOSにアクセスプログラムを組み込んだ.
将来はこの世界のデータベースとしてさまざま活用できるように動画や写真の2進数のデータとバイオアーマーのイメージデータはバイオスクリーンとゆう特殊なイメージ画像なので相互に変換する必要があったがセルベットがバイオアーマー感応融合で解いて変換できるようになった.
研究所にバイオ交換機を設置しての通話とバイオメモリのストーリッジに通信でのアクセスとにも成功した.
「それなら明日休みを取ってミスフィア様のところへ一緒にいくのはどう お給料も入ったことだし」
「それは いいね」
「お給料どのくらいでたかきいていいかしら」
「40万ダイクンだけど」
「それはいいわね」
「セルベットはどのくらいなの」
「わたしはリョウのおかげで10万ダイクンも昇給して35万ダイクンになった 悪いほうじゃないんだけど リョウの働きはお金にはかえられないものですものね」
「セルベットもすごい働きをしてるのに」
「でも研究資金で見ればどうってことはない わたしはもともと火薬の武器やミーナモ動力と高純度アルコールジェット推進の併用型の装甲兵器の研究をしているのだけれど教会はあまり興味がないみたいで研究資金をあまり多くだしてくれないのよ 実はミスフィア様からかなりの資金援助を受けてなんとか研究していたの」
「そうなの 以外だな ミスフィア様が 兵器に興味があるなんて」
「はっきり言えばミスフィア様の国ミッダレードは宰相のマクシリアスの力が強くてミスフィア様はまだお若いから微妙な問題があるのよ」
「明日ミスフィア様にスマートフォンを差し上げたいと思うんだけどどうかな」
「わたしはなんとも言えないけど リョウが個人的に渡すならわたしは誰にもいわないけど」
「コーレン主幹に了解を得ることは無理かな」
「主幹も教会の利益を無視できないでしょうから 話せば了解するかどうかは微妙なところね」
「それなら個人的に渡すことにしょう」
異世界の漂流者 ヤハタ クロウド @claudeyahata
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