第31話 浸透 ―繋がる想い―


ふと触れた手から、その想いが伝わってくる。


抱きしめる強さに、その想いを込める。



愛しさも哀しみも、なぜか心へと伝わるのだ。


感情が染みてくるように、想いは伝わってくる。

そうして想いは伝えられる。




モニターごしの、言葉だけの文字でさえ、


苦しさや悲しさは、


羅列された心の慟哭は、


近くに居ないはずの、わたしの心を震わせて、

激しく締めつけてくる。



近くに居ないはずなのに、


寄り添いたくて、

凍えた心を温めたくて。



文字だけでも、近くへと行きたい。

近くに居たい。



そう想いつつ、心を綴る。




がんばったね



無理しないで



また楽しく遊ぼうね!





そんな言葉を書き連ねて、

消して、



そして、ひとつだけ書いてみる。







― 投稿お疲れさまです。 ―






わからないかな。



それでもいい。




あなたの心は、

確かにわたしに染みてきて、





とても、とても、



とてもあなたに寄り添いたくて、たまらなくなったんだから。





「元気だしてね」


モニターごしに、そう呟いた。















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