金持ちの変態と裂けるトナカイ

坂無さかな

第1話

真っ赤なお鼻のトナカイさんはいつもみんなの笑い者

でもその年のクリスマスの日、サンタのおじさんはこう言いました「暗い夜道はピカピカのお前の鼻が役に立つのさ」

よく耳にするふざけた詩

トナカイみんなが光を恐れず走ってくれるという偏見に溢れた傲慢で痩せた考え

しかしながらそれは正しい考えなのだろう、だがここで一つ疑問が湧いてくる

もしもトナカイが負の走光性を持ったとしたらどうなるのか

負の走光性とは「光から遠ざかりたがる習性」であり、文字通り目と鼻の先に光源を持つトナカイが光から遠ざかりたがる習性を持てばもしかすると世界がバグを起こして異世界への扉が開くかもしれない

幸い金ならある

金にモノを言わせミミズの遺伝子を組み込んだ「負の走光性を持つトナカイ」が完成し、クリスマスの夜外に出す

と同時にパキッと小気味の良い音を立てトナカイの頭部が前後に裂けた

トナカイの全身が真っ赤に染まりピカピカ光るのは鼻だけではなくなったとさ、皮肉なものである

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金持ちの変態と裂けるトナカイ 坂無さかな @Oreno_Gondola

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