3

 二時限目は数学、三時限目は日本史において、先日のテストの結果が採点された答案用紙という形で知らされた。

 レノンは最悪の結果、つまり赤点以下を予想していたのだが、意外にもそれほどひどくも無かった。むしろ平均点以上を獲得しており、どちらかと言えば良い方だった。

 正直、答案用紙は見たくない、と彼は思った。なぜなら、採点が間違えていて本来なら二十点以下なのに平均点以上の採点をされている可能性もあるからだ。

 もし、それに気付いてしまえば、教師に申告せずには居られないだろう。こざかしい奴なら、見て見ぬ振りして、そのままにするだろうが、彼はそんな真似が出来るほどの度胸など無い小心者だ。だから、彼は皆がやっている答え合わせを放棄していた。

 勿論一人手を動かしてない奴がいたら、たちまち教師が不審に思うし、隣の女子(彼は彼女の名前を覚えてなかった。クラスの中でもわりと地味で大人しい子だからだろう)や、里奈も不審に思って教師に告げ口する事もあるだろうから、答案用紙を裏返しにして、教師の言う答えを書き取っていた。

 三時限目の日本史の答案を答え合わせしていた時だろうか、里奈がレノンに後ろから小声で話しかけてきた。

「ねえねえ、テストどうだったの?」

彼女はテストを受けてないから、本来なら答え合わせはする必要ないのだが、それでは手持ち無沙汰だろうと言うことで白紙の答案用紙に答えを書くように言いつけられていた。その所為か、他の生徒よりも退屈だったのだろう。

 彼は本心を言うことははばかれるので、

「ああ、まあまあだったよ」と適当に答えた。そりゃそうだ。全くダメだったのに平均以上取ってしまったのだ。下手に威勢の良いことを言って、目立つとボロが出る。ここは穏便にやり過ごして、テスト結果が覆らない様に最善を尽くさなければいけない。

「へえ、そうなんだ。この問題簡単そうだもんね」と里奈はフフンと鼻を鳴らして如何にも私はその辺りの子とは出来が違うのよという雰囲気で軽くのたまった。

 彼女は日本史が得意なのだろうか? と彼は思った。僕は日本史は苦手だ。そもそも丸暗記するのは苦手だし、興味を持てるほど面白くも無い。まだ、世界史のほうが話的に面白いからマシなのに。と彼は思いながら、彼女の話を聞いていた。

「数学の時も思ったけど、ここって一年生の科目って意外と簡単なんだね。一学期だけなのかな?」と、彼の耳元でささやく。彼女の吐息が耳たぶに掛かって彼は思わずゾクゾクとしてしまい、思わず耳を押さえた。

「どうしたの?」と彼女はまた彼の耳元でささやいた。

「いや、何でも無いよ」彼はゾクゾクとした快感を覚えたことに、恥ずかしくなり顔を赤く染めた。

「えー、なんか赤くなってるー」と彼女は冷やかすようにささやいた。

「ちょっと! レノン君! と的羽さん! 何してるの!」と日本史の教師の小林が言った。

 小林はわりと年配の女教師だ。この教師はここの高校と関連のある大学出身の才女なのだが、いかんせん真面目な性格が災いして未だに独身だった。現在は加齢も有り、だらしがない容姿であるが、かつては清楚系のかなりの美人だったらしく、机に飾ってある二十代の頃の海外旅行写真では、別人ではないか言うくらいの美しい容姿であった。

 結婚していない理由は本人が口にしたがらない為、謎であるが男嫌いとか理想が高いなど言われているが、どれも噂の域を出ない。

 ただ一言言えるのは男女の関係に人並み以上にうるさいことだった。

「ここは恋愛に来るところじゃありませんよ! お勉強する所ですからね! だいいち、的羽さんは今日転校してきたばかりでしょ? まだこの学校に来て二時間くらいしか経って無いのにもう男の子なんかと仲良くなるなんて…。先生が高校生のころにはそんな事あり得なかったのに!」

 あーあ、また始まったと男子生徒のだれかが言った。小林は聞こえていないのかまたガミガミと説教をはじめる。

 さすがの里奈もうんざりして、さっきまでレノンのほうに乗り出していた、体を元にもどしてきちんと椅子に座り、まっすぐ前を見はじめた。だが、別に小林を見ているわけでは無い。ほんとうにまっすぐ前を見ている。 視線の先には特に何か注目すべきものが有るわけでは無く、レノンの後頭部が有るだけだった。

「まあ、仕方ないわね。的羽さんはレノン君の許嫁なんでしょ。仲良くして当たり前よね。でも授業中はあまりいちゃいちゃしないでね。他のみんなが焼き餅焼いちゃうでしょ?」

