Film 404

@oshiuti

FilM 404 サンプル

小平駅最終 監督・松戸孝三郎

(1967 日 113分 モノクロ)


「行くな行くなと君は言うけれど、僕は行かなくちゃならない」


・あらすじ 

山梨県から東京へ行くときに、乗り換えなければならない駅。「小平駅」

夢を追ってそこにやってきた、「清八」と、彼を追ってきた恋人の「静乃」

列車が来るまでの待ち時間、二人は出会いや思い出をお互いに語り合う。

清八は夢を、静乃は思い出を。けれど二人の間は縮まることはなく、お互いの見ている場所も世界も違うのを知る。やがて、列車が来る。

躊躇うそぶりを見せながら列車に乗る清八。煙草とともに見送る静乃

最終列車は、時間通りに駅を出た。


・バイトの所感

有名な作品ですし、感想というよりは好きなシーンの話になりますね

「松戸中央線三部作」、といえば聞いたことはある人が多いと思いますが、モノクロで撮られた「中央線」にまつわる三本の映画。この一本と、「0845東京駅」と「はくば4号」の

三つですね。さて、その一作目のこれ。カラー映画も出始めたころにあえてモノクロで撮られた作品です。モノクロならではの「色」が素晴らしい作品ですね。

話の流れとしては、丁寧に描かれるヒューマンドラマです。

小平駅で清八が立ち食いそばを食べるところとかすごく好きなんですが、彼はそこですごいトッピング載せまくるわけです。演じられた、島村幸壱さんの熱演含め、あの「やる気」を表すシーン、若さそのもの!みたいな描写はすごく好きです。

そしてそれに対して、ヒロインの静乃を務められた伊藤ノリ子さん。「大侵攻!火星蛸!」とか、「南新幹線」とかに出ておられて、幸壱さんに対し5つ上のノリ子さんの、包容力というか、余裕というか。僕含め、男性の大部分は惹かれるものがあるんじゃないでしょうか。そんな「静乃」が、最後に、一人ホームで煙草を吸いながら、「カッコつけちゃってさ」吐き捨てるみたいに言う所でこの映画は終わりますが、これがもうまた綺麗で、弟のように思っていた清八の旅立ちを、喜びと悲しみと寂しさなんかがないまぜになった、アンニュイな表情が最高ですね。

別れと旅立ちを描くこの映画。その美しい色の世界。ぜひ、見て頂きたい一本です。



 残月 監督・山吹桜子

(2019 日 108分 カラー)

「月だけが、夜空に残っていた」


・あらすじ

何者にもなれない、そんな若者たちが行く当てもなく集まったライブハウスの片隅。

音楽の道を志すも、才能に打ちのめされたシュウトと、彼を気に掛ける、アマチュアバンドのリカ。ライブハウスでバイトするアツシ、会社になじめないサヤカ。

どこにも行けない行き止まりで、それでも出口を探す彼らの恋愛と友情。

しかしそんな日々は、ライブハウスの閉鎖とともに終わりを告げる。

絶対だと思っていた薄いつながり。けれど、彼らの誰もが、行き止まりのなかで、同じ願いのために足掻く。

数年後、再開したライブハウスに、彼らは集まった。そのライブハウスの名前は―


・バイトの所感

原作ありきの映画が多い最近の邦画ですが、これは脚本も演出も監督も山吹さん!

先月に公開され、売り上げは上々のようです。そして面白いのが劇中音楽はすべて、

「シュウト」を演じる「獅子堂淳也」さんと「リカ」を演じる「三原香織」さん、そして劇中のバンドメンバーで弾かれているところ。(最も、バンドメンバー役が『ナルジャック』のギターの人とか『EJIB』のドラムの人だったりすっごいんですが)お二人とも猛練習したとインタビューで言っておられましたが、実は映画の最初のほうは練習する前にレコーディングしたのを使っていたり、ラストのライブシーンは完全にマスターした後の音源だったりと、音からも成長が感じられる(本当にすごい上手くなっている!淳也さんはもともと音楽されてたそうですし!)映画です。「自分探し」みたいなテーマに見られがちですが、「何がしたくて何ができるのか」を瑞々しく描いた音楽、いえロック映画でしょう。いやほんと、劇中で葛藤を乗り越えて、リカが歌うんですが、それがめちゃくちゃカッコイイ。シュウトの演奏と、出会った頃のように盛り上がるアツシにサヤカ。脇を固める俳優さんも素晴らしく、(革ジャンを着たおじいちゃんが出てくるのですが、これを演じられるのが島村幸壱さん!!)また「忠告はするけどやりたいことは止めない」そんな「大人」たちが非常にかっこよく描かれています。島村幸壱さんの「心臓ってエンジンが止まるまで、走れるさ」ってセリフのいい方なんかはもう。響きます。しかもそのセリフがリカの曲に歌詞で出てくるところなんて、ロックじゃないですか!!

熱い「若者」の奏でる「ロック」ぜひ劇場へ!!!

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