第100話 らくえんのおと
小片詩 -かけらのうた-
◇----◇
『らくえんのおと』
その世界を綴る
美しき景色を記す
木漏れ日のやわらかな光
草花の鮮やかな彩り
美しい鳥の声
せせらぎの音
生き物たちの生き生きとしたその姿へと
目凝らして耳を澄ませる
笑いさざめく声が聞こえ
楽しげな姿が見える
心地よい世界
楽園のような場所
世界を綴る
言の葉を記す
美しい音と
楽しい気持ちと
心を込めた言の葉で
眺めている美しい世界を記す
せかいは楽しい
美しいせかいが好きだ
このせかいに来てよかったと
わたしはこの素敵な世界のことを謳歌して
大好きなせかいを綴り続ける
そんな楽園のおとを聞きつづける
ある時、
世界の
大好きな蒼空がひび割れた
-◇-
ひび割れはやがて大きくなり
世界からいろいろなものが失なわれてゆく
裂け目から吸い出されるもの
慟哭と悲しみが溢れて
怒りと怨嗟が広がる
鮮やかな色
美しい音が
裂け目へと消える
色と音が失われてゆく
せかいは静かになってゆく
大好きだった音が
素敵だった色が消えてゆく
せかいから何もかもが失なわれてゆく
わたしは心を失いながら
壊れてゆくせかいを見つめ
悲しさを綴る
そこには灰色の
音のない世界が残る
◇
何もない
灰色の世界
かがんで灰色の砂をすくう
指のすき間からこぼれる灰色の砂を
動かなくなった心と
色を映すことのない目で眺める
どこからか……
かすかな音が聞こえる
耳をすますと
その音が調べで、音楽であると気がつく
何もないはずのところで
音が
歌が生まれてくる
やがて
歌に導かれて
あちらこちらから色が生まれる
かすかな歌を奏でながらだんだんと大きく広がり
かすかだったたくさんの音たちは
大きく艶やかな音色を灰色の世界へと響かせ始める
いまは灰色ではないせかい
新たな色
新たな音
たくさんのたくさんの生き物たちが生まれる
かつて灰色だった世界は歌う
新しい歌を
それは美しく楽しいもの
誕生の歌を綴る
世界は繰り返し作られる
円環のごとくせかいは巡り
またいろいろなものが積み重ねられてゆく
失われた世界は決して戻らない
けれども
新たな世界は
やはり同じように美しく歌い輝き
世界へと色と音を届ける
楽園の音が聞こえる
私の大好きだった世界の音が
わたしは、新たな
あなたは……
どうしますか?
らくえんのおとがきこえる……
わたしはらくえんのおとをつづりつづける
あなたを……
◇----◇
小片詩 -かけらのうた-
〈おわり〉
◇◇◇
〈おまけの写真〉
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-あとがき なろう版-
かけらのうた
読んでいただき、どうもありがとうございました("⌒∇⌒")
いただいた感想、とても嬉しかったです(*´∀`)♪
みなさま、どうもありがとうございましたm(_ _)m
これからぼちぼちとお返事いたします。
もう少しお待ちくださいませ(-人-;)
さて、
それぞれの詩の欠片、
思い付いた順は逆でしたね(^_^;)
初めが、らくえんのおとでした。
これが一番の難産でした( ̄▽ ̄;)←仕上げたのはつい先程です(>_<)
他の三作はそこから派生してできたものでした。←難産で、これが遅れたためだと思います(^_^;)
らくえんのおとのあとに続いてできた順は、
ふゆのよぞら、へんせつ、せかいのひなです。
意図したわけではありませんが全く逆です。
一時期、投稿順はどうするか悩みましたが、
今はこの順の投稿で良かったのかなと考えております(^ω^)
初めは一回の投稿で、四作すべてを出す予定でした。
二つめの、ふゆのよぞらが200文字に満たなかったので(苦笑)
他のものは、書きながらだんだんと伸びてゆきましたが、
このふゆのよぞらだけは、どうしても伸ばせませんでした(^_^;)
一作の四詩片だと長すぎて、結局、バランスが悪いながらも、連作詩片という形態になりました。
まあ、この拙作はそんな紆余曲折があったものでした(^_^;)
今回はそんなことをちょっと書いてみたくなり、あとがきとしましたが、
メモ書きの様なものですので、てけとーに流し、
作品のみ見ていただければ幸いですm(_ _)m
ご笑納いだたけると良いのですが(^ω^)
◇◇◇◇◇◇
-あとがき カクヨム版-
狙ったわけではありませんが、
この投稿の100作めにこの詩が来たことは、なかなかに印象深いものです。
人との出会い、別れ、
そうしたものを書いたものから始めて、
そうしたものが100話の節目となりました。
よくも悪くも続けてこれましたのは、
みなさまのおかげです。
どうもありがとうございましたm(_ _)m
続けて書きますので、これからもよろしくお願いいたします("⌒∇⌒")
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