 おかしい、何か変わった。とレノンは感じた。だが、周りを見ても誰一人不審な顔をしているものは居なかった。 

 あの堅物教師がこんなにあっさり引き下がるなんて。しかも僕と里奈が許嫁? そんな事、誰が言った? 少なくとも僕は誰にも言ってない。フレッドが冗談で言ったのか? あり得なくは無いが、そんな事を言う奴では無い。どちらかと言えば『レノンと的羽サンは前世で勇者とそのお姫サマだったんデスヨ』くらいのとち狂った事は言うかも知れないが、とレノンは思った。

「今日はなんか調子狂っちゃったわね。残りの答え合わせはまた今度にしましょう! じゃベルが鳴るまで自習で」と小林は言い残してあわてて道具をしまい、教室を出て行った。


「マッタク、二人トモ仲いいのは判るケド、答え合わせとハ言え、授業中イチャイチャするのは感心しないヨ! ここはアメーリカじゃなくてニホーン何だからネ」と、フレッドは帰り支度をしながら、レノンと里奈に言った。

 彼の中では、いつの間にか、僕と里奈は仲良しになっている。端から見たら、確かにそう思えるのかも知れないが、今日の今日、出会ったばかりなのに、いきなり仲良しはさすがに変だ。いや一方的に彼女の方が僕になれなれしくしているだけで、僕にとってはまだ仲良しと呼べるほどの距離感では無い。と、レノンは周りからのレノンと里奈の印象に違和感と戸惑いがあった。

「レノン君、一緒に帰ろう!」と、里奈が彼に腕組みしてくる。

 彼の学校は名門進学校であるが、割と男女関係について厳しく言われる様なところでは無い。しかし、偏差値もトップを争うほどの学校であるが故、真面目な生徒ばかりだから、やはり目立つような男女交際が見られることは無いのだ。しかも彼らは高校一年生、ついこの間まで受験勉強に明け暮れてまともな恋愛すらしたことの無い者が殆どだ。

 だから、里奈のように積極的に腕組みを、しかも校内でするような雰囲気もないし、そういう者もいないから、彼女の行為は少々奇異に映った。

 だが、不思議なことに彼女に関しては例外とばかりに誰も気にしていない。例えるならアメリカ人の生徒がいて、彼/彼女の振るまいは日本人からかけ離れているとしても、日本人ならあり得ないけど、アメリカ人なら当たり前だよねとただの文化の違いだからとスルーしてしまう。そういうことと同じだった。

 レノンはそういう異常な雰囲気に違和感は感じていたものの、この頃はただの勘違い程度にしか思っていなかった。


 この学校は小高い山の中に中等部、高等部とあり、同じ山ではあるが、少し離れた一角に関連する大学、大学院が設置されていた。

 交通手段は、ほど近い所にこの大学の為に設置されたと言って良い新幹線の駅があるのだが、後から出来た駅の為在来線の駅までは二キロ強もあり、歩いていくには少々遠かった。

 そのため、在来線の駅と学校を結ぶスクールバスが何台も用意されており、十分単位で運用されているため、わざわざ歩かなくても駅に行くことが出来る。ただし、それが下校時間ともなると、いくら十分単位で運行されているとしても、あぶれてしまうことが多く、バスを待つくらいなら歩いたほうが早いケースが多々あるため、殆どの生徒は駅まで二十分ほどかけて歩いている。

 フレッドは在来線駅近くのマンションに母親と住んでいて、バスは使わず毎朝毎夕歩いて往復している。自転車のほうが楽だろとレノンが言うが、「自転車だと一人で帰らなきゃいけないじゃ無いカ! そんなのツマンナイよ!」と言って、歩くことに拘っている。

 レノンは隣町から電車できてバスに乗って通学していたのだが、朝の女子でいっぱいの満員バスに乗るのが苦手だったので、今は徒歩で駅から往復している。

 いつもは朝、待ち合わせなどしていないが、いつの間にか合流して登校。帰りは部活動(フレッドとレノン共に英語研究部。フレッドは単にガイジンのネイティブスピーカーだからと言う理由で無理矢理入部させられた)などで、一緒に帰るのだが駅近くのモールにあるカフェで勉強したり、本読んだりして暗くなるまで一緒に居ることが多い。

 以前は何時も一緒に居るので、あいつらゲイじゃないかという噂もあったが、フレッドがアニメオタク(しかも魔法少女ものやハーレムものが好き)とばれたりして、疑いが晴れたが、逆に少し微妙な気分だった。

 だが、今日から、彼らに美少女がセットになってつるんで行動する事になったのだから、大きな変化であると言える。

 そして、今日もきょうとてフレッド様親衛隊が山の麓で数人たむろして、彼を待ち構えて居る。彼女らは他校の生徒であるので、彼らの学校の敷地である、この山に入ることは出来ないため、こうして麓で待ち構えて居るのだ。

