第11話 あなたに逢えた、ぼくは待ってる

あと何回会えるのかな。

ぼくはあなたの帰るのを待ってる。



夏に一度、冬に一度、あなたは家に帰ってきていたよね。


そのほかに、おとうさんと一緒に、ぼくも、何回もあなたのところに行ったんだ。



あなたと遊ぶのは楽しくて、

帰る時を待ってるんだ♪


おかあさんやおばあちゃんが、あなたの帰る時を教えてくれるから、

ぼくは朝から、あなたが帰るのを待っている。



あなたは嬉しそうな顔で帰ってきて、

ぼくが駆け寄ると、かがんでぼくの頭を撫でながら、

いつもみたいにぼくを抱き上げる。


ぼくが高いところが苦手なの、知っているよね。

そんなところは嫌いだけど、ぼくはあなたのことが大好きだったんだ。



あなたと出会ってから、


春や夏、秋や冬と、

何回も暑かったり寒かったりを繰り返して、

だんだんぼくは大きくなったんだけど、


近ごろ、疲れてくることが多くなったり、

胸が苦しくなることがあったりするんだ。


何だろうな?




はやく帰ってこないかな。

早くあなたと会って遊びたい。



いまはすぐに疲れちゃうけど、

でも、あなたと遊ぶのは大好きだから!


はやく帰ってきてね。

ぼくは待っているから!




ぼくは、ちょっと疲れたから、

少しお休みをするんだ。



あなたと遊ぶ夢を見て、

あなたのことを待ってる。



はやく帰ってきてね。



大好きなあなたとまた遊ぶのを、




楽しみに、






待ってる。







また明日、





あなたと、








遊ぶんだ。






―あとがきのようなもの―


やばい。まだ泣けるのですね(泣笑)

このお話は泣きながら書いてます。




自分の弟分の話ですね。

中高の頃にうちに来て、上京して進学、就職する時期に、家にいた座敷犬のことでした。



飼えなくなった親戚から預かって、子犬の頃から一緒に居たのですが、


ある時に心臓を悪くして、

その年の帰省中に死にました。



もう亡くなった父親と一緒に、ちょっと用事に出かけていて、

帰省はしていたのに、死に目には逢えなかったのです。




二人して帰ってきて、この世から居なくなったことを知り、絶句しました。


犬の名を呼んで身体をさする、父親の悲しげな背中は、まだ覚えています。

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