 普段なら、遠巻きに眺めながら「フレッド様かっこいい!」という雰囲気でキャーキャー言っているだけなのだが、今日に限って言えば少々、様子が違った。

 理由は明白で、見知らぬ美少女がそばに居るためだ。彼女がレノンに腕をまわして、いかにも彼の恋人ぜんとして振る舞って居ても、女がフレッドの近くに居るだけでも許せない様だった。

 彼女たちからしたら面白くないだろう。何処の馬の骨か判らない女(しかも容姿は彼女らよりも確実に上)がフレッドのそばにいるという事は、すなわち確実に彼の友達であり、彼女らと比べて確実に近い位置にいるわけだから。

 しかも、里奈はレノンが大好きだから、実際にはそんな事に成ることは無いのだが、今はレノンと仲が良くても何時フレッドに乗り換えないとも限らない。そういう疑いがあるのだから、彼女らにとっては確実にライバルなのだ。しかも抜群の美少女とあれば、嫉妬で気が狂ってもおかしくない。

「ちょっと、何あの女?」「私たちのフレッド様と仲良くしてて気に入らない」「あの制服、学院(レノンの学校の通称)の子じゃ無いわよ。それに何処の高校なの? 見たこと無い制服だわね」「どこの学校でも良いわよ。フレッド様に近づく女は許せないわ。焼き入れてあげないとね」と、ほぼ全員の女子が彼女に対しての嫉妬で怒り狂っていた。

 だが、グループの中でも冷静な女子もいて、

「いつもフレッド様と一緒に居るガキの手を回してるから、あいつの彼女なんじゃ無いの? とりあえずほっとこうよ」と、彼女らを落ち着かせようと、説得をしているのだがまるで、効果は無かった。

「ちょっと、私、言ってくる」取り巻きの一人、ロングヘアに少しウェーブがかかった、大人っぽく化粧をしたリーダー格の女子がグループからぬけだして、里奈に向かって近づいてきた。


「それで、レノンと何時知り合ったんダイ?」とフレッドが里奈に興味津々といった調子で尋ねるのだが、彼女は「秘密!」と言って、まともに答えもせず、レノンの腕に両手を絡めラブラブなカップルという雰囲気を醸し出しているが、当のレノンは困惑した表情を隠せずに動揺するばかりだった。

 そこにさっきの取り巻きのリーダー格少女が道を塞ぐ様に立ち尽くした。

 里奈はそれを無視するように方向を変えてレノンを引っ張っていくが、少女は彼女を行かせまいと行く先を阻む。

「どいて」と里奈は先ほどとは打ってかわり無表情で淡々とだが力強い口調で言い放った。

「嫌よ」と少女も彼女に負けずに強い口調で言った。

 里奈は彼女を無視して強引にすり抜けようとするが、彼女に肩を掴まれ引き戻されてしまう。

「何するの?」と里奈は相変わらず無表情で言い放つが、その口調には怒りがにじみ出る。

 二人の険悪な様子にレノンもフレッドもなすすべも無くおろおろするばかりだ。

「ちょっと、言いたいことあるんですけど!」と少女は里奈を怒鳴りつけた。

 そんな怒りで頭に血が上っていると彼女と対照的に里奈は無表情で彼女を無言で眺めている。

「ちょっと、あんた生意気よ! この間まで居なかったくせに、彼と仲良くしちゃって! あんた、どこの高校よ!」と、彼女は怒り狂って怒鳴りつける。

「私は、レノン君と同じ高校の生徒よ」と無表情のまま、淡々と話した。

「嘘おっしゃい! その制服はここの制服じゃ無いじゃない!」

「ああ、コレね。これは前の学校の制服。

わたし、今日この学校に転校してきたの」

「今日、転校してきた? じゃ、何? 転校初日から彼と仲良くしてんの?」

「そうよ。文句有る? 私、彼の許嫁なんだもん。仲良くするのは当たり前よね?」

「許嫁? 彼の? 信じられない! ね、ホントなの?」と彼女はフレッドに詰め寄った。

「イヤ、ホントだけど」とフレッドは両腕をすくめて、困ったねといった雰囲気でレノンを見た。

「ああ、ショックだわ。彼に許嫁なんて」と、へなへなと彼女はその場に座りこんだ。そして、大きく顔をゆがませ、いきなりうわーんと、まるでアニメの一シーンのように泣き出した。

「うわーん! フレッド君に許嫁なんて聞いてないよぉ!」

「チョット待ってよ! 僕に許嫁なんてイナイヨ!」

「え?」

 フレッドは、

「チョット、勘違いだよ! 彼女(里奈)このレノンの許嫁であって、僕はただのトモだちだよ! ダカラ、泣かないでネ」と彼女に近寄り、頭をなでながらなだめる。

「ええ! ホントォ?」

「ホントだヨ」

 彼女はそう聞いてと思わず、フレッドに抱きついてきた。

 いくら女子にモテる彼でも、面食らったらしく、目を大きく見開き困った顔をした。

 彼は、腕をすくめてどうしようと言った面持ちでレノンを見た。


 一方それを遠巻きで見ていた親衛隊の女子は気が気では無い。レイが一人彼フレッドと仲良くなっているのだ。しかもあろうことか、彼女らを差し置いて彼に抱きついている始末。

「ちょっとあの子なに抜け駆けしてるの?」髪の毛に赤いメッシュを入れている少しパンクっぽい風貌の女の子が言った。

「ちょっと落ち着きなさいよ! レイの様子おかしいよ! ほら、顔見てよ! 泣いているじゃない」と集団で最も背が高い、ロングヘアをワンレングスで決めた、クール系美女が今にも飛び出していきそうになる、パンク系女子の腕を持って押さえた。


 フレッドはレイと呼ばれていた、その少女の身体をそっと離すと、

「ダイジョブかい?」と言って、指で涙を拭ってやると、

「今日から僕ら友達だよ、だからもう泣かないでね」と彼女をなだめた。

「でも、でも、一人だけフレッドくんと仲良くできないわ」と遠巻きで眺めていた彼女らの一団を指さした。

フレッドはすべてを察して、

「そんなところデ見てないデ、こっちに来なヨ!」と彼女らに手招きをした。


突然フレッドに声をかけられ、彼女らは動揺した。彼女らは同年代の子に比べれば、男慣れしてはいるが、流暢な日本語を話すとはいえ、碧眼ブロンドヘアの外国人に声をかけられれば、多少は緊張するだろう。

 彼女らキョロキョロとお互いを見回して、誰かが一歩踏み出すのを待っている。誰でも良いから、一歩踏み出してくれさえすれば、後は雪崩のように進むだけなのだが、誰かがトリガーにならないと進むことすら出来ない。誰もが最初は不安なのだ。

 それでも、グループの中で最も大人びて聡明な雰囲気を持つ長身の女子(当初、レイが難癖をつけるのを止めた娘)が、覚悟をきめた。

「私が行くわ」と言うと、集団から離脱してフレッドの方へ進んだ。

「ちょ、ちょっと待ってよ! マリカ!」とパンク風メイクの女子が叫んだが、マリカと呼ばれた少女は、意に介さずささっと前に進んでいく。

「もう! しかたないわね!」と彼女もマリカの後ろを追いかけて小走りに後を付いていくと、他の少女も雪崩をうって、付いていった。

「ヤァ、みんな来たネ!」とフレッドは爽やかに彼女らに話しかけた。

「別に、好きで来たわけじゃ無いから!」とマリカは言い放った。本当はフレッドと仲良くなりたいはずなのに、思わず彼女はそう言ってしまう。

「マリカ! 彼と仲良くなりたいんでしょ?」とパンク少女は言うと、

「ゴメン、フレッド君。みんな君と話がしたいの。マリカだって本当は君の事好きなのに、意地張っちゃって…」と彼女が言うと、マリカは顔を真っ赤にして、

「そ、そんな事無いわよ! アヤはもう勝手なことばかり言って! フレッド君を好きなのはあんたとレイくらいじゃん! 私はべつに彼の事なんて好きじゃないけど、お付き合いで来ているんですからね!」

「はあ、出たよ。マリカの悪い癖。男の子に対して全く素直になれないから、何時も片思いばかりでふられちゃうんだから!」

「ふられた事なんて無いわ!」

「ああ、そうよね。告白も告られたこともないからふられる事もないわよね」

「告られたことくらいあるわよ! 私から断ってやったの」

「ああ、そうだった、そうだった。告られたこともあったね。みんなオジさんばかりだったけど!」

「しょうがないじゃ無い! 私たち女子校だから同世代の男の子と知り合う機会なんてないし!」マリカは事実を指摘されて、必死に言い訳をしたが、却って墓穴を掘ってしまったようだ。

「マァマァ、君たちもう止めようヨ」とフレッドが彼女らの言い争いを納めようと声を上げた。

「良いじャ無いか、別に僕のこと好きでもかまわないヨ。僕だってみんなが好きサ。それにレノンだって同じだヨ。だから、もう争うの止めようヨ」と、フレッドが言うと、彼女らのわだかまりもなんとか収まっていた。

「じャ、今日からみんな僕の友達だヨ。トモダチになった記念に、よかったら、うちに遊びに来ないカ?」と彼が言うと彼女らは一気に色めき立った。勿論、先ほどまでクールに振る舞っていたマリカも同様だった。

 だが、レノンは少々懸念を抱いていた。

「おい、フレッド、いいのか? お前の部屋を見たら彼女らドン引きするぞ!」と彼はフレッドに耳打ちした。なぜなら、彼の部屋には日本が世界に誇るという、例のコンテンツ関連のポスターや、フィギュアなどであふれているからだ。

「別に構わないじャ無いか。僕は別に恥ずかしくは無いヨ! だいたい、君たち日本人は少し変だヨ。アニメは日本が世界に誇るコンテンツじゃないか?」

「いや、日本じゃアニメ見てる奴なんてオタクとか言われて、馬鹿にされるんだぞ」

「え、アニメがどうかしたの?」と、マリカが言った。

「いや、なんでもないよ」とレノンが慌てて取り繕ったのだが、当のフレッドはそんなアニメオタクに対して風当たりの強い日本の事なんて知ったことでは無い。

「言ったヨ!」と平然と言い放った。

「ボクはネ、日本のアニメ大好きだヨ! だって、とても面白いじゃないか!」と続けざまに言い放った。

「ああ〜あ」とレノンは頭を抱えてしゃがみ込んだ。フレッドがそんな事言ったら、きっとこの子らに僕もオタクの仲間だと思われてしまう。いやむしろ、彼をオタクに引きずり込んだのは僕だと思われかねない。そんなことされたら、人生おしまいだ。きっと里奈もそう思うに違いない、と彼は今後の高校生活の三年間をオタク呼ばわりされて過ごさなければいけないと絶望した。

「へえ〜、フレッド君って、アニメが好きなの?」とマリカが口を漏らした。レイは、「ええ〜? 意外!」さっきまでの泣き顔は何処に行ったのやら、ふふっと笑みを浮かべて言った。

 やっぱり、とレノンは思った。彼女らは、表情からは何処か嘲るような小馬鹿にしたような印象を受けた。

 だが、次に彼女らが発した言葉はそれを覆すような真逆な言葉だった。

「そうなんだ〜。実わぁ私たちもぉ最近アニメ見るようになってっさ、ほら、なんだっけ?『あの朝見た君の笑顔の意味を俺たちは理解できなかった』って、番組有ったじゃん? あれで凄く感動しちゃって」

「な、何だって?」レノンは思わず声をもらした。意外な反応だ。

「ああ、『あの君』は名作ダヨネ。ボクも大好きだヨ」

「だからフレッド君、もしよかったらもっとお薦め教えてよ!」

「いいよ、いいよ! じゃ、みんなうちに来なよ! レノンと里奈サンも来るヨネ」とフレッドは皆を誘った。

 レノンはこんなにたくさんの女子に囲まれ、少し楽しくもあったが、それよりも緊張しすぎて、少しも楽しめないのでは無いかと懸念していた。

 

 フレッドの自宅は旧市街地の中心部であるJR本城駅にごく近い高層マンションの一室に有る。

 大企業CEOの子息だけ有り、最上階ワンフロアを占有する所謂ペントハウスで、8LDKとマンションとしては破格の間取りだ。 このマンション自体、フレッドの母が代表を務めるチェリー社の関連会社の持ち物で、マンションの賃貸収入だけでも毎月二千万以上の収入がある。

 実際にまだ母親はCEOステファン・J・アンダーソンの妻ではあるが、別居状態であり、実質手切れ金のような性格の物件でもある。

 彼はこの広大なフロアに母親と二人きりで住んでいる。実はフレッドには歳の離れた姉が居る。その姉は父が未だ若い頃に付き合っていた女性との間に生まれた娘なのだが、創業したばかりの会社が株式公開を控えている最中、スキャンダルを嫌った父が認知を拒否し続けていたため、つい最近まで戸籍上は他人であった。

「すごーい! フレッド君ってお金持ちなの?」とレイは彼が住んでいるマンションを一目見ていった。まだエントランスにも入ってないのに。

「いやぜんぜんだよ。レノンのほうが金持ちだネ」と彼は平然と言い放つ。

 悪気は無いのだろうが、だしにされたようで少しむかつくとレノンは思った。世紀の大経営者のステファン・アンダーソンの息子ではあるが、あまりそう言うのは悟られたくないらしい。

 フレッドはマンションのエントランスに入ると、部屋に入るための認証をするため、腕時計をリーダーにかざす。腕時計はチェリー社製のものだ。

「フレッド様お帰りなさい。エントランスドアが開いたら前にお進み戴き、エレベーターホールまでお進みください」音声合成らしい女性の声で案内される。

「ええー、凄ーい!」とフレッド親衛隊のレイとアヤカが、ギャルっぽい口調で驚きの声を上げる。

「フレッド様。お友達もご同伴でしょうか?」とAIはフレッド周辺の人間の気配を察知して、彼に質問をした。

「ソウだよ。全員で七人だ」と彼が答えると、

「承知いたしました。お入りください」とAIは答えた。

 音声案内が終了すると同時に自動扉が開き、フレッドからエントランスゲートをくぐった。しかし、ここで少し問題が起こる。最後にゲートをくぐろうとしたミキの前で自動扉が閉じてしまったのだ。

 ミキはびっくりして、自動扉の前で立ち尽くして唖然としている。

 フレッドはすぐさま自分のミスに気が付き、AIに命令し直した。

「アイネーア! 連れの人数を訂正する! ボクを入れて全員で八人だ!」

 アイネーアとはAI NavigaEted human interfAce の事で略してAINEAという、チェリー社が開発した、AIインターフェースだ。チェリー社のスマートフォン、腕時計、テレビ、スピーカー、車などあらゆる機器に搭載されている技術である。

 ちなみにAINEAというのはただの語呂合わせで、実は有名SF小説のヒロイン、アイネイア(小説ではAENEAだが)から取られていると言うのは公然の事実である。

「かしこまりました。そのように訂正します。お客様。大変失礼しました。お入りください」とAIは自動扉を開いた。

 ミキはほっとした様子でエントランスゲートを抜け出た。

「ちょっと焦ったわよ! 私だけのけ者なのって」とミキは文句と言うよりは驚いたという様子で語った。

「いや、ゴメン、ゴメン。ボクの言い方が良く無かったんだよ。ボクは友達だけの人数のつもりで七人と言ったんだけど、AIは全員の人数と勘違いしてしまったんだね。まだAIはその辺りが上手く認識するのが苦手みたいだネ」と笑った。

「えー! ここ超涼しいんだけど!」とレイが言った。いくら夕刻でも夏の日差しで焼かれた地面はまるでオーブンの様だったので、そこから、空調が効いているマンションの中は打って変わって天国のようだった。

 それにしても、いつ来てもここは空調が行き届いていて快適だ。初夏にも梅雨のジメジメしている時にも来たがエントランスをぬけただけで外の世界とはまるで別世界に感じる、とレノンは思った。

 正面を見ると既にエレベータの扉が開いている。AIがフレッドが帰宅したと判断して、エレベーターを一階まで移動して待機させていたのだ。

「じゃみんなエレベータに乗って乗って」とフレッドはみんなをエレベータに押し込んだ。

 マンションのエレベータとしては割と大きめのものだが、さすが八人も乗ると皆の距離は近くなる。

 レノン、里奈、親衛隊、フレッドの順で乗ったが、フレッドは扉に背にして乗ったため、必然的に親衛隊女子たちが彼の前に立つことになる。フレッドは身長一八〇と長身なので殆どの女子は彼の胸くらいの高さしかない。ただ、その中でもマリカだけは身長一七八センチと男子並みの高身長であるため、フレッドと目が合う位置になる。そのせいか、彼女は少し恥ずかしいのか普段の気が強い感じは失せて、少し伏し目がちだ。

 レノンはエレベータの奥側に背中をつけて立ち、里奈は彼の正面に落ち着いた。

「ち、近いよ」エレベータはそれほど満員と言うわけでも無いのに里奈は彼にぴったり体を寄せていた。

「だって、許嫁なんだからいいでしょ?」といたずらっぽく微笑む。

「いつ、許嫁になったんだよ! 僕はなにも聞いて無いぞ」と彼は困惑して言った。

「あれ? 言ってなかったけ? 貴方のお父様と私のお母様が昔恋人同士で家の事情で結婚出来なかったから、代わりに私たちを許嫁同士にしたって」

「なんだよ、そのラノベかハーレムアニメみたいな理由は!」レノンはそんなアニメによくある設定みたいな話が実際にあって、まさか自分がその当事者になるとは夢にも思わなかった。そういえば、昨日始まったアニメもそんな設定だったような気がする。

 自分は期末テストの結果が不安でそれどころでは無かったが、妹が見ていたのを思い出した。

 内容までは覚えていないが確かそういう設定だったような気がする。

「まあ、いいじゃん。そういうこともあるよ」

彼女が言い終わらないうちに、エレベータがきゅっと上昇を止め、その反動で彼女が彼に向かってよろけた。

 身長差があるから、その拍子に唇が重なりあうような露骨なラッキースケベ状態にはならなかったが、彼女の小さな胸が彼の腕に当たり、小さいながらも柔らかい感触が伝わった。

 だが、それよりもっとマズイことに、彼のアレが彼女の下腹部、へその下辺りに当たった。しかも、女子が目の前に居ることで彼のアレが少なからず少し興奮状態になっていて、一〇〇%では無いが七〇%ほど大きくなっていた事だ。

 一瞬の事だったのだが、女子の大事な部分に近い所に彼のモノがあたり、彼がさらに性的に興奮するのには十分だった。

 だが、それより、不可抗力とはいえお互いの体の大事な部分が異性に触れてしまった事による気まずさのほうが勝っていた。

 彼らはお互いに顔を赤らめた。

「ご、ごめん」と彼から先に謝った。

「いや、私こそ…、おっぱい小さくてゴメンね」と恥ずかしそうに言った。彼のモノが下腹部に押しつけられたことについては、気が付いていないのか、そういうふりをしているだけなのか判らないが、あえて避けていたようだった。

 このことは位置的に遠いフレッドはともかく、親衛隊女子たちには悟られていなかった。彼女たちも同様によろめきフレッドに向かってなだれこんでいたからそれどころでは無かったのだろう。

 エレベーターが開くと既にそこはアンダーソン家の玄関に直結していた。エレベーターはフレッド家専用で、他人が入れない様に施しており、セキュリティーは万全である。

「すごーい! 広ーい!」と親衛隊女子はクールなマリカを除いて感激している。

 レノンは何度も来ているが彼の部屋を見て女子達が引かなければ良いがと不安だった。マジで彼の部屋はある意味凄いからだ。

「フレッド、本当に良いのかあの部屋を見せても?」

「大丈夫サ、別に恥ずかしいものは無いからネ」とフレッドは余裕綽々で言った。

 レノン達は玄関から上がって、まず居間に通してもらった。

「今、冷たいもの用意するから、マッテテネ」

「今日はおばさんは居ないのかい?」とレノンが言うと、

「シッ! おばさん言ったらダメダヨ! この間も怒られたロ!」とレノンはフレッドに怒られた。

 そうだった、フレッドのお母さんはまだ三十代半ばと十分若い。この間もそれを忘れてつい『おばさん』と言ってしまったら、やんわりと「もう、おばさんじゃないでしょ!」と怒られた。口調も顔も優しく上品だったが目だけはマジで怖かったとレノンは思い出した。

「今日は、成田に姉ヲ迎えに行ってて未だ帰ってないから、まだ良かったヨ」

「姉? 例の腹違いのお姉さん?」

「そーダヨ。ボクも久し振りに会うから、不安だけどネ。そんなに仲良くしてたことも無いから、親戚のおばさんみたいな感覚だヨ」

「お姉さん来るならお邪魔しちゃって良いのか?」

「ダイジョブ、ダイジョブ! 予定では今日一八時のフライトで、成田からここまでどんなに速くても二時間以上、確実掛かるからネ。 しばらくはダイジョブだヨ」

「なら、大丈夫だね。さすがに二時間もここにいるわけもないし」

「ねえ、フレッド君はお姉さんいるの?」とレイが聞いてくる。今のところ彼女が一番彼に話しかけている。

「いるヨ! でも、歳が凄く離れているからネ。僕から見たら親戚のオバさんみたいなもんだヨ」

「ええ〜、そうなの! 会ってみたい!」

「hahaha」と彼女の意外な反応に彼は困惑した。親戚のオバさんに会って何が楽しいんだよ、別にセレブ(外国でのセレブは金持ちという意味では無く、有名人という意味。日本語だとお金持ちという意味になってしまっているが)でも無いし。

「それよりも、みんなカラオケすきだよネ?」

「ええ? せっかくフレッド君ちに来たのにカラオケ屋さんいくの?」とアヤが言った。

「別に構わないけど、せっかく涼しい部屋にいるのに暑い外でるは少しめんどくさいわ」クールなマリカは口ではめんどくさいと言っているが、完璧に外を出ることを拒否する様に冷たく言い放った。

「いやいや、そんなミンナ心配シナイデヨ! 実はここでカラオケ出来るんだよネ!」と彼は、リビングの奥の扉を開けた。

 なんとそこには二〇畳くらいの大きなオーディオルーム兼ホームスタジオ兼カラオケルームがあった。

「何これ! 凄ーい! フレッド君ってお金持ちなの?」とマリカたちは色めき立つ。

「別に金持ちじゃ無いヨ! 全部うちのシンゾクのモノなんだ! だからボクはちっとも金持ちじゃ無い!」とおどけてみせる。

 でも、ボクは彼が金持ちだって事を知っている。親族のもの。すなわちお母さんのモノだ。発音が変だから女子たちは気が付かなかったみたいだが、彼のためにあえてその辺は言わないでおこう、とレノンは一人思った。

 本来はオーディオルームであるので巨大な六〇型テレビがでんと真ん中に居座っているのだが、何の戯れか日本に来る前にはいっぱしな男子のようにはバンドをやっていた様で、そのために用意して貰った部屋である。こういう所はやはり世間ズレをした金持ち息子らしい。だからこの部屋には何故か場違いなほどの高価なマーシャルのギターアンプやミキサーなども装備してある。そしてカラオケも出来る様になっているのだが、これは本来はオマケのようなものなのだ。それも、常人の考えるオマケとはほど遠く、業務用の立派な通信カラオケが導入されている。

 レノンは何度も来ているから知っているけど、部屋の隅に置いてある、一般サラリーマンのボーナス一回分ではとれても手が出ないレスポールも、最後に弾かれたのは何時だか判らない。実は彼は来日して暫くするとギターや音楽に全く興味を失ってしまったのだ。

 そう! 彼は日本に来てから、日本のアニメにハマってしまい、すっかりオタクに変貌してしまったのだ。

 カラオケするのは良いけどアニメソングだけは止めてくれよ! とレノンは思ったのだが、時既に遅く早速アニソンらしき奇妙なシンセサイザー音のイントロが始まった。ああ、ついに始まってしまったか。

 最悪な事に彼が一番好きなジャンルの魔法少女モノだ。同じアニメでも「○ンピース」とか「NARUT○」なんかなら、まだ「ガイジンだから」で済まされるが、このチョイスはハッキリ言って無い! レノンは背筋に寒気を感じながら思った。

 さて、イントロも終わりついに歌が始まった。

 レノンが曲選びの為タブレットとにらめっこして居る最中、ふとでかい図体の何かが金色の腕毛を一生懸命ふっているので何事かとみるとなんとフレッドが曲の調子に合わせて手を叩いている。

 一瞬目を疑ったがよく見るとやはり彼だ。そして彼の番のはずなのに、マイクをもって無い。こいつマイク無しで歌うつもりかよ! と突っ込みかけたその時、

「交わした友情忘れないで! 手をかわし〜」と聞き覚えのある歌詞を可愛いハイトーンな女子の音色で歌い始めた。

「うわ! フレッド気持ち悪っ!」と思わずつぶやきそうになったが、すんで思いとどまった。なんと、歌っていたのはレイのパンク娘のアヤだ。見かけはパンクだが意外と歌は上手い。時々相の間にパンクっぽくシャウトも入るが、基本的にはプロ並みに歌いこなしている。このままデビューしたって良いくらいだ。

 彼女が最後まできっちり歌い終えると皆が拍手喝采した。

フレッドも「スゴイ、ジョーズですネ」とべた褒めだ。

 つづいて、マリカ、レイと連続してアニソンで続くフレッドも当然アニソン。そのあと二人の女子ミキとアイも勿論アニソン。なんか頭痛くなる。とレノンは思った。

「次レノンだよ!」とフレッドは彼にマイクを渡すが、「ゴメン、僕は未だ入れてないや」と彼は断ってしまった。

「ショウガナイネ! じゃ、リナさん、よろしく!」とフレッドはレノンの隣に座っている里奈にマイクを渡すが、彼女は「ゴメン。私歌苦手なの」と言ってマイクを受け取ろうとしなかった。そして結局はまた最初に戻り、アヤが歌い出した。ほんとに歌いたくしょうが無かった彼女は彼から奪い取るようにマイクを受け取ると、また何かのアニソンを歌い始めた。

 そのときまたレノンは不意に妙な違和感に襲われた。今度のは前よりはっきりしている。これは以前にも起きた。同じ事を繰り返している。いやちがう。

 ただのデジャブだ。まえにも同じ事が起きていると錯覚しているだけだ。

 なんなのだろうか? この感覚は。と彼は一人この異様な感覚を感じている。フレッドや里奈を見ても全くそんな素振りもない。レイやマリカ等を見ても変わらない。

 これはただの気のせいじゃない、何かがおかしい。レノンはいつからこんな事になったか思い出そうとした。だが、思い出せない。

このような気分には過去何度かあった。それでも当初は、その違和感も徐々にただの気のせいなんじゃないかという気に変わってしまい、すぐに忘れ去ってしまったのだ。よく言う既視感デジャブというやつだ。

 しかし今回ばかりは違った。明らかにこのようなことは以前にも起こった。だが、それ何時だったのかまでは全く判らなかった。

昨日なのか、ずっと以前なのか、はたまた前世の記憶か判然としない。

「ドシタンダイ?」と里奈を除く女子たちがカラオケで騒ぐ中、フレッドが彼に話しかけた。

 意外なのだが、彼はこう見えて割と洞察力が高い。友達が不安げな様子を見せると、このようにすぐ気を使って話しかけてくるのだ。

「ごめん。少し気分が悪いんだ。少し外で空気を吸ってくる」と彼は言うと、立ち上がった。

 おそらくただのトイレタイムくらいにしか思っていたのだろう。ほかの女子はお目当てでは無いレノンがなにしようと気にする素振りもなかったが、里奈は別だった。

「私も行くわ」と彼の後に着いていく。

 後には心配そうなアメリカ人ハーフの男子と彼のファンクラブの女子たちが残っているだけだった。

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